第4章 保護者への質問紙調査
第2節 日本での調査の結果と考察
質問紙調査の項目を見ると,幼児の箸使いの習得の実態と幼児の箸使いに関する保護者 の意識によっておおむね二つの部分に分けることができる。本節では,日本で行う調査の 結果をまとめ,考察する。
1,幼児の性別,年齢について(問1〜2)
回収した114人のアンケートの中で男児が61人,女児が53人である。男女の人数と比
率は図4一・1のように示す。
1 性別内訳
図4−1男児と女児の比率
また,年齢の構成について表4−1のようである。4歳と5歳の幼児を主として,平均年齢 は4.5歳である。
表4−1 幼児の年齢構成
年齢
3歳 4歳 5歳 6歳
合計人数 17 37 44 16 114
2,アンケートの回答者について(問3)
調査項目の回答者は,母親と父親だけである。この中で,父親が回答したアンケートは4 件であり,ほとんどが母親によって答えられており,96%を占めている。このような結果 から,日本における,幼児の教育,幼稚園との連絡等を行うのは主に母親と父親でおり,
またその多くが母親であると窺える。
3,家庭構成について(問4〜5)
家庭の形態と家族そろって食事する頻度に関する結果は表4−2,図4−2に示す。
表4−2 庭形態の比率
家族形態 人数 比率
核家族 83 73%
大家族 29 250/o
その他 2 20/o
合計 114 100e/,
表4−2のように,核家族と答えたのは83人で,73%の幼児が家庭で両親に教えられ影響 を受ける。「その他」を回答した2人の家庭形態は「子,母,祖父,祖母」,「近くに祖父母 が住んでいる」ということである。このように,「大家族」の29人を加えると,27%の幼 児は,両親だけではなく祖父母から教えられる機会もある。また,図4−2のように114人
中,75人はよく家族そろって食事をするので,65%以上の幼児が家庭で箸使いを習得する
環境を持っていると考える。
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叢
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灘難 1
非常に多い やや多い やや少ない 非常に少ない
図4−2家族そろって食事をする頻度(単位:人)
4,幼児の箸使いの経験について(問6〜8)
ここで,幼児の箸使いの経験の有無,箸を使い始める年齢と専用の箸の有無に関するこ とを明らかにした。箸を使って食べたことがあるかどうかについて,使用経験がない幼児 は1人だけであった。この幼児は現在4歳になっているが,未だに箸を使用していない。
このことから,この幼児の親は,幼児期に箸を習得することに積極的ではないことが窺え る。全体から見ると,ほとんどの幼児は,箸の使用経験があることが理解できる。
次に,二歳から使うことについて,結果は図4−3に示す。
4歳5歳 1歳
11% 190 11%
3歳
39%
歳翫
23 ﹂
図4−3箸を使い始める年齢
図4−3を見ると,1歳から箸を使っている幼児がいる。また,5歳で初めて箸を使う幼児 もいる。幼児たちが箸を使い始める年齢は,主に2歳と3歳に集中しており,全体の77%
を占めている。これは,幼稚園に入るために家庭で箸を練習しておくことからではないか
と推察する。
専用の箸の有無について,l14人中, llO人が専用の箸を持っている。幼児の手の大きさ に合う箸は,幼児の箸使いの習得に大いに役立つと考えられる。専用の箸があることは,
幼児の箸使いの習得によい基礎になる。
5,幼児の箸使いについて(問9〜10)
幼児の箸の持ち方について,標準な持ち方の写真と箸を習得する段階でよく現れる正し くない持ち方のクロス箸と握り箸の写真を提示した。結果は図4−4のように示している。
また,正しい持ち方にしたいかどうかを質問した。
標準な持ち方,
53% 他,4
クロス箸,31%
一一ャり箸,6%
その他10%
図4−4幼児の箸の持ち方
図4−4が示しているように,保護者の判断によって,家庭における正しい持ち方で食べ る幼児は61人おり,全体の半数以上である。正しくない持ち方の中で,もっとも多いのは,
クロス箸である。「その他」を答えたのが10%である理由は幼児が家庭で箸を使わないこと や,エジソン箸のような練習箸を使うことが理由として考えられる。
また,正しくない持ち方を回答した53人の保護者は,全員が正しい持ち方にしたいと選 択していた。日本の保護者の意識として,幼児に箸の標準な持ち方を習得させたいという 思いが認められる。
6,家庭での箸使いの習得について(問11〜14)
箸の使い方を教えられたことがあるか,またそれは誰に教えられたか,何歳頃注意され たか,どんな方法で教えたのかについて質問した。
