• 検索結果がありません。

恥意識尺度(国内版)の作成

第3章  国内における恥意識の世代差

第1節  恥意識尺度(国内版)の作成

 本章では、恥意識を測定する尺度の研究と、若者世 代における恥意識内容の違い、恥意識が行動抑制要因

となり得るかどうかについて検討する。

 まず、先行研究において、差恥感情(shame、

embarrassment、shyness)という広い概念における「恥

(shame)」ではなく、「恥(shame;ハジ)」そのもの を測定する尺度がみられなかったため、恥を測定する 尺度作成についての研究が行われた。尺度作成のため の研究は、大学生を対象に、自山記述による2回のf 備調査(予備調査①②)、さらに本調査の合訓3川の調 査によって行われた。

1.方法

予備調査①

まず、恥だけでなく、困惑やシャイネスなども含む広 い意味での差恥感情を引き起こす状況についての資料 収集のため、自由記述による質問紙調査が行われた。

 調査対象者は、東京都都内の4年制大学、私Y/lT大 学の大学生86名(有効回答者数85名、平均年齢20.6

歳、標準偏差1.28、有効回答のうち男子37名、女f

48名)、および、群馬県内の3年制の医療短大である

国立G医療短大の短大生58名(有効回答者数58名、

平均年齢20.8歳、標準偏差0.46、女子のみ58名)で

あった。

 調査時期は、私立T大学が、1998年11月ヒ句であ

り、授業時間中に、一斉調査によって行われた。国立

G医療短大の方は、1998年12月中句に、同じく授業

中に、一斉調査によって実施された。

予備調査②

シャイネスなどとは異なる「恥」に限定した感情を引 き起こす状況についての資料収集のため、 予備調査① とは、教示文を変え、自由記述による質問紙調査を行

なった。調査対象者は、東京都内の4年制大学、私立 T大学の大学生107名(有効【tl]答者数102名、平均年

齢19.1歳、標準偏差0.84、有効[.・ i]答のうち、男f46

名、女子56名)であった。調査時期は、1999年5月

下旬であり、授業中に一斉集合調査によって実施され

た。

質問紙作成を目的とした本調査

 次に、恥意識の特性を測定する尺度作成のための作 業を行った。最初に、予備調査①②で得られた恥意識 を想起させる状況に関する77項日、Edelman(1985)

の日本版差恥尺度である成lllら(1990)の荒恥傾lf・J IV

度19項目、さらに成田ら(1990)や園原(1934)な

ど「恥ずかしい」状況に関する56項目、および橋本

(1984)の差恥感情強度尺度(96項目)さらに、岡野

(1998)の恥と自己愛に関する質問表(試案)を参考に して、本調査用で使用する質問紙作成ための273項H の質問項日を作成した。そして、心理学を専:攻する4 名(助手1名、大学院生2名、学部生1名)によって、

質問項目の分類作業を行った。分類方法は、以ドの1)

〜3)の3つの観点から行った。

1)差恥傾向

  ①恥(shalne)②気恥ずかしい(shyness)③どち らにもあてはまらない

2)逸脱の認知

 :その質問項目が、被験:者自身が常識であると思う行

動基準からどれくらい逸脱しているか)の度合いを5 件法:1 (逸脱していない)から5(逸脱している)

によって、A(周囲に人がいる場合だけ「逸脱」と認 知する場合)と、B(いなくても「逸脱」と認知する 場合)とに分け、あらかじめ周りに人がいる状況が設 定されている場合は、「もし自分ひとりだったら」とい

う想像による回答を行う。

3)感情の分類

  A(「劣等感」と「罪悪感」の両方を含むもの)、

B(「劣等感1のみのもの)、C(「罪悪感」のみのもの)

D(どちらでもないもの)。

 以上、3つの観点からの分類結果に基づき、ひとり

でも「恥(shame)」ではないとされた項054項日を

削除した。 さらに、「恥」状況について、分類者の 

度が高かった項目をKJ法によって22の状況に分類

し、その中から他者がいる場合といない場合を考慮し たうえで、状況別に代表的な項目を抽出し、本調査の ための恥意識尺度60項口を作成した。

 恥意識尺度は、 6段階尺度評定法(1:すごく恥ず かしい〜6まったく平気である)である。単なる感情

レベルではなく、「逸脱認知」における情動であること を考慮し、〔恥ずかしい/恥ずかしくない〕の対ではな く、〔恥ずかしい/ ド気である〕の表現を使川した。

 また、60項目の恥意識尺度において、項日2と項日

32は、逆転項[一|であり、その他の58項Hに関しては、

「1:すごく恥ずかしい」を6点、「6:まったく平気 である」を1点として尺度得点を計算した。

2.結果

予備調査①

 表3−1は、予備調査①において得られた大学生に

おける自由記述による質問紙の結果である。質問は、

複数回答形式で、「あなたが『恥ずかしい』と思うこと は何ですか?」である。表中では、表現が異なっても 同じ内容であると思われたものは…つのカテゴリーに まとめてある。表3−1に見られるように、「人に迷惑 をかける」や「ウソをつく」など道徳的内容を伴う「ハ ジ」が多いが、「人前で話す」といった聴衆不安や他者 からの肯定的評価による「人に褒められる」など、「テ レ」の意味合いの強い恥ずかしさも含まれていること が特徴的であった。

