• 検索結果がありません。

アカマツ材より硫酸塩人繊パルプ製造に関する研究

第一節 緒  

現在,わが国の人絹工共に用いられている原料ノリレプほ,輸入品を除き,殆んど総て,亜硫酸人繊パルプで   あり,しかもその大串が,アカマツ材を原木として製造されたものである。アカマツ,カラマツ等の材を亜硫   酸法で人紙パルプとする場合,フ.エノ−ル性成分の含有率が1−2%以上の心材ほ,蒸解困難であるため,そ   の大部分がパルプ化されず,スグリン柏となる。たとえフ・エノール性成分の含有率が低ぐて,幾分兼解され易   い心桐であっても,辺材に比べると脱リグニンが不完全であるから,いわゆる不掛一茶解となり,以後の漂白   精製に.より,製品を均栗一に仕上げることが難しい。また,未晒亜硫酸パルプほ約1−2%の樹脂分を含有し,  

これは漂白精製工程において,一・郡脱離されるけれども,完全に除去することはとても望めない。また,アル   カリ処理中に溶出した樹脂が,再凝集して,いわゆる人紘パルプの樹脂斑点となり,製品の品質及び商品価値  

を著しく低下させる(308)。   

しかるに硫酸塩法においては,アカマツ,カラマツ等の心材でも完全にパルプ化し,また,樹脂分も蒸解時   に.殆んど除去されるから,亜硫酸法における上記の2問題は,何れも完全に解決できる。また潤葵樹材のパル   プ化も容易であり,材種を選ぶことほ極めて少い。しかも,かかる消極的立場のみならず,硫酸塩人紙パルプ   はその繊碓素分子の重合度分布が,亜硫酸人繊パルプに比し均替であり,これから製造したレーヨンほ,亜硫   酸入組パルプから作られたものより,強度が大であると云われているから(309),今後特に硫酸塩人級パルプの   生産が望まれるのである。   

従来,硫酸塩パルプの漂白精製ほ困難とされていたのであるが,多段漂白法の発達に.より,硫酸塩パルプの   漂白が可能となり,製紙用晒硫酸塩パルプの製造は,わが国においても既に工業化されている。しかるに,更   に進めて,人級用パルプにまで精製することは,スエーデン,米国等においては,既に工業化されているよう   であるが,わが国においては,まだ試験的あるいは半工業試験的域を脱していない状態である。   

硫酸塩パルプの難漂自性の原因としてほ,蒸解中に生ずる色素,樹脂石鹸加水分解物の繊維に対する固着,  

プロパタンエソより生成せる硫化染料様物質の漂白抵抗,等種々鋭もあるが,HibbeI■t等(310)は,リグニン以   外の化合物に因るのでなく,パルプ中に残存するリグニンに基関すること.を明かにした。木材のパルプ化に際   し,亜硫酸法においては,中間瞑中及び紙維細胞の第二次壁中のリグニンを同時に溶出するが,硫酸塩法にて   は,前者のリグニンのみが主として除去され,細胞喋の微細間隙に幾分リグこ二:/が残留するのである(311)。  

また,硫酸塩パルプの暗褐色ほ,兼解中に重合(312、または解重合(313)されて生成されたリグニニ:/硫黄化合物に  よるものであり,一・郡ほ,木材炭水化物のフミン化生成物にも関係があると云われている(314)。   

_ 99__  

なお、硫酸塩パルプは,亜硫酸パルプ紅比し,樹指含有霹ほ著しく少いが,へ.ミセルロ、−ズ,灰分等は後者  

にくらべ多鼠に含有する。人紙パルプとして,純度が高いことほ.極めて蚤賓であるから,人繊用に供する目的   で漂白精製する場合,これらの非繊維素物質の除去が肝要である。  