箸の使い方を教えられたという回答を見ると,78人は教えられたことがある。教えられ たことがないとの回答は38人おり,全員の1/3を占めている。次に,誰に教えられたかと いう項目の結果を図4−5に示す。
4590 40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
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図4−5誰に教えられたか
図4−5が示しているように,母がもっとも多く42%,次いで父,祖母,祖父の順とな る。やはり,家庭で幼児の教育等においては,母親が重要な役割を果たしていることが窺 えた。核家族の家庭形態が多いので,幼児の箸使いの教育に祖父母の役割は少なくなる。
また,「その他」と回答した具体的な内容は,DVDと友達である。さらに,きょうだいが4%
であるので,幼児たちは相互に真似たり,教えたりする可能性が出てきた。この結果から,
幼稚園で他の幼児たちと一緒に箸で食べることは,幼児の箸使いの習得によい影響がある と考えられる。
次に,箸の持ち方を注意や指導を受けた年齢の結果を表4−3に示す。
表4−3箸の持ち方を注意された年齢
年齢
1歳 2歳 3歳 4歳 5歳
合計人数 2(3%) 13(17%) 36(46%) 23(29%) 4(5%) 78(100%)
表4−3のように,3歳が最も多くほぼ半数を占めている。これは,幼稚園の「お弁当日」
という保育内容と関係があると考えられる。このように,3歳児と4歳児は箸を使い始める 段階であるため,幼稚園だけでなく家庭でもよく箸の使い方を教えられ,注意されるので
はないかと考えられる。
また,どのような方法で教えるかについて,「言葉で教える」,「模範を示す」,「練習箸を 使う」,「子どもが自分で使える」,「その他」の5つの回答項目を設けている。「模範を示す」
が45%と最も多く,次いで「練習箸を使う」で30%,「言葉で教える」で17%である。「子 どもが自分で使える」は,「幼児が真似をする」という意味を相当して今回の調査で8%を 占めているため,家庭や集団保育の食事場面が真似する機会を提供している可能性が考え
られた。
7,幼児期から箸を使う必要性について(問15)
幼児期から子どもに箸を使わせる必要があるのかを聞くと,114人中109人(96%)が「は い」と回答した。理由としては主に,「幼児期は興味を持っていて,箸の使い方を習得でき る時期で,身に付きやすい」,「日本の伝統文化,食事マナーとして正しい使い方を早くか ら身につけるのはいいことだから」,「日本人にとって一生使うものなので,箸を使うのが 当たり前だから」,「手先を器用に使わせたい,脳の発達を促進できる一つの手段だから」
等が挙げられる。他の5人は,幼児期から箸使いの必要性がないと答えた。理由について,
「興味を持った時に教える」,「小学校で本格的に教えたい」,「無理に箸を使わせるより楽 しく食事をすることを優先したい」等を述べている。
結果から見ると,多くの保護者は,幼児期からの箸使いの習得に賛成していることが分 かる。箸を日本の食事の礼儀作法や日本の伝統文化として,幼児たちにこのような意識を 持つように考えている保護者は少ない。幼児期に箸を使うことは,幼児の手先と脳の発達
を促進できることを挙げ,幼児期の箸使いの必要性を強調している。その反対に,幼児に 無理をさせたくないという理由で,小学生から使えればいいと考えている保護者が2人い
た。
8,幼児に箸を使ってほしい年齢について(問16)
幼児には何歳頃から箸を使ってほしいと思うかに関する結果は図4−6に示す。図4−6の ように,1歳頃から3歳頃までに幼児に箸を使ってほしいと考えている保護者の人数は,高 まっている。3歳頃に使ってほしいと思っている人(52%)は最も多い。1歳〜3歳と答え る人が76%を占めていることから,8割近くの保護者は幼児に幼稚園に入るまでに箸を使 ってほしいと考えている。3歳以降に人数が急落して,6歳以上と答えた人は,3人で問15 の答えに相応していた。
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1歳頃 2歳頃 3歳頃 4歳頃 5歳頃 6歳以上 図4−6箸を使ってほしい年齢
9,幼児の大脳と協調性の発達を促進することについて(問17)
騨
思篠い 難
顯
図4−7幼児の大脳の発達を促進できると思うか
図4−7が示しているように8割ぐらいの保護者は,幼児期から箸を使うことが幼児の大 脳と協調性の発達を促進できると思っている。これは問15の回答に相応していた。
10,幼稚園と連携する必要について(問18)
幼児の箸使いの習得について,114人置中で78人が幼稚園と連携する必要があると考え ている。第2章では,保育者のインタビューを通して,幼稚園における幼児の箸使いの習 得について,必ず保護者と一緒に努力する重要性が確認されている。この項目の回答を見