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中国企業による海外投資の概観

2. 中国の木材産業の状況

2.3 中国の民間企業による海外投資と事業統合の事例

2.3.1 中国企業による海外投資の概観

中国の林業は近年、グローバルな事業展開を加速的に進めており、海外の森林投資 の画期的な手法が次々に現れている。

現在、中国企業による海外投資の実践は、ロシア・アフリカ・東南アジア・米国な どでの木材伐採、一次加工、木製の製品および家具の生産が主軸となっている。投資 手法は、単なる木材伐採と一次加工から木材伐採・高次加工・貿易を一元的に行うス タイルへと、また企業が森林資源を直接購入または賃借するやり方から買収・合弁事 業・戦略的提携・株式交換などのさまざまな協力パターンへと移行するなど、大幅に 変化した。

中国林業局は諸政府間・銀行間・企業間の協力のためのプラットフォームを提供し、

適切な条件を満たす森林事業者による融資の申請を可能にする新しい協力のメカニ ズムと方法を導入している。

2.3.1.1 海外投資の受入国別分布

ある中国の組織が2013年に実施したアンケート調査によると、中国企業が投資を行 った国は 2013 年末までに65 カ国にのぼっており、そうした中国企業の海外投資の 大半がロシアに集中していた。中国企業 557 社が海外に森林投資会社589 社を設立 し、その海外直接投資額は39億1800万ドル、購入・賃借した森林地の面積は5636

万8000ヘクタール にのぼり、受入諸国に合計2万9000人(うち中国人以外の従業 員が1万8000人)を雇用している。

これらの中国企業589社のうち、ロシアに海外投資を行っている企業が最も多い。

企業数で見れば最大 291社で、全体の 49.1%にあたる。第2 位はラオスで、投資し ている中国企業は70社にのぼり、全体の11.8%を占めている。第3位が米国で、23 社(全体の 3.9%)が投資している。カンボジア、ガボン、カナダ、ニュージーラン ド、インドネシアもそれぞれ中国企業10社以上を受け入れている。これらの中国企 業589社は世界の6大陸に分布し、その内訳はアジア141社、アフリカ68社、南米 17 社、オセアニア40 社、北米19 社、ヨーロッパ14 社であり、割合でみるとアジ ア23.9%、アフリカ11.5%、南米2.9%、オセアニア6.8%、北米3.2%、ヨーロッパ 2.4%となっている。

(1) 購入・賃借した森林地の分布

中国の林業企業が購入または賃借した海外の森林地は増加している。その総面積は 4300万ヘクタール超で、その中で約4000万ヘクタール、割合にすると全体の92.7%

がカナダ・ロシア・ギニア・コンゴ・ガボンの5カ国に位置しており(森林地面積の 大きいものから順に記載)、割合にするとカナダが全体の 42.4%、ロシアが 41.3%

と特に多く、続いてガイアナ3.2%、コンゴ共和国3%、ガボン2.9%、その他の受け

入れ国7.3%に分布している。

(2) 年間木材採取量の分布

中国の林業企業が海外で採取した木材の量は年間およそ1520万㎥となっており、

そのうち約1400万㎥(全体の92.3%)がロシア・カナダ・ニュージーランド・パプ アニューギニア・ガボンの5カ国(採取量の大きいものから順に記載)で採取されて いる。割合で見ると、採取総量の59.9% がロシア、19.2%がカナダ、7.4%がニュー ジーランド、4.2%がパプアニューギニア、1.6%がガボン、残り7.7%がその他の国で 採取されている。

(3) 海外資産の分布

中国の林業企業が実際に所有する海外資産総額は約37億米ドルにのぼり、うち29 億7100万米ドル(全体の80.5%)がロシア・ガイアナ・カンボジア・コンゴ・カナ ダの5カ国(資産額の大きいものから順に記載)に集中している。具体的には、総海 外資産のうち18億2300万米ドル(全体の49.4%)がロシアに、5億米ドル(13.6%)

がガイアナにある。

(4) 実際の投資額の分布

2012年末の統計調査の途中集計によると、さまざまなタイプの中国企業557社が 海外に投資・設立した林業企業は計 589 社で、その実際の投資額の総計は約 39 億

