3. 中国政府が講じている違法伐採対策
3.3 木材合法性を法律に盛り込むために政府と産業組織が講じた措置
上記の 3.1 で中国政府が違法伐採に対処するために適用している様々な方策につい て詳しく説明し、産業界が講じている関係措置についても述べた。そのため、本セク ションでは主に確定的情報ないし補足情報を提示する。
3.3.1 政府機関が講じた措置
中国政府が違法伐採に対して講じている様々な対策については上記で詳しく検証し た。木材合法性に関する法律のための準備は完全に整っており、法律、規則および政 策の改訂がいずれ行われることも述べたが、大まかなスケジュールも決まっている。
(1) 違法伐採の禁止を盛り込むために森林法およびその他の関連法を適時に改正する ための長期目標が設定されている。
(2) 違法伐採の禁止を盛り込むために森林法実施規則およびその他の関連規則を改訂 するための中期目標が設定されている。
(3) 違法伐採の禁止を盛り込むために関連政策および省庁規則を変更するための短期 目標が設定されている。
3.3.2 産業組織が講じた措置
活動的な林業組織(または林業団体)として、中国林業協会(Chinese Forestry Industry Association)、中国林産業協会、中国木材・木材製品流通協会(China Timber and Timber Products Distribution Association)、上海木材貿易協会(Shanghai Timber Trade Association)がある。
これらの林業団体は何年も前から EU 木材規則や米国レイシー法の要求事項に留意 し、木材合法性に対するこのような国際要件に対処するために政府機関、中国のNGO や国際的な NGO、その他の業界団体と協力してきた。彼らの講じた措置を以下に挙 げる。
(1) 国内外で開催される違法伐採に関する様々なシンポジウム、ワークショップ、研 修への積極的な参加。中でも研修では、EU 木材規則およびレイシー法の固有要 件や生産国の法規制が紹介されている。
(2) 違法伐採問題への対処方法に関する政府機関、NGOおよび国際機関との協議や基
準開発および政策決定過程への積極的な参加。
(3) 政府のグリーン調達を促進するための政府機関とのやり取り。
(4) 加盟企業(特に海外貿易に携わる企業)への支援提供で、リスクに対する認識を 高めて能力構築を強化できるように支援すること、情報サービス提供や技術研修 を行うことなどがある。
(5) 同盟関係の確立または関係企業に「合法的な調達先からの木材購入」を義務付け る業界自主規律協定の策定および改訂。
(6) 合法的木材を調達している木材供給業者を推薦するための国際機関との協力。
(7) 企業の第一者および第三者木材合法性検証実施ならびに第二者検証制度実験の支 援。
上記の措置のほか、木材合法性の要件を満たすべく、より関連性の高い活動を行って いる林業団体もある。
3.3.2.1 中国林業協会
中国林業協会は 2007 年に設立されたが、以前は China National Forestry Industry
Association という名称であった。創設当初は、木材合法性および森林管理の持続可
能性の検証方法として森林認証を非常に重視していた。同協会は、2009 年に設立さ れた中国森林認証制度に基づく初めての認証機関であるZhonglin Tianhe森林認証セ ンターの出資者となった。この森林認証センターは2010年に改組されて企業となり、
協会は株主となってセンターの株式の 20%を保有した。現在でも協会は、木材合法 性および森林管理の持続可能性の検証方法としての森林認証を実施することで木材 合法性に取り組む活動に参加している。
3.3.2.2 中国林産業協会
(1) 木材合法性検証に関する実験
前述のように、中国林産業協会(CNFPIA)は中国の林業団体の中でも積極的な木材 合法性検証推進団体である。2012年11月、CNFPIAは試験的な中国木材合法性検証 基準を正式に発表し、全国で木材合法性検証の実験を開始した。これまでのところ、
合計13社がCNFPIAによって発行された木材合法性証明書を取得しており、複数の
企業が検証にかけられているところである。
同協会は SFA を支援し、他の業界団体や研究教育機関と協力して中国木材合法性検 証基準のための正式な集団基準開発を行っている。集団基準は、他の参加機関がどれ だけ技術支援を提供しても関係なく、最終的には CNFPIA によって公布されること が予想される。
(2) 企業の信用性
「市場の経済秩序を正して統制し、現代の市場志向型経済の社会的信用性システムを 改善する」という政府の要求に応えて、CNFPIAは2012年9月以来、「中国林業信 用性同盟(China Forestry Industry Credibility Alliance)」というプラットフォームを 構築することになり、加盟企業に参加するよう促している。信用性システムの一環と して、合法性を確保するための木材調達時の企業によるデューディリジェンスの実施 も評価指標として盛り込まれている。
