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公約数・公倍数

[定理 2.40]任意のa, b,c∈Z+に対して,次の3つの条件が成り立つ.

(i) a|a.

(ii) a|bかつb|aならば,a=b.

(iii) a|bかつb|cならば,a|c.

[証明](i) a=1より明らか.

(ii) a|bのとき,あるq∈Z+が存在してb=aqとなる. q≥1より, a≤a+a(q−1) =aq=b.

同様にしてb≤aもいえる. したがって,a≤bb≤aとがともに成り立つから,a=b.

(iii) a|bのとき,あるq∈Z+が存在してb=aqとなる. 同様に,b|cのとき,あるq0Z+が 存在してc=bq0となる. よって,

c=bq0 =aqq0. qq0Zであるから,c|a.

[注意 2.2]上の定理の(i), (iii)は,その前の定理を適用することで,負の整数にも拡張できる. し かし, (ii)は負の整数までは拡張できない. 例えば,1 = 1·(1), 1 = (1)·(1)より(1)|1か つ1|(1)であるが16= 1である.

[定理 2.41]任意のa, b,c∈Zに対して,次のことが成り立つ.

(i) gcd(a, b) = gcd(b, a).

(ii) gcd(a, b, c) = gcd(gcd(a, b), c).

[証明](i) xを整数とする. 明らかに,xabの公約数であることと,baの公約数である こととは同値である7). これより,abの任意の公約数がdの約数であることと,baの任意の 公約数がdの約数であることとが同値であることも明らかである8).

(ii) d= gcd(a, b, c),d0 = gcd(gcd(a, b), c),d00= gcd(a, b)とおく.

d|a, d|bよりd|d00. また, d|c. ゆえにd|d0. 逆に,d0|d00であり,d00|aだからd0 |a. 同様 にd0 |b. 一方, d0 |cでもある. したがってd0 |d. ゆえに, d0 |dかつd|d0より, d=d0. ここで, d >0,d0 >0であることに注意せよ.

m∈Zに対して,mの倍数全体からなる集合をmZとおく. すなわち mZ={mx|x∈Z}

とする.

[定理 2.42]a,b∈Zとし,

I={ax+by|x, y∈Z}

とおく. このとき,あるd∈Zが存在して

I=dZ, d= gcd(a, b) が成り立つ.

[証明]S={x∈N|x∈I, x6= 0}とおく. Nの整列性により,Sの最小元d >0が存在する. こ のとき,あるx,y∈Zが存在して

d=ax+by と書ける.

I=dZを示せばよいが, dZ⊆Iは明らかなので9),I⊆dZを示せば十分である.

z∈Iとする. あるq, r∈Zが存在して

z=dq+r, 0≤r < d

7)二つの命題P,Qについて,「PかつQ」と「QかつP」とが同値であることに注意して,Pとしてx|aをとり,Q としてx|bをとればよい.

8)きちんと証明すれば,abの公約数全体の集合をAとし,baの公約数全体の集合をBとし,dの約数全体の集 合をDとするとき,xabの公約数であることと,baの公約数であることとが同値であるからA=B. よって ADBD.

9)任意のzZに対してdz= (ax+by)z=a(xz) +b(xz)Iとなるから.

となる. 適当なu,v∈Zをとって

z=ax+by と書けば,

r=z−dq=a(u−xq) +b(v−yq)∈I.

ところが,dの最小性によりr= 0でなければならない. よってz=dq∈dZ. ゆえにI⊆dZ. a=1 +0,b=0 +1よりa, b∈I=dZ. よってda,bの公約数である. また,a,b の任意の公約数wに対して

w|(ax+by) =d.

ゆえにda, bの最大公約数である.

[定理 2.43]a,b,c∈Zとし, a, bの最大公約数をdをする. このとき,次の2つの条件は同値で ある.

(i) あるx,y∈Zが存在してax+by=c.

(ii) d|c.

[証明]Iを前定理の通りとすると, (i)⇔c∈I⇔c∈dZ(ii).

a,bを整数とする. gcd(a, b) = 1が成り立つとき,abとは互いに素であるという.

[定理 2.44]a,b∈Z, m∈Z+とする. このとき

gcd(ma, mb) =gcd(a, b) が成り立つ.

[証明]d= gcd(a, b),d0 = gcd(ma, mb)とおく.

適当なx,y∈Zをとって

d=ax+by と書き,両辺にmを掛けると,

md= (ma)x+ (mb)y.

ゆえにd0|md.

