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本調査研究における検討事項に関する考察

本章では、前章で掲げた5つの検討事項に対し、問題の所在を整理するとともに、アン ケート調査、ヒアリング調査を踏まえて考察した。

1. 共同研究等の成果を単願あるいは持分の譲渡とするための課題

(1) 問題の所在

大学等と企業の共同研究等の成果は両者の共有特許となることが多く、それに起因する 課題が存在する。米国、英国、ドイツ、スイスでは、大学等と企業の共同研究等の成果が 共有特許になることは多くないとの回答があった。共有特許の問題を避けるために、米国、

英国やスイスでは大学等に権利を帰属させ、ドイツでは企業に権利を帰属させるとの訪問 調査回答があり、フランスでは、共有特許を回避するために権利をどちらかに帰属させる といった意識は特にないとの訪問調査の回答があった。

(2) アンケート等を踏まえた考察

① 共同研究等の成果を大学等若しくは企業のどちらかに帰属・譲渡させることについて アンケート調査によると、共同研究成果を大学又は企業どちらかの単願とすることにつ いては、単願にするための協議に時間を要するため「共有特許のままとし、実施権等の協 議で詰めた方がよい」という意見が多い。権利の帰属に関する協議より、研究を進めるこ とが優先されていると推察される。

また、成果を企業に帰属させた場合、大学の研究への影響や成果が実施されない可能性 があることが課題として挙げられている。一方、大学に帰属した場合、特許の維持費用負 担増や成果の実施許諾先の探索などが課題として挙げられている。

図 III-1 今後の共同研究成果等の取扱に関する対応

30%

31%

6%

2%

11%

9%

12%

19%

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21%

61%

57%

75%

66%

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0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

中小企業(n=44) 大企業(n=316) TLO(n=16) 公設試等(n=41)

大学(n=57)

共同出願時や権利登録時に、大学等もしくは企業のいずれかに権利を帰属させ、相手方には、独占的実施権や非独 占的実施権を与えることにより、権利を単純化した方がよい

権利は共有でよいが、共有持分については相手方の同意なく、第三者への実施許諾(非独占的)が可能とするなど、

第三者への対応を明確にすればよい

当事者間で調整すれば良く、標準的な方式を定める必要はない(現行でよい)

図 III-2 企業に研究成果を帰属させる場合に最も課題となる事項

図 III-3 大学に研究成果を帰属させる場合に最も課題となる事項

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32%

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4%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

出願前に相手方へ一定の支払が生じる(研究から収益を得る前に費用 が発生する)

出願前(権利化後)に当該発明(特許)の価値の算定が困難なため、譲渡 額や実施料等の決定において協議が難航する

上記1,2のほか、権利を単願にするための交渉が必要となり、今まで以上 に契約段階で時間を要する

大学等の研究活動の継続に支障が生じる恐れがある 発明者だが出願人ではないため、研究担当者及び所属部署の内部評価 に影響がある

出願前の譲渡は出願件数が少なくなるため、貴社の第三者からの評価 に影響がある

実施許諾先や譲渡先の探索など、技術移転活動が円滑に進まなくなる 共同研究成果が第三者へ実施許諾された際に、適切な収益分配の確保 が困難になる(単独帰属にした際に、相手への収益分配を行う契約や…

共同研究成果の事業化を通じた社会実装が遅延する 共同研究成果を侵害している第三者に対する適切な権利行使が困難に なる

特に生じない

大学(n=60) 公的研究機関(n=43) TLO(n=18) 大企業(n=334) 中小企業(n=46)

23%

18%

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3%

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7%

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2%

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2%

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0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

出願前に相手方へ一定の支払が生じる(研究から収益を得る前に費用が 発生する)

出願前(権利化後)に当該発明(特許)の価値の算定が困難なため、譲渡 額や実施料等の決定において協議が難航する

上記1,2のほか、権利を単願にするための交渉が必要となり、今まで以上 に契約段階で時間を要する

大学等の研究活動の継続に支障が生じる恐れがある 発明者だが出願人ではないため、研究担当者及び所属部署の内部評価 に影響がある

出願前の譲渡は出願件数が少なくなるため、貴社の第三者からの評価に 影響がある

実施許諾先や譲渡先の探索など、技術移転活動が円滑に進まなくなる 共同研究成果が第三者へ実施許諾された際に、適切な収益分配の確保 が困難になる(単独帰属にした際に、相手への収益分配を行う契約や…

共同研究成果の事業化を通じた社会実装が遅延する 共同研究成果を侵害している第三者に対する適切な権利行使が困難に なる

特に生じない

大学(n=60) 公的研究機関(n=43) TLO(n=18) 大企業(n=334) 中小企業(n=46)

