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有理数の順序

[命題 3.11x∈Qとし, a0/b0xの既約分数による表示とする. このとき, 任意のa, b Z, b >0に対して,x=a/bならば, d= gcd(a, b)とおくとa=a0d,b=b0dとなる.

[証明]d= gcd(a, b)とおき,a0=a/d,b0=b/dとおくと, x= a0

b0, gcd(a0, b0) = 1

となり,xは既約分数a0/b0で表される. 既約分数による表示の一意性により,a0=a0,b0=b0とな る. したがってa=a0d,b=b0d.

[命題 3.12] (i) 任意のa∈Zに対して,a/1aの既約分数による表示である.

(ii) 任意のb,c∈Z,b6= 0に対して, c

b Z⇐⇒cbの倍数 が成り立つ.

[証明](i)QがZの商体であることから,a=a/1であることは明らかである. また, Bx={b∈Z|b >0かつ,あるa∈Zが存在してx=a/b}

とおくと, 1∈Bxである. 1がBxの最小元であることはすぐにわかる13). よってa/1aの既約 分数による表示である.

(ii)a=c/bとおく. (i)より,c/bの既約分数による表示はa/1である. 前の命題から,d= gcd(c, b) とおくとc=ad, b= 1·d=dとなる. よってc=ab. 逆に, cbの倍数ならば, あるt∈Zが存 在してc=tbとなる. よってc/b= (tb)/b=t/1 =t.

[定理 3.14]任意のx,y,z∈Qに対して,x≤yかつy≤zならば, x≤zが成り立つ.

[証明]a/b,c/d,e/fをそれぞれx,y,zの既約分数による表示とする. このとき, x≤y, y≤z=⇒bc−ad≥0, de−cf 0

=⇒bcf−adf≥0, bde−bcf 0

=⇒bde−adf≥0

=⇒be−af 0

=⇒x≤z となる.

[定理 3.15]任意のx,y∈Qに対して,x≤yかつy≤xならば,x=yが成り立つ.

[証明]a/b,c/dをそれぞれx,yの既約分数による表示とする. このとき, x≤y, y≤x=⇒bc−ad≥0, da−cb≥0

=⇒cb−ad≥0, cb−ad≤0

=⇒cb−ad= 0

=⇒ad=cb

=⇒x=y となる.

以上より,が実際にQ上の順序関係であること,すなわち反射法則,推移法則,対称法則が成り 立つことが示された.

二つの有理数x,yについて,x≤yかつx6=yであることをx < yy > xで表す. このとき,yxより大きいといい,xyより小さいという.

x, y∈Zとし, a/b,c/dをそれぞれx, yの既約分数による表示とする. このとき, x=yである ことの定義から

x=y⇐⇒ad=cb⇐⇒bc−ad= 0.

さらに,

x < y⇐⇒x≤yかつx6=y⇐⇒bc−ad >0.

このことを用いると,<に置き換えることで,上の定理の証明と同様にして x < yかつy < z=⇒x < z

を示すことができる.

[定理 3.16]任意のx, y∈Zに対して, x < y,x=y,x > yのいずれか一つ, しかも一つだけが 成り立つ.

[証明]a/b,c/dをそれぞれx,yの既約分数による表示とする. このとき, x < y⇐⇒bc−ad >0,

x=y⇐⇒bc−ad= 0,

x > y⇐⇒da−bc >0⇐⇒bc−ad <0.

一方,Zにおいてbc−ad >0,bc−ad= 0,bc−ad <0のいずれか一つ,しかも一つだけが成り立 つ.

[定理 3.17]任意のx,y,z∈Qに対して,

x < y⇐⇒x+z < y+z が成り立つ.

[証明]x,y,zの既約分数による表示をa/b,c/d,e/fとする. まず, x+z= af+eb

bf , y+z= cf+ed

df . よって,f >0より

x+z < y+z⇐⇒(cf+ed)bf−(af +eb)df >0

⇐⇒(bc−ad)ff >0

⇐⇒bc−ad >0

⇐⇒x < y となる.

[定理 3.18]任意のx,y,z∈Qに対して,z >0ならば, x < y⇐⇒xz < yz が成り立つ.

[証明]x,y,zの既約分数による表示をa/b,c/d,e/fとする. まず, xz= ae

bf, yz= ce

df. z >0より,e >0,f >0だから, ef >0. よって

xz <+z⇐⇒cebf −aedf >0

⇐⇒(bc−ad)ef >0

⇐⇒bc−ad >0

⇐⇒x < y となる.

[定理 3.19]任意のx, y∈Qに対して,x < yならば,あるz∈Qが存在してx < z < yが成り 立つ. この性質をQの稠密性という.

[証明]a/b, c/dをそれぞれx,yの既約分数による表示とする. b >0,d >0よりb+d >0. そ こで,

z=a+c b+d とおく. x < yより,bc−ad >0である. よって

b(a+c)−a(b+d) =bc−ad >0, (b+d)c−(a+c)d=bc−ad >0.

したがってx < z < y.

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