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家具産業の急速な発展

2. 中国の木材産業の状況

2.2 中国広東省の木材産業のケース分析

2.2.3 家具産業の急速な発展

1980年代以降に国家経済が急成長し、国民の生活水準が高まり続けたおかげで、

広東省の木製家具産業が盛んになった。広東省の家具産業は約30年間で、納屋を作 業場として家具作りをしていた生産形態から、東莞市・順徳区・深圳市・中山市・広 州市という生産拠点を中心に、珠江デルタおよび広東省全体に広がる大規模かつ活気 あふれる産業に成長した。家具の生産・供給・販売の全工程を揃えた完全な家具産業 チェーンが誕生するに至った。東莞市や順徳区などの家具産業は、地域の基幹産業と なった。それでも、広東省の家具産業の経営・管理能力にはまだ改善すべき部分があ る。特に家具のデザインは改善が必要である。広東省の家具産業には現在、純粋に地 域の特産と言えるブランドがほとんどない。家具会社の多くは小企業で、研究開発能 力に乏しいため、ほとんどの会社が他社の製品の模倣品の製造を糧としている。家具 会社は無法な競争に走ることが多く、そのせいで開発の規模が制限されるようになっ た。

(1) 地域の家具産業の発展経緯と概要

広東省の家具産業は非常に速いペースで成長した。1980 年代前半には、広東省の 木製家具業界による木材の消費量は1万8,900㎥しかなかった。国家経済が急速なペ ースで発展し、国民の生活水準が上がり続ける中で、広東省の家具産業は従来の国営 工場または共同経営の小さな工場から成る構造から漸進的に変化し、国営・共同経 営・民間企業・台湾資本・香港資本など、所有形態もさまざまな近代的な企業で構成 される形態へと発展を遂げた。また製造・生産設備は、機械化または準機械化された 製造方法が手工具に取って代わった。

1980年代の初めの2年間で、広東省における家具用木材の消費量は7万㎥まで増 加した(この量には、資材に使われる大量の木質パネルも含まれる)。1990 年代に は、広東省の家具用木材の消費量も10万㎥に達し、家具業界の木質パネルの消費が 材木の消費量を超えたため、木質パネルの生産量が増加し続けた。統計によると、広 東省における木質パネルの生産高は1978 年には4 万1,000 ㎥だったのが、2002年 には176万2,000㎥(現地生産の中密度繊維版[MDF]56万㎥および輸入されたMDF 73 万 200 ㎥を含む)まで増加している。つまり、これだけの消費量の MDF が、広

東省、中国のその他の地域、海外から調達されてきたことになる。1993年以降には、

広東省の家具産業が飛躍的な進化を遂げ、さまざまなタイプの所有形態の家具会社が 登場した。1999年には家具製造業者が6,000社以上で、その総生産高は320億元と なった。近年は、家具産業の世界的成長による需要への対応と、生産量の拡大と品質 の向上を図るため、広東省の家具製造業者は世界高水準の装置・設備と技術を導入し、

広東省の家具の生産量・品質・スタイルが大きく向上している。

統計速報によると、広東省には現在、家具会社が9,600社あり、100万人以上が雇 用されている。2002年の広東省の家具の生産高は480億元に達し、中国全体の家具

生産高 1600 億元の 30%を占めるに至った。480 億元のうち、輸出高は 27 億 3300

万米ドルで、中国全体の家具輸出高54億1700万米ドルの50.61%を占めていた。2015 年には、広東省の木製家具の輸出高は109億7000万米ドルで、中国全体の木製家具

輸出高の51.76 %を占めていた。広東省の家具輸出は、中国の家具輸出を代表するも

のだと言っても過言ではない。

広東省の家具産業の好況は、家具業界の川下産業の成長も促した。広東省の木質パ ネル、材木、製材品をはじめとする家具用資材の市場は、中国において重要な役割を 果たしている。広東省には木質パネルの大・小企業を含む業者が1,000 社以上あり、

公表されている木質パネルの生産量は 2002 年には 176 万 2000 ㎥だったが、2015 年には 1454 万㎥になり、91.27%増となった。広東省全体の家具向け木材の消費量 は1980年代前半には1万8900㎥だったのが、2015年には507万㎥に達し、286.25 倍に増えている。実際のところ、広東省の木質パネルの生産量は約1300万㎥あると 推定されており、合理的な試算に基づく雇用者数はおよそ10万人となっている。木 質パネルの他にも、木工機械業者、家具用金具会社、塗料会社、包装業者などの家具 関連産業がある。事業者数や雇用者数などの統計はないものの、広東省の内外には深 圳市の大宝塗料工場(Dabao Paint Factory)、順徳区の华润涂料工場(Huarun Paints

