第八章 アかマツの心材蒸解困難の対策に関する研究
2 心 材 辺 材
(言も)全SO262%,遊離SO932%,結合SO230%
NH4べ−・ス,チップ23g,蒸解液100cc,
最高蒸煮海産1550C,全蒸煮時間6時間30分 最高温度蒸煮時間4時間
最近アメリカでは,NH4ベース蔀硫酸パルプニI二場が設二な、されつつあり(259),上.述の方法ほマツ類のパルプ化 に有望だと思う。
八浜,上代両氏(260)は,心材蒸解困難の機作に閲し,フエノ−ルほその水酸基のもつヰE効果により,その 0−またはか位置がカチオノイド試薬と反応し易く,レゾルレン型フエノ⊥/レでは,その反応が一層ほげしい。
正常なパルプ反応は,リグニン分子中のカチカソイド基とアニオノイド試薬たる亜硫酸とが反応して,水溶 性のリグノヌルホン酸を生成するに.ある。ところが心材部においてほ,この反応が起る前に,フェノール他物 質(アニカノイド性)がリグニンと反応し,リグニンはスル示ン化されない。そこでリグニンの代りに.なり,
しかも,リグニンとフェノ−ル性物質とが反応す−る温度より低温で,これ等の成分に反応するカチオノイド試 薬を,蒸解牧中に加えておくと,心材のパルプ化が正滞に・進行すると考え,カチオノイド試薬として少宜のホ ルマリンを添加し,アカマツ心和束解に成功したと報告した。著者ほ,Ca一発解液,Na・蒸解液について∈れ を追試した結果,第53表紅示す如く,少盈のホルマリンを添加しても全く効果がなく,かえって′くルプ化を抑 制する傾向が認められた。またホルマリン添加盟を増加せほ,黒煮となることを知った。ホルムアルデヒドと 酸性亜横磯塩とほ次の描く附加物をつくり,これは濃厚な亜硫酸液に溶解しない(261)。
/′OH
十SO串 Na㌫H●C0;;Na
H・C
全SO慧62%∴結合SO21・2%∴遊離SO25%の蒸解液に,38%ホルマリン5ccを加えて兼煮した際,辺材で もチップが黒化し,パルプ化されなかったが,著者ほ.,この原偶につき,ホルマリンが上式の如く反応し∴結 合SO2を消費し,その結果遣離のSO2のみまたは結合SO9の極めて少ない状態となり,黒煮になったものと 考えた。そこで普通の蒸解液に比べて,ホルマリンに消費される蒐だけ多くの結合酸を含む兼解液を用いると,
たとえヰルマリンを・多く加えても,黒煮に.ほならない筈である。実級の結束はその通りであった。即ち,全 SO2102%,紆合SO5!3」2%,遊離SO97%の蒸解液100ccに,38%ホルマリン5ccを添加して,心材辺材各々 23g宛を茶零したところ,全SO26・・2%,遊離SO25%,結合SO212%の義解液を用い,ホルマリン無添
師で蒸讃したときと殆んど同株で,何れも異化せず,辺材からほ白色のパルプが得られたが,この場合も,心
【 82山
麓53家 来解液にホルマリンを添加した時の兼好試験
(註)チップ23g(絶乾澄),蒸解液100cc
最高蒸煮温贋1350C,静高湿度蒸煮時間3時間
財は依然として,ホルマリンの効果が全く現れず,パルプ化されなかった。心材フエノ−ルほ, MembT■ane s11bstances・紅保持されているから,液中のホルマリンとの接触の機会少く,リグニンとほ反応しやす・い状感に
ある。ま・た上述の如く,ホルマリンの大部分ほ,藍亜硫酸墟と附加物を作っており,遜離のホルマリンは睦めて 少ないから,動力学的に.もノホルマリンとフ.ェノールとの縮合反応の機会ほ極めて少く,フェノ−ルとタグエ
ソとの縮合反応が速かに進行するから,この場合,ホルマリンの心利フ,エノール抑制効果が殆んどなく,逆に 兼解液の濃度を低下させるという害作用のみ顕著に現れるものと思う。
しかし,八浜等の着想ほ興味深く,今後兼解液中の亜硫酸墟と附加物を作らず,しかもリグエソの代りにな る適当なカチ・オノイ下さ試薬を発見すれほ,心材蒸解困難防止上,効を奏することができるかと思う。
第三節 アカマツ亜硫酸パルプノットの利用
