第5章 理科授業の検証
5.4. 分析の結果
5.4.1. 教員ごとの特徴
教員 A~Fの授業の特徴を分析した結果を以下に示す。「概念」の項目に関して,各教員 の授業に費やされた時間比を表 5-3に,同様に,〈サブ・カテゴリー〉の項目に関する割 合を表 5-4に,【コア・カテゴリー】の項目に関する割合を表 5-5に示す。また,それぞ れの表には,6人の教員の時間比の平均も記す。
表 5-3,表 5-4,表 5-5から,比較的どの教員も知識の定着に時間を費やす傾向は 共通であるが,教員ごとで授業の形態はまちまちであることが分かる。これは,学年や教え る単元の差などが影響していることは当然であるが,バングラデシュの教育現場の中では,
それぞれの教員ごとで多様な授業を展開していることが読み取れる。
教員Aの特徴を見てみると,【知識の育成】の段階では,「観察(具体物)」(16.0%)や「既 知の知識との統合」(11.9%)に対するウエイトが他の教員よりも比較的高く,「授業のまと め」(8.8%)にも時間をかけていたことが分かる。
教員Bは【知識の育成】(19.0%)と【知識の育成・知識の確認】(55.9%)に多くの時間 をかけており,「観察(具体物)」(11.3%)から始まり,「内容の確認」(13.7%),「Y/Nで答 えられる質問」(16.0%),「板書(教師)」(12.7%)を通して内容の確認を行っていた。「答え られない子への無対応」(6.2%)に関する時間も比較的長かった。
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教員Cは【知識の定着】(59.0%)の「グループワーク」(27.8%)と「個人作業」(12.0%) に時間を使っているのが特徴的で,質問の仕方は「Y/Nで答えられる質問」(11.5%)を多用 していた。
表 5-3 各教員の授業における各概念に関連した行動に費やされた時間比 概念
番号 概念名 A B C D E F 6教員 の平均
1 注意の獲得 1.4% 1.4% 3.8% 1.9% 1.8% 5.3% 2.6%
2 観察(具体物) 16.0% 11.3% 1.4% 3.9% 0.0% 3.2% 6.0%
3 観察(半具体物) 1.5% 0.0% 4.3% 2.9% 8.3% 0.4% 2.9%
4 思考を促す質問(個人へ) 0.0% 0.0% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
5 思考を促す質問(全体へ) 0.0% 5.7% 0.0% 2.5% 0.4% 0.0% 1.4%
6 既知の知識との統合 11.9% 0.6% 3.0% 0.0% 4.3% 17.5% 6.2%
7 内容の確認 6.2% 13.7% 6.0% 5.9% 17.3% 2.7% 8.7%
8 語末のみの発言 1.3% 6.2% 0.2% 2.9% 9.1% 5.9% 4.3%
9 Y/Nで答えられる質問 1.0% 16.0% 11.5% 7.1% 9.0% 3.8% 8.1%
10 板書(教師) 5.3% 12.7% 0.0% 10.9% 0.0% 4.1% 5.5%
11 板書(生徒) 0.0% 0.0% 0.0% 10.4% 0.0% 0.0% 1.7%
12 板書の読み上げ 4.4% 5.0% 3.7% 3.1% 0.0% 0.0% 2.7%
13 復唱 0.0% 2.9% 0.7% 0.0% 0.4% 0.7% 0.8%
14 グループワーク 14.3% 1.1% 27.8% 27.1% 21.9% 26.4% 19.7%
15 個人作業 0.1% 0.0% 12.0% 0.0% 0.0% 0.0% 2.0%
16 発表 8.5% 3.2% 4.7% 0.8% 12.0% 4.4% 5.6%
17 読書 7.6% 0.0% 4.7% 9.6% 5.3% 0.0% 4.5%
18 授業のまとめ 8.8% 3.7% 5.4% 1.7% 1.6% 3.2% 4.1%
19 状況確認 3.4% 6.8% 3.1% 1.0% 2.6% 3.0% 3.3%
20 楽しい雰囲気作り 1.9% 0.0% 5.6% 0.0% 1.1% 6.8% 2.6%
21 答えられない子への配慮 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 2.9% 2.1% 0.8%
22 教師自身による回答 2.7% 3.3% 0.4% 1.0% 1.5% 4.4% 2.2%
23 答えられない子への無対応 3.7% 6.2% 0.3% 7.2% 0.2% 6.1% 4.0%
24 外部からの授業妨害 0.0% 0.3% 1.0% 0.0% 0.0% 0.2% 0.3%
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表 5-4 教員A~Fの授業における各サブ・カテゴリーの割合
サブ・カテゴリー名 A B C D E F 6教員 の平均
受け入れ 1.4% 1.4% 3.8% 1.9% 1.8% 5.3% 2.6%
知識・分析 17.5% 11.3% 5.8% 6.8% 8.3% 3.6% 8.9%
理解 0.0% 5.7% 0.2% 2.5% 0.4% 0.0% 1.5%
統合 11.9% 0.6% 3.0% 0.0% 4.3% 17.5% 6.2%
模倣 8.6% 35.9% 17.8% 16.0% 35.4% 12.4% 21.0%
反応・分節化 5.3% 12.7% 0.0% 21.3% 0.0% 4.1% 7.2%
巧妙化・精緻化 4.4% 7.9% 4.4% 3.1% 0.4% 0.7% 3.5%
組織化・応用 14.4% 1.1% 39.8% 27.1% 21.9% 26.4% 21.8%
価値づけ・評価 24.9% 6.8% 14.8% 12.2% 19.0% 7.6% 14.2%
表 5-5 教員A~Fの授業における各コア・カテゴリーの割合
コア・カテゴリー名 A B C D E F 6教員 の平均 知識の育成 30.8% 19.0% 12.8% 11.2% 14.8% 26.3% 19.2%
知識の育成・知識の確認 8.6% 35.9% 17.8% 16.0% 35.4% 12.4% 21.0%
知識の確認・知識の定着 5.3% 12.7% 0.0% 21.3% 0.0% 4.1% 7.2%
知識の定着 43.6% 15.8% 59.0% 42.4% 41.3% 34.7% 39.5%
学びの支援 5.3% 6.8% 8.7% 1.0% 6.6% 11.8% 6.7%
つめ込み 6.4% 9.5% 0.8% 8.2% 1.8% 10.4% 6.2%
外的要因 0.0% 0.3% 1.0% 0.0% 0.0% 0.2% 0.3%
教員Dは,【知識の確認・知識の定着】(21.3%)として「板書(教師)」(10.9%)と「板 書(生徒)」(10.4%)に費やしていた時間が他の教員よりも長いのが特徴であり,「読書」
(9.6%)と「答えられない子への無対応」(7.2%)に関しての時間も比較的長かった。
教員Eは「観察(半具体物)」(8.3%)を通して「グループワーク」(21.9%),「発表」(12.0%) へと展開していく授業を行っていた。また,質問を通して【知識の育成・知識の確認】(35.4%) を行う時間も比較的長かった。
教員Fが扱った単元は特に生徒の身近な内容である,3つの栄養素についてであったこ ともあり,「既知の知識との統合」(17.5%)にかける時間が比較的高くなっていた。ま た,生徒をほめたり拍手をしたりして「楽しい雰囲気作り」(6.8%)を多く行っていた反
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面,正答へ至らなかった場合は,「答えられない子への無対応」(6.1%)の時間が長かっ た。