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第4章  保護者への質問紙調査

第3節  今後の課題

 身近な行動の中に文化がある。私たちは生活習慣を身に付きながら,その文化も一緒に 習得できていた。躾もそうである。しかし,保護者や保育者が文化として意識しない形だ

けの行動をとっている状況は文化を伝えていることになるのだろうか。実は,形だけ伝わ り,「文化」としての大切な意味が伝わっていないのではないかと考える。本研究を通して,

今後の課題は以下のように考える。

 幼稚園における幼児の箸文化の習得について主に日本の様子を研究した。筆者の観察に よって,幼児の箸使いについて,まず箸使いの環境を提供することの重要性が分かった。

次に,幼児の箸使いを習得する過程に幼児同士と保育者の影響を明らかし,幼児同士の影 響と保育者の働きかけを分析した。しかし,分析がまだ不十分であるため,これから多方 面の文献を研究し続け,より深く考察していきたい。

 保育者にインタビューする過程の中に,箸を文化として捉える意識が少し薄いと感じら れた。日々の幼稚園で実施されている箸使いについても,ただ道具としての箸ではなく,

文化習得の一環として,価値を見出すべきであると考える。これから,保育内容を文化的 観点から見直し,文化的観点から幼児の箸使いの習得することが課題になる。

 本研究では,日中両国の幼稚園における箸使いの環境などの比較を試みた。日本で1園,

中国で同じ都市の2園を対象としたが,これだけでは,調査が不十分であるため,これか らは,他の幼稚園や異なる地域にある幼稚園の状況をさらに多く把握すべきである。

 幼児期の子どもにとって必要なことは箸を正しく持てるようになることよりも,まず食 事を楽しむこと・食事のマナーを守ることであると考える。そこで,どのように幼児に箸 に対する興味を持たせるのか,どのように箸のマナーを伝えばよいのか等は今後の課題に なる。また,本研究を通して,家庭と幼稚園の連携する必要性がさらに明らかとなり,連 携の方法とその効果についても新たな研究課題として把握された。

引用文献

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【参考文献】

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田中幸代 「保育士を希望する学生の箸の持ち方と,自己評価を用いることによる箸の持ち方の変化」 『中  村学園大学・中村学園大学短期大学部研究紀要』第38号 2006,73〜78頁

田中美穂子 『「箸」の「箸」による「箸」のためのはなし』 文芸社 2008

人間教育研究協議会編   『伝統・文化の教育 新教育基本法・新学習指導要領の精神の具現化を目指し  て』 金子書房 2008

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廣陽子 大和晴行 谷口博也 田中敏也 嶋崎博嗣  「幼児の箸の扱い方に着目した食育実践1」 『日  本幼少児健康教育学会第26回大会』 2007,60〜61頁

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文部科学省 『幼稚園教育要領解説』  フレーベル館 2008

谷田貝公昭 村越晃 西方毅 村田幹男 佐藤野里子 高橋弥生 小岩香緒利 寺田ゆかり 野口知津子  鎌田浩子  「親と子における箸と鉛筆の持ち方についての調査研究」 『目本保育学会大会研究論文集』

 第43号1990,86〜87頁

谷田貝公昭村越晃降旗節男村田幹男佐藤野里子室矢真弓寺田ゆかり児玉佳子田所直子小岩香緒  利小川順子生駒恭子藤田佳子名取美奈渡辺真理子 「箸の持ち方・使い方と作業量との関係につい  て」  『日本保育学会大会研究論文集』第44号 1991,648〜649頁

谷田貝公昭 高橋弥生  『データでみる 幼児の基本的生活習慣 一基本的生活習慣の発達基準に関す  る研究一』 一藝社 2007

谷田貝公昭 高玉和子 村越晃 高橋弥生 生駒恭子 早瀬百合子 斉藤恵子 青柳正彦 野口智津子  室矢真弓   「箸と鉛筆の持ち方・使い方に関する調査研究2」 『日本保育学会第62回大会発表論文  集』 2009,306頁

谷田貝公昭監修 村越晃著  『子どもの生活習慣と生活体験の研究 教育臨床学入門』 一芸社 2009 山内知子 小出あつみ 山本淳子 大羽和子  「食育の観点からみた箸の持ち方と食事マナー」  『日本  調理科学会誌』第43巻第4号 2010,260〜264頁