 また、表3−2は、同じ質問内容での調査によって

得られた女子医療短大生における「恥ずかしさ」の自 由記述による質問紙の結果である。表3−1と同様に、

同じ内容であると思われたものは、一つのカテゴリー

にまとめてある。(複数回答) 表3−2に見られるように、

女子における恥ずかしさは、「生理現象」、「公衆トイレ」、「チャッ ク」など、従来の差恥研究において、1つの因子として指摘されて いる「性的」内容のものが挙げられているのが特徴である,

表3−1大学生が感じる恥ずかしい場面

人前で話す(知らない人など) 好意をもっている人と話す

自己受容できないこと 人前での発表(スピーチなど)

電車の乗り過ごし 場違いな行動

電車駆け込み乗車 飾っている自分に気づく

ひとり言や歌をうたうのを人に見られる 思っていることを相手に悟られる(見透かされる)

周りの状況に気づかないこと 授業に遅刻すること

話題についていけないこと 一般常識を知らないこと

劣等に気づいたとき 列に割り込むこと

タバコのポイ捨て 自分に自信がないこと

人前で転ぶ 自分が正しいと思うことができないこと

マナーを知らないこと 異性と話をすること

怒られている(注意される)のを人に見られる マナー違反をしている人に注意をしないこと

ウソがばれること 人に褒められること

学校を休んでいるときに先生や友達と会う 好きな人に思いがばれる(あるいは視線が合う)

他人に迷惑をかけること 出が多い服をする

他人におかしいといわれること 電車の中で化 をする

本心を隠すこと 他人と同じ服をしていること

自分が自分らしくないこと 聞かれたことが答えられないこと

お金の為に何でもすること 電車の中でロを開けて寝ること

買い物をするとき、お金が足りないことに気づく 困っている人(弱い人)を助けないこと

汚い部屋を見られる 泣いているのを人に見られること

表3−2女子短大生における日常生活での恥ずかしさ

知ったかぶり ること 大 の月1で話 こと

勘違いすること 周りに  れること

無知に気づくこと ギャ がうけないこと

欠点を指摘されること 酔って迷惑をかけること

人前で失敗すること 人と違うことをすること

人前で転ぶ 裸を見られる

生理現象(お腹が鳴る、おならをする) 公衆トイレで大便をすること チャックが開いているのをみられる 見られたくない服 ・髪型の露呈

予備調査②

  「恥ずか や異なる こ

その定義と 調査を自由

しい」と「恥である」ではニュア とが予想されたため、「恥」をキー

、その「恥」を想起させる場面に 記述形式で行った。対象は、大学生

ンワつで ス がや

  ド に 、 い て の あ り 、

複数回答での調査である。

ある。

質問内容は、以ドの通りで 質問①;「日頃、r 恥をかいた であるとか 恥を 知れこなどといわれることがありますが、

あなたはこ恥!とはどんなことだと思いますか。

回答数40

@17111010866332222211

表3−3 恥定義

恥定義に対する回答(複数回答)

・一 ハ常識を知らないこと(常識からの逸脱を含

む)

・  人に見ら   われること

・自分の知られたくない面が見られること

 とた  こい者 る背他堕える莞 打にぷし与じる知とい

ぽ動㍍象をにといり否れ行てるわ印感気こな入を るし

 な

 異に

 と

 り分ラの人分人違齢が分  と こ 〜つ 行 で 気 平と をこ ーると惑すこ迷 をと       と 動こと   こ るこ      とる      これなを感すーこた定と       にす漣い等をで口㌢にー 

ノ       イ       ラ

かぶりを含む)

       ーユ  対反ご心劣目を応つ行がる欠   レ場にカのい相あのドすの      敗人他周自モそ他自他勘年穴自プ失他

点ばかり影で指摘すること

 表3−3は、その恥定義における調査結果である。

また、表3−3の恥定義の回答をまとめたものが、図

3−1である。図1に見られるように、「…般常識を知 らない」という回答が圧倒的に多いことがわかる。

数値は度数

る自行 で

モ自 周 知 他

  

−0

図3−1

  10      20      30      40

大学生における恥定義 (複数回答、上位6つ)

そして、恥を想起させる状況として、以ドの質問内容で 調査を行った。結果を回答数(複数回答)でグラフにま

とめたものが、図3−2である。

質問② 「あなたが日常生活で 「恥」だと思うときは どんなときですか 自分の とでも 他人をみて思う  とでも どちらでもかまいません その具体的な場 面を書いて下さい いくつでも結構です

恥場面

自分の無知をさらす

場に似合わない服装を着ている

ひと間違えをする

場所をわきまえないおしゃべり

何もないところで転ぶ

       0    5    10   15   20   25 図3_2大学生が感じる恥場面         回答数