がロシア・ガボン・ラオス・ガイアナ・ニュージーランド・ジョージア・カナダ・カ ンボジア・赤道ギニア・フランスに分布していた(投資額の大きいものから順に記載)。

最も多額の投資を受けているのはロシアで、その投資額は 29 億8500 万米ドルで、

海外への林業投資総額の60.9%を占めている。第2位はガボンで、投資額は2億8900 万米ドル(全体の11.9%)だった。ラオスは1億6900万米ドルの投資を受け、投資

総額の7.6%を占めていた。下の図を参照のこと。

0 10 20 30 40 50 60 70

Russia Gabon

Laos Guyana

New Zealand Georgia

Canada Combod

ia

Equatorial Guinea Franc

e Investment value (million US$)

Proportion (%)

図 2-8: 中国企業による海外の林業への投資額(国別)

受入地域で見ると、圧倒的な割合を占めるロシアを除き、アフリカが第2位につけ、

投資額3 億3200万米ドル(全体の8.5%)を受け入れている。また、2億 800万米 ドル(全体の5.3%)がアジアに、1億300万米ドルがオセアニアに、7700万米ドル がヨーロッパに、そして最も少額の4800万米ドルが北米に投資されていた。下の図 を参照のこと。

図2-9: 中国企業による海外の林業への投資額(大陸別)

2.3.1.2 被投資産業

中国企業が投資・設立した海外の林業企業 589 社中、森林伐採と材木および板目 材の一次加工に従事している企業は 391 社で全体の 66.4%、70 社が植林業者で

ロシア ガボン ラオス ガイアナ ュージーラン ョージア カナダ カンボジア 赤道ギニア フランス

投資額(単位:百万米ドル)

比率(%)

ロシア アフリカ アジア 南米 オセアニア ヨーロッパ 北米

11.9%、61 社が家具メーカーで 10.4%を占めており、技術の研究開発および譲渡に 従事している企業はわずか3社しかなく、比率も最も少ない0.5%であった。

2.3.1.3 海外投資の省別内訳

海外で林業事業を経営している投資家のトップ10は黒竜江省、山東省、雲南省、

江蘇省、吉林省、浙江省、国家政府の運営企業および林業工業集団4社、内モンゴル 自治区、広東省、遼寧省で、これらの経営する林業事業が全体の80%以上を占める。

黒竜江省は中国の全省中、海外に最大数の林業企業を所有する省であり、その企業 数は177社で、全体の30.1%を占めている。次点が山東省で、海外に林業企業を60 社所有し、全体の10.2%である。続いて雲南省が42社を経営し、7.1%を占めている。

投資額でみると、投資家トップ10は黒竜江省、国家政府の運営企業および林業工 業集団、山東省、吉林省、広東省、江蘇省、新疆ウイグル自治区、河北省、遼寧省、

浙江省で、これらの投資総額は40億米ドル近くにのぼり、中国による海外の林業へ の投資総額の 99%を占めている。中でも、黒竜江省の投資額が最も多く、金額にし て25億3100万米ドルで全体の64.6%となっている。続いて山東省が投資額3億8500 万ドルで全体の 9.8%、国家政府の運営企業および林業工業集団が投資額 3 億 5400 万ドルで9.0%を占める。

2.3.1.4 被投資企業の所有形態

中国企業が投資している海外の林業企業589社の大半が民間企業で、その数は519 社にのぼり、全体の 88.1%となっている。国営企業が 38 社で全体の 6.5%、これら 以外の所有形態の企業が32社(半官半民企業など)で5.4%を占めている。

国営企業38 社中で最多数を占めるのが国家政府の運営企業18 社で、他に8 社が 国有林業会社、12社が林業以外の国有企業となっている。

投資額で言えば、民間企業が最も多額の投資を受けており、その投資額は最大35億 400万米ドルで、投資総額の89.4%を占めている。国営企業への投資額は4億1400 万米ドル(全体の11.6%)となっている。

国家政府の運営企業への投資額は3億8100万米ドルで、国営企業への投資総額4億 1400万ドルの大半である92%を占めている。その他のタイプの国営企業への投資額 が2900万米ドル、林業工業会社への投資額が400万米ドルとなっている。