山下俊郎  「運動の発達」 『改訂幼児心理学』 朝倉書店 1957

山田節子  「食事文化に関する研究:箸の持ち方について」『聖霊女子短期大学紀要』第26号 1998,

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山田知通 荒川巳恵子  「幼児の食生活(第2報):幼児期の家庭における箸使い」  『金城学院大学論  集,人間科学編』第13号 1988,97〜109頁

大和晴行  「保育者志望学生の生活技術の現状一実技レベルと生活技術への認識」 『日本保育学会第63  回大会発表論文集』 2010

芳賀登 石川寛子監修  『全集日本の食:文化 第9巻』 雄山閣出版株式会社 1997,225〜240頁

吉村正明 井ノロかな子  「箸についての研究一(第1報)アンケートと箸の持ち方の分類」

 『信愛紀要』第32号  1992,17〜23頁

吉村正明 井ノロかな子 村本加奈重  「箸についての研究一(第2報)箸の持ち方と作業量について」

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吉村正明 井ノロかな子 村本加奈重  「箸についての研究   (第3報)箸の持ち方と試料の重さ・大  きさとの関係」 『信愛紀要』第34号 1994,47〜53頁

吉村正明 井ノロかな子 村本加奈重  「箸についての研究一(第4報)試料の大きさと重さの評価に  ついて」 『信愛紀要』第36号 1996,71〜75頁

吉村正明 井ノロかな子 「箸についての研究  (第5報)箸の持ち方等についての意識の比較」

 『信愛紀要』第41号 2001,1〜6頁

htt://hu.kids−station. coln/omimono/advice/10020501 kida. html 「幼児の箸使いへの アドバイス 木田春代先生にインタビュー」 2010/05/27アクセス

巻 末 資 料

目次

資料1.第2章の全事例

資料2.インタビュー文字記録 資料3.アンケート用紙

・1

・ 11

・32

【資料1.第2章の全事例】

○保育者の働きかけに関する13事例

1,模範を示す,箸使いを励ます

時期:2009年11,月10日(火) 11:30〜12:30

場所:兵庫県H幼稚園3歳児M組保育室内 対象:3歳児男児F児を中心に

 F児は,最初からフォークでご飯を食べていた。担任保育者が気付いた後,F児のそば に来て,F児の箸を取って,箸を使いながらF児の箸使いを励ました。すると, F児は右 手で箸を持ち上げて,左手でフォークを持って食べた。しばらくすると,F児は両手で一 本ずつの箸を持って食物を刺して使った。後で箸を使ったが,右手で箸先に近いところを 持ったので,食べ物を挟み難くなった。最終的にF児は箸をあきらめて,スプーンを使っ

た。

2,一緒に食べる,言葉で箸を勧める

時期:2009年11.月10日(火) 11:30〜12:30

場所:兵庫県H幼稚園3歳児M組保育室内 対象:3歳児男児

 男児は,エジソン箸とスプーンを持ってきた。そして,最初からスプーンを使って食べ ていた。担任保育者は,男児の隣に座って一緒にご飯を食べていた。すると,保育者は「こ のタマゴ,箸で食べてみよ。」と男児に箸使いを勧めた。その後,男児はエジソン箸を使っ てご飯を食べていた。

3、箸を勧める,言葉で励ます( 2章の事例1 20頁)

時期:2009年11,月26日(木) 11:30〜12:30

場所:兵庫県H幼稚園3歳児M組保育室内 対象:3歳児男児F児を中心に

 この日,F児は,箸とフォークとスプーンを持っていた。 F児は,最初からフォークを選 んでご飯を食べ始めた。担任保育者は,F児の近くにいて, F児の様子を見てから, F児の 隣にきて,F児に「箸をチャレンジして」と言って,箸を勧めた。保育者は,そのように言 うとすぐに離れた。すると,F児は,保育者が言われた通りフォークを箱に置いて,箸を使 うようになった。F児は,自分のお弁当から箸で小さいブロッコリー一を挟んで,同じテーブ ルに座っている副担任の保育者と隣で観察している筆者に見せた。F児は,力を入れてブロ

ッコリーを挟み,手を高く挙げて,箸先に近すぎるところを持っている。持ち方が正しく ないが,副担任の保育者はうれしそうに「上手に使ってる!」と言って,F児を励ました。