.リグニン並びにリグニン樺物質ほ,何れの場合も,完全に.溶出しなけれほならないことほ.明かであるが,ぺ   ソトーザンの存在が,簡捷ビスコ・−スの ニゴリ 及び濾過性不艮の原屡とほならないという説もある(31S,316)。  

しかしながら,ⅠIaas等(317)に.よれほ,へミセルローズあるいぼ木村ポリオー・ズほ,殆んど二次壁の外層に.存在   する。これが恭解により充分犯されない場合にほ,膨潤化されないl凱、被膜として,繊維の内部にある繊維素   を被覆し,この部分において,二硫化炭素の添加が制約されるので,完全溶解を行わしめるだけの加硫化作用   が阻止される。これがため,濾過困雉を原因する不溶解部分,あるいほ膨潤化部分が生成する。これに反し,  

ニ次壁を除去された,あるいほ少くとも著しく弱化された他の部分でほ,過度のザソトグン化がおこるのであ   る。また,大門等(315)ほ,人繊パルプとして欠くぺからざるパルプの反応性ほ,細胞膜の超顕微鋭的,及び顕微   鏡的,あるいほ,もっと.大きな腱牒の存否,即ち,細胞娯質の多孔性等に関係し,また,細胞外層の崩壊弛緩に   も関係すると.称して−いる。木材パルプを酸とアルカリと.で処理するか,これを交互に行うと.,アルカリ単独処   理よりも,反応され易い永酸基を増し,組織が弛緩され,また,繊維外被の特殊紙緻ことにへミセルロ−・ズを   含む被瞑が,崩壌除去される。亜硫酸入組パルプ製造の場合は,兼解は酸性で,精製工程にアルカリ処理が行   われるから,都合よく組合されて−いるが,硫酸塩法の場合は,特別な処理を行わない限り,アルカ.り性のみで  

処理を繰返すことになるから,漂白されたパルプほ,たとえ白色度の点では充分であっても,著しく反応性に   乏しい。製造過程のどこかで一度酸処理すると余程反応性が増加すると云うことは,従来の諸研究結果に照し   明申である(315,318・319〉。   

そこ.で,硫酸塩人紙パルプ製造に.あたって,非放維素物質の除去とパルプの反応性増加とを如何に有効に行  

うかということ.が,研究の骨子となるわけである。現在のところ,この日的達成のため行われている製造法  

は,  

(1)予め木材をブロックのままあるいはチップとなした後,永若くほ稀酸液で未煮・し,しかる後,硫酸塩蒸  

煮を行い,パルプは通常の塩素,苛性ソーダ,ハイポクロライト処理による多段漂白を行って漂白精製する方  

法,即ち,前加水分解処理法。  

(2)通常の方法で硫酸塩蒸煮したパルプを,多段漂白するときに.酸処理を組合せる方法,即ち,後加永分解   処理法の二方法に大別できる。   

前加水分解処理法は,木材化学工米の先進諸国においては,かなり古くから研究され,既に工菓化されてい   ると.ころもあり,研究報告並びにこれに.関する特許も極めて多い。最近:の研究報告としてほ,針葵樹及びブ  

ナ,ユ・−カリ等滴襲樹材硫酸塩人紙パルプに関するもの(き20,321,322・323)の外,竹を原料とする硫酸塩人繊パルプ   に関する研究も見うけられ(324),また,予備加水分解処理靡液中の木糖を原料とし,アセトン及びブタノ−ル   を製造サーる方式も発表されている(325)。然るにわが国においてほ,数年前より漸く各方面の注目を若き,比較  

的研究の歴史が新しく,現在中間工業試験を終った程度で,発表された研究報告並.びに特許も少い(326・327・328,  

329,き30)  

前加永分解処理法は,授菜上多少繁雑であり,生産コストもかさむので,漂白工程に比較的簡単に組入れら   れる後加永分解処理法が考えられたのである。著者は,パルプを稀硝酸処理した後多段漂白したものは,稀硝酸   処理をせず漂白したものに比し,ビスコース化試験において著しく優れていることを見出した(31る)。またその  