現在,アカマツ畝阻料とする亜硫酸パルプ工場においては,パルプ歩留の1剖以上のスクリーン粕を出して いる。.これは,節,脂崩等にも由来するが,遠的に云うならば,大部分心材未莱解物である。このスクリ−ン 粕は,エッヂランナーまたほレファイナ一による機械的処#により,戎ほソ∬ダ法,サルフ・エノー・=法等化学的
処理に.よってパルプ化し,包装紙に用いられ,またソーダパルプや亜硫酸パルプと混抄されている。アカマツ 亜硫酸パルプノッ†を工業的に・有利に処隙する研究ほ,心材完全パルプ化力亨実現していない現段階において,
藍雰と思う。しかし,この方面の研究も報告されているものが極めて少ない。
著者(262)ほ,アかマツ亜硫酸パルプノットを酎先取ソーダ蒸解及びソーダ法蒸解等によって,有効に処理す る目的をもって次の研究を行った。
lい 実験室規模の試験
内容160ccの鉄製試験管に,ノット465g(杷贋ぷ)及び猟奇液130c鴫ご・入れ,水を入れたオートクレグ中 で,1600Cにて3時間蒸発した,兼煮条件ほ,節54衣に,蒸煮によって得たパルプの収率と焼栗とほ,第 55表に示す通りである。
ノットをNaOH添加率10%で謀煮した場合のパルプは,リグ・エソが少なく,金城維素は87%位で,アカマ ツ原木をソ・−ダ法で蒸解したときに似たものであったが,ぺンt・−ザンが少ないこと,アルコール・ベン壱 ソ混液抽出物が多い点で異っていた。繊維ほ容易に解離できるが,赤褐色であった。
Ⅳa2SO男15%添加率で菜煮した場合,リグニン,ペントーザン等の除去ほかなりよく行われていたが,アル フ−・ル・ベンゼン漏液抽出物が特に多い。繊維もよく解離された?収率は,苛鮭ツ−ダ液処理に比べ極めて
−83_
高く,未晒の健でもアカマ ツの砕木パルプと同程度の 白色度を示していた。値射 日光紅当てると,徐々に褐 変し,晒粉或ほ塩素に触れ ると,酒ちに魔化リグテン の赤褐色里色反応を示す。
Corey(26き)は,ヒポサルノ、
イト亜鉛による還元潔白 後,pHl位の硫酸液で処理 すると,漂白彼の急速な薇
色を抑制し得たと称して−い
る。著者ほこの方法を適用
してみたが,遊離ピッチせ 生じ,楠脂障害の危惧を感 じた。
2小 中間工業試験的規模によ
る蒸煮試験 径2m,長さ8m,撹拝装 置イ寸の横臥式蒸煮碓を用 い,値按莱気加熱にて,罪 56表の蒸諸条件で処理した 結果,滞57衷に示す如き結 果を得た。薬品無添加でも,
加熱濃押時間が長いもの ほ,短時間処理したもの
(Ⅰ)よりパルプの化学舶成
上やや純度が高くなってい る。国状リグノスルホン酸 の熱水溶出に因るものと考 える。
NaOH3%添加で処理した もの(1江)は赤褐色で,強度 が特に低かった。Na2SO巧
液で処理したもの(ⅠⅤ)ほ黄
白色で,強度ほ薬品無添加
時のもの(Ⅱ)に此しやや劣
るが,NaOH処理のもの
(Ⅱ)より余程優っていた。
Na2SO書処理ノット10%,
アカマツ砕木パルプ73%,
アかマツ亜硫酸パルプ17%
の配合で新問原紙を試抄し たが成於よく,この方面庭
第54衣 亜硫酸パルプノット兼煮条件(実験室)
弟55表 亜硫酸パルプノットを義解して得たパル(実験素)
第56衷 亜硫酸パルプノット処理条件(工場)
最 高 蒸気圧
薬
有言盲1高石蒜
1600Cに おけ る 蒸煮時間
(孟還品)l煮級
第57衣 亜硫酸パルプノットを処理して得たパルプ(工場)
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有利に.用いうることを知った。ただ嫡胎障害についてほ,一層研究する必要があると考える。
その後,野村等(264)ほ,アかマツ亜硫酸パルプノットの中性亜硫酸ソーダ兼煮、につき研究し,絶乾ノウト星
に対する薬品添加率は,㍗−■25%が適当である。20%以下でほ粕率が多く,蒸煮が不十分に終り,25%以上 でほパルプほ純化され易く,蒸煮時間を短縮することが出来島が,1700C,3−4時由来煮では,敢て25%以 上の薬品を添加する必要ほない。亜硫酸ソ−ダ溶液濫.炭酸ソ−・ダを添加すると.,反応速度を早める傾向があ