逆に 適当なx0,y0Zをとって

d0= (ma)x0+ (mb)y0 と書けば,

d0 =m(ax0+by0).

d|a,d|bよりd|ax0+by0であるから,md|d0. したがってd0=md.

[定理 2.45a,b,c∈Zとし, gcd(a, b) = 1とする. このとき,a|bcならばa|c.

[証明]gcd(a, b) = 1より,あるx,y∈Zが存在して ax+by= 1.

両辺にcを掛ければ,

acx+bcy=c.

a|bcであるから,この左辺はaの倍数である. ゆえにa|c.

[定理 2.46a,b,c∈Zとする. このとき

gcd(a, b) = gcd(a, c) = 1⇐⇒gcd(a, bc) = 1.

[証明]まず, gcd(a, b) = gcd(a, c) = 1を仮定してgcd(a, bc) = 1を証明する. d = gcd(a, bc) とおくと, d| a, d | bc. もし仮にgcd(d, b)> 1ならば, d |aよりgcd(a, b)> 1となる. これは gcd(a, b) = 1に反する. よってgcd(d, b) = 1. したがって前の定理よりd|c. ところが,d|aより da,cの公約数である. 仮定よりgcd(a, c) = 1であったから,d= 1でなければならない.

次に, gcd(a, b)>1ならばgcd(a, bc)>1となることは明らかである10). 同様に, gcd(a, c)>1 ならばgcd(a, bc)>1となることも明らかである. よって,

gcd(a, b)>1またはgcd(a, c)>1 =gcd(a, bc)>1.

対偶をとれば

gcd(a, bc) = 1 =gcd(a, b) = gcd(a, c) = 1 となる.

整数a,b∈Zに対して,abの両方の倍数であるような整数のことをabの公倍数という.

l∈Zがabの最小公倍数であるとは,次の3つの条件が成り立つときにいう.

labの公倍数である.

abの任意の公倍数はlの倍数になる.

l >0.

abの最小公倍数を記号lcm(a, b)で表す.

3つ以上の整数に対しても,同様にして公倍数,最小公倍数を定義することができる. 例えばa,b, c∈Zに対して,a,b,cのそれぞれの倍数であるような整数をa,b,cの公倍数という. また, l∈Z がa,b,cの最小公倍数であるとは,次の3つの条件が成り立つときにいう.

10)d= gcd(a, b),d0= gcd(a, bc)とおく.d|bならばd|bc.よってd|d0である.d >0,d0>0だから,dd0.

la,b,cの公倍数である.

a,b,cの任意の公倍数はlの倍数になる.

l >0.

a,b,cの最小公倍数を記号lcm(a, b, c)で表す.

[定理 2.47]任意のa, b,c∈Zに対して,次のことが成り立つ.

(i) lcm(a, b) = lcm(b, a).

(ii) lcm(a, b, c) = lcm(lcm(a, b), c).

[証明](i) xを整数とする. 明らかに,xabの公倍数であることと,baの公倍数である こととは同値である. これより,abの任意の公倍数がlの倍数であることと,baの任意の公 倍数がlの倍数であることとが同値であることも明らかである.

(ii) l= lcm(a, b, c),l0 = lcm(lcm(a, b), c),l00= lcm(a, b)とおく.

a|l,b |lよりl00 |l. また, c| l. ゆえにl0 |l. 逆に, l00| l0であり, a| l00だからa|l0. 同様に b |l0. 一方,c |l0でもある. したがってl|l0. ゆえに, l|l0かつl0 |lより, l =l0. ここで,l >0, l0 >0であることに注意せよ.

[定理 2.48]a,b∈Z+の最大公約数をd,最小公倍数をlとする. このとき ab=dl

が成り立つ.

[証明]a=a0d,b=b0dとおく.

d= gcd(a, b) = gcd(a0d, b0d) =d·gcd(a0, b0).

d >0なのでgcd(a0, b0) = 1. 一方,laの倍数であるから,あるk∈Z+が存在して l=ak=a0kd.

lbの倍数でもあるから, b|a0kdである. b=b0dよりb0d|a0kdであり,d6= 0よりb0 |a0kが得 られる. gcd(a0, b0) = 1であるから,b0 |kである. したがって,あるt∈Z+が存在してk=b0t. こ のとき,

l=ak=ab0t=a0db0t=a0bt.

ゆえに,

l

t =ab0=ba0.

したがってl/ta,bの公倍数である. lが最小公倍数であることからll/tの約数,よってl≤l/t.

したがってt= 1でなければならない11).ゆえにab=ldが得られる.

11)l >0,t >0のとき,l/t < ll < l tl(t1)>0t1>0t >1.

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