後,大門等(315・331)ほ,未晒硫酸塩パルプを塩素処理した後,洗淋することなく,そのまま加熱し,副生してい  

る塩酸によって加水分解処理を行い,のち洗淋し,祝いてアルカリ処理,ハイポグロライ†処理を行う方法を考   案し,好成揖を得たと称している。しかしながら,後加永分解処理法は研究の日も浅く,今後更に研究を重ね   て工巣化に導くよう努力する必要がある。   

以下本草においては,著者の行ったアカマツ硫酸塩パルプの人位パルプを目的とする漂白精製,即ち主と   して後加永分解処理に関する研究(318,319)について記述する。   

_′100− 

第二節 硫酸塩人紙パルプの漂白精製条件並びに漂白時における稀硝酸処理の効果  

人繊パルプを目標として∴硫酸塩パルプを漂白するにほ,製紙用晒パルプ製造を目的とする場合に比し,一   層漂白箆を高くする必要があるのほ.論を侯窄ないが,どの程度の漂白処理を適当とするか,また漂白時に稀硝   酸処理を組入れると,如何なる効果があるか等について,種々実験レた。ここでほ,一応レー・ヨソパルプの規   格に近い分析結果を示したものについて,その漂白条件並びにパルプ分析倍,及びビスコーース化試験の成於等   紅ついて記述する。  

lい 未喝パルプ精製及びその組成  

原料チ・ツプは,心材辺材混合せるものである。試験用未晒パルプとして,A,B2種を調製した。Aほ前章   に記した研究に.おいて、,易漂白硫酸塩パルプとして通儒と思われる条件で蒸斉したもので,後者は,著しく高  

いアルカリ添加率に.て蒸煮したものである。後者においては,ぺソトーずン,灰分等の充分なる除去を予期し   たのであるが,蒸煮時間は,予備実験によって,未納パルプ中になるべく多くのα一繊維素を含有し,しかも   純度が高い結果を得ると認めた条件を適用した(第65表参照)。未晒バルブの分析結果(第66表)よりして,  

A,B何れもジーパ価が40開漁で漂白し易い解団のものであることが判る。なお,Bの方がAよりパルプ中の   非繊維素物質  

殊にぺソトー  

ザンの含有恩   第65表  未晒硫酸塩パルプの蒸発条件   が少く,純度  

が高い。収率   の差ほ,Aと  

300Cより   最高温度   に至る   時  間  

最高温度  

より1000・  

Cに至る   時  間   最高湿度   持続時間   全アル カ リ  

添加率  

金茶解 液「嘉   最  高 蒸解温度  

絶乾材に対する   NaOH鼠  

二二 

_  Bと・で大差が   A  

ない。何れも   アルコ−ル・  

ベンゼン抽出  

欝66表 未晒硫酸塩パルプの分析値  

物ほ著しく少いが,未晒亜硫酸パルプに比し灰分ほかなり多い。   

2.漂白精製方法   

第67表の如く,A,B各パルプ共に,①硝酸一苛性ツ−ダによる前処理後,塩素一苛性ソ−ダー晒粉の3   段漂白,⑧塩素一苛件ソーーダー晒粉一苛性ソ−ダー晒粉の。5段漂白,①塩素一苛性ソーーダー晒粉の3段漂白   等,3種の精製処理法について試験した。前処理に稀硝酸を用いることは,灰分,ぺソトーザンの除去を予期  

したものである。下郡332)ほ,製紙用硫酸塩パルプの硝酸漂白を発表しているが,人紙パルプ精製に適用する   場合,重合度低下のおそれがあるので,硝酸の濃度ほ著しく低いもの(0・22%)を用いた。   

3い 漂白精製パルプの分析結果   

日本工業規格(レ−ヨンパルプ規格並.びに試験法)333)に定められている方法に準じて,精製パルプの化学分