第 6 章 市街地更新に伴う課題抽出と新たな社会制度の構築に関する考察
6.6 新たな社会制度設計に向けた考察(その 2)
6.6.2 新たな社会制度の構築(その 2)
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(2)因果ネットワーク
当該社会制度の進展に伴う因果ネットワークとその内容を示すと以下のとおりとなる。
① フェーズ1(初動期)
権利制限を受容し、公的主体との土地譲渡契約及び敷地利用契約が成就した場合、防災施策へ の協力へのインセンティブとして、耐震改修の助成が始まる。
② フェーズ2(着手からおおむね5年後)
地区内の建物の耐震改修等が、耐震改修の助成金を原資に進行し、当面の防災性の確保は担保 される。
あわせて、土地利用者の死亡等により「一代限り」の土地利用が完了した用地の公的主体への 明渡しが進む。明け渡された用地は、公的主体の管理地となり、建物解体が行われ空地化が進む。
③ フェーズ3(着手からおおむね5年から15年後頃)
公的主体所有の 空地が一定程度確保され、防災意識の醸成が進む居住者との間で、空地の利 活用方策や空地及び自己所有地を活用したまちづくりに関する議論が始まる。
④ フェーズ4(着手からおおむね15年以降)
まちづくりに関する議論を通じて、建物の共同化、避難地・避難路等の避難ネットワークの整 備等の必要性が認識され、公的主体による土地区画整理事業等の面的な改編事業が実施される。
その整備等の実施を通じて防災性の高い エリアに変容することになる。
または、空地利用を継続する意向が強い地区では、公的主体から地域へ土地の権限を委譲のう え、その空地管理はコモンズ等の概念を導入して実施されることになる。
この時期では、福岡市は人口減少基調となっており、福岡市街地部では市街地更新が求められ る時期を迎えているが、地区ではすでに具体的な行動が進み、一定の成果が得られた状態となる。
(3)全体像
(1)で示した新たな社会制度の内容、(2)で示した因果ネットワークの関係を体系化したも のを図6‐2に示す。
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図6‐2 新たな社会制度の内容と因果ネットワーク
◆ フェーズ1○ 特定地区の指定、制限付与 ○ 特定地区の指定(住宅街区 おおむね1ha程度) ・第三者に対する所有権等の移転を原則禁止とする。 ○ 資産評価額(買取価格)の確定 ・特定地区指定による影響を回避するため、評価額を固定する。 ○ 公的主体と契約の締結 ・所有権移転、敷地利用権に係る契約締結(但し、現利用者 の一代限り)する。 ○ 協力者に対する融資 ・耐震改修費に関する助成を行う。 ○ 土地使用料 ・住民等は公租公課相当額を土地使用料として公的主体に支払う。 ◆フェーズ2(~5年程度後)○ 耐震改修の推進 ・融資により居住者等が耐震改修工事を実施する。 ○ 上記と並行して地区外移転等が部分的に惹起 ・死亡等により明渡理由が発生した宅地で譲渡金授受を開始する。 結果、老朽建築物が除去され、公的主体が土地を取得する。 その後、公的主体が防災空地等として地域に開放する。
因果ネットワーク *中長期に買取を実施 するため、予算の平準化 が可能。
時期新たな社会制度の内容 短期 (初動期) (~5年程度 後)老朽建築物耐震建築物
行政市民地域公的主体 土地利用制限 規制受忍 支払受領
耐震 融資 耐震改修 工事
土地 譲渡 取得譲渡
防災意識 啓発理解・醸成 一 定 の 防 災 性 確 保 支払受領 土地・建物の明渡
譲渡金 の授受
明渡理由の発生
149 図6‐2 新たな社会制度の内容と因果ネットワーク
◆フェーズ3(5年~15年後頃)○ 公的主体への土地譲渡の加速化 明渡後、更地化 ・明渡理由が発生し、公的主体への土地譲渡が加速化する。 ○ まちづくり検討の開始 ・情報公開等により防災意識が高まるなかで、将来的なまちづくり に関する検討が始まる。 ◆フェーズ4(15年後~)* 一定程度の公的主体所有のまちづくり用地が確保されている。 【ケース1】 まちづくりの実施 堅牢建物 【ケース1】 ○ 住民との合意のもと、具体的な対応方針の実施 土地区画整理事業等により防災性の高い市街地に再編される。 公園 【ケース2】 縮退【ケース2】【ケース2】 縮退 コモンズ○ 地域がコモンズとして空地を管理 ・ 公的主体所有地を地域に譲渡し、地域がコモンズとして管理する。
中期 (転換期) * 行政は、想定人口を見通し、居住適地を防災、既存公共施 設、交通利便性、拠点性等を踏まえ、都市計画を精査。 長期 (選択期) *街区再編
*改編行動の開始。
更地化移転 提起認識・検討
まちづくり の検討 実施協力 【ケース1】まちづくり 防災性の高いエリアへの改編 建物の堅牢化、避難ネットワークの整備等
関係者外 存置 地権者 防災空地を確保、地域がコモンズとして管理
福岡市の人口減少開始時期(2035年頃)
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