る。未晒パルプは,亜硫酸パルプに類似する白色度をもっており,パルプ歩留は,41−43%であると報告し ている。即ち,野村等ほ,著者の磨った実験匿比し薬品使用藍大で,蒸煮条件も弓飢、。従ってメ得たパルプ
の漂白性ほよいが,収率が著しく低い。著者は,未哺のまま新聞原紙に用いうるパルプを目的とし,野村等 は漂白パルプを目標としているから当然の差異と考える。何れにしても,生産費の算出を行った結果,中性 亜硫酸法ほ,経済的にも技術的にも,アかマツ亜硫酸パルプノットのパルプ化方法として適当であり,かつ 有望である点において,著者と野村等との見解が−・致して−いる。
なお,矢作(265)ほ,アカマツ亜硫酸′くルプノットをNaOH,Na2SO8等で兼解したパルプを,稀亜硫酸また ほ稀塩酸で洗えほ,以後漂白が著しく容易となり,漂白粉使用盈を半減しうると称して:いる。
また,ノットを臆料とする硬昏級維奴の製造試験を行った研究もある。(266)
第四節 原料木材の選別並びにその材質の改良について
現在,心材未蒸解物を減ずる目的で,胡を遠別することに.努力を払っている工場もある。例えば,バ⊥カー を出た材竃,チッパー一に送る直前,心材率大なものを選出し,これらはなるべく枠木パルプに用い,心材率小 なる材?みチップとなして,衆煮ユ程に送るのである。この際,既述した如く,心材率のみならず,心覿フェ ノーール性成分含有藍にも意を払うぺきである。心胡フェノ−リレ含有量の多少は,心材の外見的色調によって,
凡その判定がつくが,新鮮な鋸断面においてほ,心材フェノール含有盈の多いものでも,辺材佐近い色を呈し ているから,識別に苦しむ。そこで,著者は,デアゾ化ペンチヂン試薬を塗布して,簡単に.フェノール合壁の 芽多を判別することを提案したいと思う。この場合,材の全断面に試薬を塗卸するにほ及ばない。半径方向に,
中心から外方に向って,線状に塗布すれほ目的が適せられる。
心材フ・エノール性成分含有量の寡多が,主として遺伝的宗田によるものか,立地条件にのみよるものか,或 は両因子に.支配されるかということは,造林技術上大切な問題、と思うが,こ.れを明かとした研究ほない。しか
し,Erdtmam等のSco七Ch pineにつき行った研究(267),及び著者の研究(268)によると,フェノール性成分含 有量は,気象条件にも支配されるが,同一地区産の材でも,個体差が著しく大であった。林木の,他の諸形質 ほ退任する場合が多く,心材フ.ェノール含有量も遺伝的素因に支配される可能性が多分にあると思う。Lindq−
uist(269)は,林木の樹幹が通商なるか,枝分れ大であるかということほ遺伝すること大であると認め,用対林 の造林に,樹幹通直な母樹の種子のみ用うべきと力説している。心材フェノール怪物賢台有窒が,退任すると すれほ,生長錐により,立木の心村を抽出して検し,フェノ∵ル性物質含有量少なきものを母樹に選定する方 法にて,今後亜硫酸パルプ用材に適するマツの育林も可能でなかろうかと考え.る。マツほ風媒花であるが,受 粉を天然のまま放置した場合でも,母樹選定の目的は約75%の確率をもって成功する可能性がある。坑木その 他耐久性を目的とする場合ほ,この反対に,心材フェノールの多い林木の育成に意を払うべきと思う。次に,
従来漠然と心材フ.ェノ−ル性物質含有率大なる材は,心材率も大であろうと考えられたが,著者の研究(268)に.
よると,フェノ⊥ル含有率と心利率との問に,全く相関々係が認められなかった。矢沢(270)は,成宙の遅速と
心材率の大小との間に高い相関々係があること.を説いている。即ち,育林法によって,心材率を変えうる可能 性がある。そこで心材フェノ−ル性成分含有盈小なると共に,心材率の小なる材の育成ということを,亜硫酸 パルプ用アカマツ簡林上の指導原則として挙げねばならぬと思う。
第五節 摘 要
1・著者ほ,アカマツ心材チップを,予め過酸化永素液で加熱すると,亜硫酸法で容易にパルプ化するように・
なることを見出した。