502 トルコ恥意識 相関係数
第3節 日本・アメリカ・トルコの非行抑制モデル
本節では、「恥意識」が非行抑制要因となり得るのか、
より検討を行うために、非行抑制要囚の研究を行って いる中里ら(1997)と中里・松井(1999、2003)の研 究をもとに、確認的囚f・分析の手法の・つである共分 散構造分析(SEM)によってモデル化を試みた。
「非行抑制モデル」としての要囚は、次の通りであ る。まず、恥意識は、5つの囚子(親、社会、同調、
自己、先生)に分けた。さらに、メインの従属変数で ある「非行許容性」を、刑法に抵触する[犯罪j許容 性と「虞犯」許容性に分けた。次に、非行抑制要囚と
して、中里ら(1997)で認められている道徳意識は、
倫理的な「モラル」行為と慣習的な「マナー」行為に 分けた。さらに、他の非行抑制要囚も中IEら(1997)
の知見に合わせ、「価値観」を、5つのカテゴリー(他 者中心、精神主義、内的統制、将来志向、社会志向)
に分けた。また、愛他意識も5つのカテゴリー(援助、
緊急援助、分与、募金、奉仕)に分けた。中里・松井
(2003)で取りあげられている恥意識への形成因とし て、親子関係を取り上げ、親子関係の指標としての親 子間の心理的距離を「父子関係」とr母子関係」に分 け、さらに、それぞれを「認知」面と「情緒」面に分
類した。
これらの要因間の因果関係を示した「非行抑制モデ ル化」の分析にあたっては、恥意識と非行との囚果関 係を検討し、かっ、これまで中里ら(1997)が非行抑 制の大きな要因としてあげている「道徳意識」との関 係を中心にみていく。
表4−22は、3力国全体の非行抑制モデルである。「恥意 識」は、3力国全体でも、「非行許容性」に対して.62と 強いパスが見られ、恥意識が非行抑制への原囚であるこ
とを示した。また、非行抑制要因である「道徳意識」は、
「恥意識」に対して、.54と大きな影響を与えていた。
また、道徳意識(.19)よりも恥意識の方が、.62と非行へ の因果的な影響を示した。恥意識の形成に影響を アえる であろう、親子関係は、父子関係が.25、母了・関係が.21
と弱い傾向ながらも因果関係がみられた。
表4・22 3力国全体の非行抑制モデル
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⇔挙』泣戸 |モラル1 マナーLe38
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1犯罪許容 虞犯許容
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表4−23は、日本における非行抑制モデルである。日 本では、「恥意識」は、「非行許容性」に対して.46と大 きなパスが見られ、恥意識が非行抑制への原因となっ ていることを示した。また、日本の特徴としては、非 行抑制要因である「道徳意識」は、「恥意識」に対し て、.61と3力国中もっとも大きな影響を与えていた。
また、道徳意識(.23)よりも恥意識の方が、.46と非行 への因果的な影響を示したのも特徴的である。
表4−23 日本の非行抑制モデル
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表4−24は、アメリカにおける非行抑制モデルである。
アメリカでは、「恥意識」は、「非行許容性」に対し て.55と顕著なパスが見られ、恥意識が非行抑制への原 因となっていた。また、アメリカの特徴としては、非 行抑制要因である「道徳意識」は、「恥意識」に対し て.35、「非行許容性」に対しても.30とほぼ同様の影響 力であったことである。
表4−24 アメリカの非行抑制モデル
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GFI=.886 AGFI=.859
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犯罪許容 虞犯許容
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表4−25は、トルコにおける非行抑制モデルである。
トルコでは、「恥意識」は、「非行許容性]に対して.67
と3力国中もっとも大きなパスが見られ、恥意識は非 行に対し、強い抑制力をもっていた。また、 トルコの 特徴としては、非行抑制要因である「道徳意識」は、「恥 意識」に対して.53と大きな影響を与えている一方で、
非行許容性に対しては.03と、道徳意識が非行にほとん ど因果的な影響がみられなかったのが特徴的である。
これまでみてきたように、因果関係を示す確認的因f 分析の手法の一つである共分散構造分析の結果、「恥 意識」は、「非行許容性」に対して囚果的な大きな影響 をもっており、かつ、これまで非行抑制要囚と認めら れている「道徳意識」からの影響を受けていたことか
ら、恥意識が「非行抑制要因」になり得ることが、3 力国すべてに共通することが統計的に認められたとい
えよう。さらに、恥意識から非行への直接的な抑制効 果は、道徳意識から非行への直接効果よりも高く、さ らに、道徳意識からの「間接効果」の影響を受けるこ とで、恥意識は、さらに強力な非行への抑制効果につ ながっているものと思われる。
表4・25 トルコの非行抑制モデル
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GFI=.891 AGFI=.865
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・1.・23」:
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さ2↓ ξ20
最後に、日本の中高生の「恥意識」特徴をもとめると、
まず、道徳意識との顕著な関係があげられる。さらに、
恥意識の中でも、仲間と同調できないことに対するr同 調不全」の恥意識が、平均値の比較による量的な意味で 他の国よりも顕著に高かったことから、同調できないこ とによる恥に敏感な日本の中高生の姿がうかがえよう。