• 検索結果がありません。

【実生苗・幼木】

実験対象 生 育 段 階 の 定 義 と 模 式 図 章

・実生苗育苗 2014年6/17~7/17

・塩水浸漬 2014年7/18~11/15 実験期間

実験

①2012年8/11~9/9

②2012年11/2~11/16

試験区

0%区(対象区)

1.75 %日区 3.5 %日区

3日区:0%区(対象区),3.4%区 7日区:0%区(対象区),3.4%区

各試験区の

個体数 3~6個体 0%区:1個体

3日区・7日区:3個体

実生の生存率

調査項目 葉・茎・根の陽イオン含有率

(Na・K・Mg・Ca)

112

6.1 塩水浸漬処理がクロマツと広葉樹の実生苗の生存率と生存期間におよぼす影響

6.1.1 目的

第 4 章では発芽,第 5 章では出芽および出芽直後の初期生長を対象とした実験をおこな った。本項では,出芽後の生育段階である実生苗(若い幼木)について,塩水浸漬が生存 率を生存期間に及ぼす影響を確認する実験を行った。海岸林の主林木であるクロマツ,沿 岸域に生育している高木の常緑広葉樹であるヒメユズリハ,低木の常緑広葉樹であるトベ ラ,シャリンバイを用い,クロマツと沿岸性の低木の広葉樹(シャリンバイ・トベラ)と 高木の広葉樹(ヒメユズリハ)の塩水冠水に対する耐性を比較し検証することを目的とし た。

6.1.2 実験概要 6.1.2.1 実験方法

塩水により根が浸漬した状態で樹木が生存できる期間を樹種ごとに比較するため、シー

写真6.1.2 シード・パックで実験中の実生苗

図6.1.1 シード・パックの模式図

シード・パック

113

ド・パック(種子成長袋)(大起理科工業,DIK-710A)を用いた塩水による地下部の浸漬実 験を行った。シード・パックは植物生理学・植物病理学などの実験において用いられ,大

きさは縦177mm,幅163mmである。透明の袋に折りたたんだ紙が入っており,その紙に実

生あるいは種子を固定し袋内を溶液で満たして実験を行う。よって,可能な限り成分を調 整した溶液そのものの影響を見ることが出来ると考え本実験にて用いた。各供試種のポッ ト苗をシード・パックへ移植し,水道水に液肥を 1000倍希釈した培養液を与え 2014 年 6 月17日から2014年7月17日まで養生させた。実験期間中は枯死した個体数を記録した。

枯死の判断は葉の全体が変色した場合を枯死とした。なお,実験は東京都市大学横浜キャ ンパス内にある吉﨑研究室で行った。

6.1.2.2 供試種

実験に用いた実生苗は,クロマツ(Pinus thunbergii Parl.),ヒメユズリハ(Daphniphyllum teijsmannii Zoll. ex Kurz),トベラ(Pittosporum tobira (Thunb.) W.T.Aiton),シャリンバイ

Rhaphiolepis indica (L.) Lindl.)の4種である。いずれの樹種も2013年10月に藤沢土木事 務所汐見台庁舎にある海浜自然生態園において採取した採取した種子を取り播きし,2014 年5月に発芽したものである。実験開始時における苗高の平均値はクロマツで7.1cm,ヒメ ユズリハで5.1cm,トベラで7.1cm,シャリンバイで6.9cmだった。

6.1.2.3 実験期間

実験は2014年6月17日から2014年11月15日まで行った。塩水による浸漬は同年の7 月18日から11月15日まで行った。

写真6.1.1 シード・パックによる実験の様子(上から見た写真)

114 6.1.2.4 実験処理

実験処理は対照区,1.75%区,3.5%区の 3 区を設けた。対照区では水道水に液肥((株)

ハイポネックスジャパン,ハイポネックス原液)を 1,000 倍に希釈した培養液を用いた。

1.75%区では対照区に用いた培養液へ,NaClを溶解させNaCl 濃度を1.75%に調整した培養

液を用いた。3.5%区では対照区に用いた培養液へ,NaClを溶解させNaCl 濃度を3.5%に調 整した培養液を用いた。各処理区への各供試種の個体の割り当ては表1の通りである。

6.1.2.5 統計解析

各供試種の樹種間における平均生存期間の検定するため多重比較検定を行った。Levene 検定により等分散性の検定を行った。等分散性が認められた群間に対してTukey検定(p <

0.05)を,等分散性が認められなかった群間に対してはKruskal-Walls検定(p < 0.05)を用

いた。同一供試樹種の処理区間における各測定項目についてはt検定(p < 0.05)を用いた

(IBM SPSS Statistics ver. 19)。

6.1.3 結果

6.1.3.1 各処理区における供試種ごとの生存率の変化

図6.1.3~6.1.5 に各処理区における供試種ごとの生存率の変化を示す。図6.1.3 より,対

照区においてはクロマツが処理開始から26日目に生存率75%に低下したが,処理開始から 26 日以降はクロマツの生存率に変化は見られなかった。また,対照区におけるヒメユズリ ハとシャリンバイ,トベラの生存率は100%のままであった。さらに図6.1.4より,1.75%区 のヒメユズリハの生存率は処理開始から13日後に60%下がり,46日後に生存率は0%とな った。また,1.75%区におけるクロマツの生存率は処理開始から26日後に66.7%下がり,46 日後に生存率は 0%となった。そして 1.75%区におけるトベラの生存率は66日後に 34%下 がった。一方で,1.75%区におけるシャリンバイの生存率は処理開始から 66 日後になって も低下は認められなかった。図6.1.5より,3.5%区ではヒメユズリハの生存率が処理開始か

ら7日後に33.3%下がり,26日後に生存率は 0%となった。そしてクロマツの 3.5%区にお

ける生存率は処理開始から13日後に77%下がり,26日後に生存率は0%となった。シャリ

ンバイの3.5%区における生存率は46日目に50%となり,66日後に0%となった。また,ト

ベラの3.5%区における生存率は18日後に80%となり,46日後に0%となった。

表6.1.1 各樹種の処理区ごとの個体数

クロマツ ヒメユズリハ シャリンバイ トベラ

対照区 4個体 4個体 6個体 4個体

1.75%区 3個体 4個体 6個体 6個体

3.5%区 3個体 6個体 6個体 5個体

115

図6.1.5 3.5%区における樹種ごとの生存率の推移

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150

生存率(%

処理時間(日)