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本研究のまとめ

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 174-177)

7. 総括

7.1. 本研究のまとめ

本研究では、多様なライフスタイルの世帯を対象としたFCCGS導入効果、および導入 効果の向上を企図した二世帯でのFCCGS共有効果の推計と分析を目的として、シミュレ ーションモデル構築に必要な基礎データの収集、および集合住宅居住世帯の生活スケジュ ール把握を目的としたライフスタイル調査を実施し各世帯の特徴を踏まえた負荷データを 作成したうえで、新たに構築したFCCGSシミュレーションモデルを用いてFCCGSの導 入効果を推計、分析するとともに、より高い省エネルギー効果を得られる手法の提案とし て二世帯によるFCCGSの共有に関するケース検討を行った。

研究は「HEMSデータに基づく実際の住宅におけるFCCGS導入効果の分析」、「ライフ スタイル調査に基づく集合住宅居住世帯の電力・給湯負荷データの構築」、「シミュレーシ ョンモデル構築及びケース検討」の三部分に大別できる。

以下、各章ごとに、本研究で得られた知見を整理する。

第一章ではFCCGSに関する研究背景、研究目的について述べ、本報一般に適用される 物性値、評価指標・用語の定義を示した。この中で、従来のFCCGSの検討は戸建て住宅 居住の親子世帯が想定されることが多かったが、今後の我が国の世帯類型別世帯数や建て 方の傾向、または各住宅のライフステージ全体で検討する場合には、単身、夫婦等の比較 的規模の小さい世帯への検討が重要であることを示すとともに、近年のFCCGSの機器仕 様の変更について述べ、新しい機器仕様を踏まえたモデルの構築が必要であることを示し た。

第二章では福岡市内のスマートタウン内のHEMSデータ、および詳細計測調査の結果を 集計・分析し、PEFCの発電時間選択、並びに通年での電気使用量、発電量、発電時部分 負荷率に関する知見を得るとともに、第四章で構築するシミュレーションプログラムの精 度検討に用いる基礎データを確保した。これらの検討を通して、PEFCの住宅側の電気使 用量、給湯負荷に対する追従性を評価するとともに、貯湯タンク、排熱回収回路、貯湯タ ンクから補助ボイラーへの接続などのSOFCと共通するモジュールに関する知見を得た。

また、戸建て住宅に居住する親子世帯のような、比較的電気使用量、給湯負荷とも多消費 である住宅においても、発電時部分負荷率が低くなるケースが見られ、一部の住宅では発 電部分負荷率が40%以下の時間が大半を占めるなど、発電効率低下に繋がる傾向が発生し ている状況も確認した。

第三章では福岡県営の集合住宅を対象にアンケート調査を行い、集合住宅居住世帯の湯 使用量に関する生活習慣を検討するための基礎データを得るとともに、季節別、世帯属性 別の湯、その他電気使用量に関する特徴を再現した61世帯の負荷データを作成した。この 調査を通して、世帯類型別の世帯の特徴、または居住者の属性とライフスタイルの関係を 明らかにした。また、世帯ごとに調査を行うことで、同じような個人の属性(性別、年齢、

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職の有無)であっても、同じ家族内の別の個人の属性により、ライフスタイルが影響を受 け異なる特性を示すことも確認された。

第四章ではVisualBasicによるシミュレーションモデルの開発を行い、HEMSデータと の比較を通してPEFCについて精度検証を行い、概ね実機の状況に近しい制御がなされ、

現実に近い機器の運転が再現されていることを確認した。また、SOFC、PEFCにつき、標 準的な住宅に導入した場合の機器の運転状況、並びに省エネルギー効果の推計を示した。

第五章では第三章で作成した需要データに基づき世帯別のPEFC、SOFCの導入効果の 検討を行い、結果世帯属性、世帯側の電力、給湯需要の大小がPEFC、SOFCの導入効果 に与える影響を確認した。PEFCは学習制御や貯湯容量のサイズを生かし、世帯別の省エ ネルギー率が安定しており、電気使用量、給湯負荷等から導入効果を推計しうるが、SOFC は同程度の電気使用量、給湯負荷においても省エネルギー率のばらつきが確認された。ま た、全体的に単身、夫婦世帯では、家庭内の電力需要に対し機器の発電能力が過大となり、

発電効率が低くなる傾向があること、電気使用量、給湯負荷が特定の時間に集中する傾向 を示すことから、PEFCでは発電時間に制限が掛かること、SOFCについてはラジエータ ー放熱量が増加し、排熱利用効率が低下する傾向を示すことが確認された。

第六章では第五章で確認された問題を踏まえ、二世帯によるFCCGS共有を提案し、世 帯類型別にその省エネルギー効果を推計するとともに、世帯ペアの作り方が省エネルギー 効果に与える影響を評価した。この中で、2世帯共有により2世帯で2台を使用した場合と 同等、またはそれ以上の省エネルギー効果が得られることを示すとともに、SOFCでは一 次エネルギー使用量を75GJ/年、電気使用量7000kWh、湯使用量を300~400リットル

/日に、PEFCでは一次エネルギー使用量を80GJ/年、電気使用量7000kWh、湯使用量 を600~700リットルとなるようにグループを組むことで、機器の能力を最大限発揮し、高 い省エネルギー効果を得ることが可能であることを示した。また、異なる世帯属性を組み あわせた方が、高い省エネルギー効果が期待できることも確認した。

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参考文献

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間消費エネルギー量の測定方法

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参考資料

1. 2世帯共有計算バックデータ及び追加集計

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