Factory)をはじめ有名な塗料メーカーが数社ある。例えば华润涂料工場は年間数百

万元の売上高を出している。広東省順徳区伦教地区(The Guangdong Shunde Lunjiao) は過去10年の間に、何もないゼロの状態から、中国の木工機械の生産・販売拠点へ と成長した。広東省勒流鎮の家具用装飾金具産業は急速に成長しており、高い評価を 受けている。

家具産業の急成長は、流通市場の発展も促した。広州~湛江高速道路沿いの順徳区 から龍江県に変わる辺りに、「家具通り」と呼ばれる道路が10 kmにわたって延び、

その中で順徳区楽従鎮国際家具都市(Shunde Lecong International Furniture City)が 最も活気あふれる地区のひとつである。楽従鎮国際家具都市は面積2億㎡の市場に何 百件もの店が立ち並んでいる場所で、中国各地の家具店2000軒以上が出店し年間売 上高 200 億元以上を叩き出すアジア最大の家具卸売市場となっている。他にも、東 莞市厚街鎮国際家具都市(Dongguan Houjie International Furniture City)、恒峰家具 都市(Heng Fung Furniture City )、順徳区龍江国際家具都市(Shunde Longjiang International Furniture City )、広州市金海马家具都市(Guangzhou Jinhaima Furniture

City )などがある。さらに、広東省産または中国各地で製造されたブランド家具を

の拠点となってきている。また、龍江木材卸売市場、大嶺山鎮基隆木材市場、厚街鎮 工業木材装飾品都市(Houjie Industrial Wood Decorative City )、広東省玉珠国際木 材 市 場 (Guangdong Yuzhu International Timber Market ) 、 広 州 市 天 健 広 場

(Guangzhou Tianjian Square )などの大規模な資材市場もある。

広東省では大規模な家具展示会が年間11回開催され、世界各国から無数の家具工 場関係者・ビジネスマン・業者が、家具の買い入れ・交渉・視察のために訪れる。そ のため、広東省の家具業界は、世界のニーズに敏感な場所となっている。それでも広 東省の家具が世界水準に追いつくまでしばらく時間がかかりそうだが、中国の家具産 業といえば広東省の家具産業が一番であることは疑いようがない。一部の内部関係者 が言うように、「イタリア人は世界中の家具をつくり、広東人は中国の家具をつくっ ている」のである。実際に、広東省の家具の輸出高はすでに多くの国の輸出高を超え ている。

商品の種別に関して言えば、広東省の家具は無垢材の家具と木質パネルの家具を主 軸とし、続いて金属製、ガラス製、その他の材質の家具となっている。竹製家具と藤 製家具の生産量はそれより少ないが、広東翡翠藤工場(Guangdong Feicui Rattan Factory)や東莞伊藤园藤会社(Dongguan Yitengyuan Rattan)など少数の竹製家具 や藤製家具メーカーは東南アジアやヨーロッパの諸市場でベストセラーとなってい る商品を販売しており、国際的に評価されている。

広東省の家具業者の多くは、民間企業、共同経営企業、香港系企業、台湾系企業と なっている。香港系家具会社、台湾系家具会社、および一部の民間企業を除き、家具 業者のほとんどが中小企業である。

(2) 家具業者の地域別分布

広東省の家具業界は一般に、所在地で分類されている。その所在地は珠江デルタ沿 いに集中しており、東莞市・仏山市・中山市・深圳市・広州市に特に多い。これら都 市の中でも、東莞市には家具業者が 3000 社以上あり、雇用者数は36 万人、年間生 産高は 600 億元超にのぼっている。東莞市の家具業界は最上級(ハイエンド)およ び中級(ミッドエンド)仕様の無垢材家具やオフィス家具(キッチンや寝室で使われ る家具も含む)とソフトウェアデザイン家具などを生産している。

東莞市産家具の特色はブランド生産であり、大半が輸出用である。民間経営、共同 経営、海外資本による家具事業者が並行して成長し、共同所有形態の事業者が全体の 15%、民間の事業者が40%、外資系の事業者が45%を占めている。現在、厚街鎮・

大嶺山鎮・長安鎮などが家具の主要生産拠点となっており、大嶺山鎮だけでも、香港 資本または台湾資本の家具業者200社以上を擁しており、輸出高はおよそ15億米ド ルに達しており、広東省全体の家具輸出高の半分以上を占めている。東莞市の家具事 業者は東莞太盛家具工場(Dongguan Taisheng Furniture Factory)、美时家具制造股 份公司(Meishi Furniture Manufacturing Co.Ltd.)などの比較的大手のメーカーが大 半を占めており、その多くが年間生産高10億元超をあげている。しかし、そうした 大企業および超大手企業の大部分が香港および台湾の実業家に所有されている。家具 産業は現地の産業の中で、家電用品、衣類、電子機器に次いで第4位の基幹産業に成