3.3.2.3 中国木材・木材製品流通協会
中国木材・木材製品流通協会(CTWPDA)は国務院国有資産監督管理委員会に従属 する業界団体で、中国全土のあらゆる製材企業が対象となる。
上記の一般的な措置に加えて、中国木材・木材製品流通協会では2007年1月後半に は早くもすでに「企業信用評価システム」の開発を承認していた。そのため、試験的 な「製材企業の信用評価に関する規則(Regulations on Credit Evaluation for Timber
Enterprises)」を策定した。評価原則、申請企業の条件、評価機関の設置、評価およ
び格付けの要素、評価方法および手順、料金およびその用途、情報開示、監督および 管理などについて定めたものである。
評価は、基本的な信用力、企業の業績、支払能力、事業経営能力、商業信用記録、社 会的責任という6つの側面に照らして実施される。それぞれの側面について評価シス テム全体の中で個別の指標を用いて別々に評価され、100点が満点である。製材企業 の信用格付けはスコアに応じた3つのレベルと5つの下位レベルで構成される。
評価システムとその指標は企業の信用に関するほぼすべての側面を扱っており、木材 合法性と密接に関係するCOC(加工・流通過程の管理)認証もある。すなわちCSR
(企業の社会的責任)評価であり、「企業による木材調達と総合的な木材利用の合法 性調査を重視し、森林資源の持続可能性に対する貢献度を評価する」。
評価システムには信用評価指標の一環として、企業の環境的・社会的側面も含まれる。
これは環境保護に対する製材企業の責任意識を高め、森林管理認証、COC 認証、認 証木材の調達、植林、木材の総合的な利用率の向上などを始めとした、環境保護に利 する慣行を採用するよう奨励することにより、世界中で合法的な木材取引を促進する ことを目的としている。こうした側面は 8%を占める。COC 認証は信用評価システ ムにおける指標の役目を果たすが、奨励される慣行に過ぎず、必須要件ではない。こ れらの側面に対する評価指標として以下のものがある(例えば製造企業の場合)。
(1) 企業が認証木材を調達している場合、適用している森林認証制度、認証木材の量 および割合。
(2) 製材・木材製品製造企業は COC 認証を採用しているかどうか。どの認証制度を 適用しているか。認証を取得している企業は高得点となり、COC認証を適用して いる企業は最高得点となる。
(3) 社会的責任8000基準(Social Accountability 8000 Standard)認証、ISO14000環 境マネジメント認証、OHSAS18001労働安全衛生認証などを取得しているか。
(4) 信用格付けに参加して以来、締結した木材調達契約は何件あるか。締結した契約 のうち、「森林伐採に関する現地法規制を順守して木材を供給すること」を約束 しているものは何件あり、このような約束に基づく供給量はどれくらいあるか。
供給業者はどこか。このような約束をしていない他の木材の供給量はどれくらい あり、供給業者はどこか。
(5) 企業の木材利用率。
(6) 違法伐採または森林破壊または絶滅危惧種の輸入に関して、政府の監督機関に残 されている記録があるか。
(7) 植林や環境保護など、公益プログラムを後援したことがあるか。森林環境の持続 可能な開発に貢献しているか。
(8) 中国木材・木材製品流通協会が始めたダブル・コミットメント(品質およびアフ ターサービス)運動に参加しているか。
中国が国全体に適用される信用システムを構築しようとしていることについて、現在 の評価システムが、合法的な木材調達源の確保を始めとする製材企業の事業運営にお けるすべての側面を規制する上で有効な役割を果たしていることが証明されている ので、このシステムは今なお使用されている。2016 年に関する適用についての通知 が2016年12月28日に出されたばかりである。
3.3.2.4 上海木材貿易協会
業界団体による上記の一般的な措置のほかに、上海木材貿易協会(STTA)は現地林 業団体として、違法伐採に対処するために以下のような対策も積極的に講じている。
(1) 所管政府機関との連携および様々な対処活動への参加、また長江デルタ地帯に重 点を置いた、製材企業による国際貿易に関する独自の、ないしは共同での調査の 実施。
(2) 木材合法性に関する数々の国内・国際ワークショップ、林業展示会および上海で のその他のイベントの独自の、ないしは共同での主催、あるいは主催の支援、な らびに参加者と上海および長江デルタ地帯全域を拠点とする製材企業との直接対 話や交流の企画。
(3) 所管政府機関と協力して、上海および長江デルタ地帯全域を拠点とする企業によ る「米国および EU における木材製品の合法的取引に関するアップデート・ワー クショップ」のための2008年の米国訪問を企画した。参加者たちが米国司法省、
米国森林局などの職員と直接対話し、意思疎通を図れるように計画した。
(4) 加盟企業に米国や欧州諸国から認証木材または低リスクであることが保証されて