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防災上危険な木造密集市街地の現状

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 107-110)

第 5 章 福岡市街地部の木造密集市街地(災害脆弱地区)の特徴と課題

5.2 防災上危険な木造密集市街地の現状

5.2.1 全国的な状況

防災上危険な木造密集市街地の解消は、我が国の都市防災上の最重要課題の一つである。その ため、2001年には、都市再生本部が「都市再生プロジェクト(第3次決定)」において、「地震 時に大きな被害が想定される危険な密集市街地について、特に大火の可能性が高い危険な市街地

(重点密集市街地)を対象に重点整備し、今後10年間で最低限の安全性を確保する」ことが決 定された。全国に、密集市街地は約25,000ha存在し、重点密集市街地に該当すると考えらえる 市街地は、全国において約8,000ha存在する2

これを踏まえ、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」が1997年に制定、

2006年、2008年に改定され、防災上危険な密集市街地を都市計画(防災街区整備方針)におい て明確にしたうえで、他に講じられる防災施策と連携しつつ効率的な再開発等の促進を図ってい る。

しかしながら、その改善の進捗は、2009年度末時点で約38%にとどまり、目標達成は困難と なっている。

防災上危険な木造密集市街地(災害脆弱地区)の改善・改善には、第一義的には個人の自発的 選択に基づく防災行動(回避行動)を優先すべきであり、バイアスの解消のためのリスク情報の 公表等は有効である。一方、災害脆弱地区内では、閉塞状況に陥るため、その状態の打開にため には行政関与、つまり、市街地整備施策の実施があわせて必要となる。

しかし、行政側では、すべての地区を対象に、土地区画整理事業、街路事業等の市街地整備施 策を実施することには、財政上の限界もあり、その他即地的な課題として、

① 建物:建詰まり、老朽化、空き家、権利が輻輳

② 道路:狭隘道路のみ、接道条件に合致せず建替ができない

③ 生活環境:高齢化(現状志向)、まちの活力の衰退

等が指摘されている3。こうした課題に着目し、行政関与に関連した新たな社会制度の検討及び 実施が必要と考えられる。

5.2.2 福岡市街地部の現状

福岡市街地部には、緊急に対策を実施すべき木造密集市街地が17地区約301.7ha存在している

(図5‐1)。

103 図5‐1 福岡市の密集市街地 出典:福岡市提供(図2‐7の再掲)

「緊急に改善すべき密集住宅市街地」(福岡市)

地区名 緊急に改善すべき 密集市街地(ha)

重点的に改善す べき地区(ha)

春吉地区

9.5

唐人町地区

4.6

今川・鳥飼地区

31.6

美野島・住吉地区

28.6

大浜地区

24.0 24.0

御供所地区

28.0 10.0

吉塚地区

21.6

住吉・堅粕地区

17.4

箱崎地区

43.7 14.4

筥崎地区

27.8 27.8

馬出地区

11.1 1.8

名島地区

9.4

香椎地区

24.0

室見地区

14.9

屋形原住宅地区

2.5 2.5

浜松住宅地区

1.6 1.6

高松住宅地区

1.4 1.4

合計

301.7 83.5

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福岡市では、行政が関与する市街地整備施策として、緊急性の高い地区から街路事業や土地区 画整理事業等を実施しているが、全国的な潮流と同様、木造密集市街地の解消には至っていない。

また、福岡市の人口は、2035年にピークを迎え、その後減少基調と予測されている4。木造密 集市街地は、福岡市街地部における市街地更新において、その縮退や更新について考察を加える べき地区でもある。

なお、福岡市内の木造密集市街地に関する既往研究として、中垣・村上5による福岡市内の木 造密集市街地を木造建ぺい率等の市街地の物理的状況をもとに類型化し、神戸市の木造密集市街 地との特性比較をもとに、被害想定を行っているものがある。しかし、研究時点以降の市街地の 縮退や更新状況等に係る追跡研究はない。

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