② 研究成果を単独の帰属するための条件

研究成果を企業若しくは大学等に帰属させる場合の条件等に関して、アンケートの調査 結果を示す。

(a) ケース1 :「原則、大学に帰属し、企業は独占的実施権を得る」条件

企業からの回答としては、「大学が所有している特許等の利用が許諾されなければ、当該 研究の目標が達成困難、不可能な場合」と、「大学側に持分を買い取る十分な資金があり、

企業に実施させることで大学等に十分な収益が期待される場合」が高い場合には、大学帰 属で企業に独占的実施権を与える契約も期待される。

図 III-4 ケース1 :「原則、大学に帰属し、企業は独占的実施権を得る」条件

33%

22%

48%

40%

45%

47%

7%

13%

22%

7%

7%

29%

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38%

19%

12%

10%

12%

10%

10%

33%

22%

61%

56%

44%

50%

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28%

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36%

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9%

17%

13%

17%

13%

17%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

企業にとって、当該共同研究及びそこから期待される成果が、事業戦略上 重要な分野や技術として位置づけられている場合(独占的実施権を主張す る場合)

企業が既に所有している特許やマテリアルの利用が許諾されなければ、当 該研究の目標が達成困難、不可能になると考えられる場合(企業が既に所 有している特許が研究のベースとなっている場合)

大学等が既に所有している特許やマテリアルの利用が許諾されなければ、

当該研究の目標が達成困難、不可能になると考えられる場合(大学等が所 有している特許が研究のベースとなっている場合)

研究者(大学等)にとって、当該共同研究及びそこから期待される成果が、

研究者の長期的な研究テーマとして不可欠な位置を占めている場合

大学等に企業の持分を買取る十分な資金があり、かつ企業に実施させるこ とで大学等に収益が期待される場合

企業が特許に係る費用を全額負担する場合

取得・出願する特許に関して、企業が製品化など事業の目処を十分に見通 せない場合

企業が実施に関心を持たないと考えられる市場・分野等の使用領域や方法 が存在すると考えられる場合

基礎技術であるなど、他の分野での横展開研究や活用が期待される場合

当該共同研究の内容について、新たな共同研究パートナーを探したい場合

発明に関する持分比率が相手方より低い場合

大学(n=60) 公的研究機関(n=43) TLO(n=18) 大企業(n=334) 中小企業(n=46)

(b) ケース 2:「原則、大学に帰属し、企業は非独占的実施権を得る」条件

企業からの回答としては、「製品化などの事業の目処が十分に見通せない場合」、「企業が 実施に関心を持たないと考えられる市場・分野等の使用領域や方法が存在すると考えられ る場合」などが高いことから、大学に帰属させ、企業が非独占的実施権を得る条件も期待 される。

図 III-5 ケース 2:「原則、大学に帰属し、企業は非独占的実施権を得る」条件

3%

12%

72%

72%

63%

27%

62%

62%

80%

78%

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12%

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45%

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43%

19%

40%

40%

40%

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83%

83%

61%

28%

67%

67%

83%

83%

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37%

36%

29%

3%

46%

56%

33%

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4%

4%

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2%

33%

37%

24%

9%

39%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

企業にとって、当該共同研究及びそこから期待される成果が、事業戦略 上重要な分野や技術として位置づけられている場合(独占的実施権を主 張する場合)

企業が既に所有している特許やマテリアルの利用が許諾されなければ、

当該研究の目標が達成困難、不可能になると考えられる場合(企業が既 に所有している特許が研究のベースとなっている場合)

大学等が既に所有している特許やマテリアルの利用が許諾されなけれ ば、当該研究の目標が達成困難、不可能になると考えられる場合(大学 等が所有している特許が研究のベースとなっている場合)

研究者(大学等)にとって、当該共同研究及びそこから期待される成果 が、研究者の長期的な研究テーマとして不可欠な位置を占めている場合

大学等に企業の持分を買取る十分な資金があり、かつ企業に実施させる ことで大学等に収益が期待される場合

企業が特許に係る費用を全額負担する場合

取得・出願する特許に関して、企業が製品化など事業の目処を十分に見 通せない場合

企業が実施に関心を持たないと考えられる市場・分野等の使用領域や方 法が存在すると考えられる場合

基礎技術であるなど、他の分野での横展開研究や活用が期待される場合

当該共同研究の内容について、新たな共同研究パートナーを探したい場

発明に関する持分比率が相手方より低い場合

大学(n=60) 公的研究機関(n=43) TLO(n=18) 大企業(n=334) 中小企業(n=46)