第5章 理科授業の検証
5.4. 分析の結果
5.4.3. 推論の力の育成
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面,正答へ至らなかった場合は,「答えられない子への無対応」(6.1%)の時間が長かっ た。
74
図 5-1 教員A~Fの授業における【推論の育成に関する概念】の時間比(棒グラフ)
図 5-2 教員A~Fの授業における【推論の育成に関する概念】の時間比(レーダーチャ ート)
推論の力の育成に着目してデータを見ると,マイメンシン県の理科授業では,以下のよう に,授業中の推論の育成に関する活動として,具体物を用いた観察,グループワーク,そし て教員からの既知の知識との統合に関する活動からの影響を受けている時間が長いという
0.00%
5.00%
10.00%
15.00%
20.00%
25.00%
30.00%
A B C D E F 平均
0.00%
5.00%
10.00%
15.00%
20.00%
25.00%
30.00%観察(具体物)
観察(半具体物)
グループワーク
思考を促す質問(個 個人作業 人へ)
思考を促す質問(全 体へ)
既知の知識との統合
A B C D E F 平均
75 特徴が見られた。
i. どの教員も,授業の中に「観察」を通した活動を取り入れている。
上の表で,それぞれの教員の「観察(具体物)」と「観察(半具体物)」の概念の割合は,
教員Aは17.5%,教員Bは11.3%,教員Cは5.7%,教員Dは6.8%,教員Eは8.3%,教員 Fは3.6%である。教員CとE以外の教員は,半具体物(2.9%)よりも具体物(6.0%)を用 いた観察が大きな割合を占めていた。観察に関する概念を合わせた全教員の平均は,8.9%で あった。具体物か半具体物かの違いや割合の差こそあるものの,全ての教員が授業の中で,
何らかの「観察」の活動を生徒に与えていた。
ii. 簡単に短く答えられる形式の,「内容の確認」,「語末のみの発言」,「Y/Nで答えら れる質問」などの質問と比べて,「思考を促す質問」や「既知の知識との統合」を求め る質問が用いられる頻度は低い。
「思考を促す質問(個人へ)」と「思考を促す質問(全体へ)」の平均を合わせると,1.4%
であり,教員Aと教員Fの授業では,どちらの概念も全く見られなかった。一方で,「内容 の確認」は8.7%,「語末のみの発言」は4.3%,「Y/Nで答えられる質問」は8.1%で全部を合
わせると21.1%あった。生徒の思考に働きかける活動については,個人に対する思考を促す
質問(0.0%)よりも全体に対しての思考を促す質問(1.4%)が多く,それらよりも,既知の 知識との統合(6.2%)に関する概念が大きな割合を占めていた。つまり,教員から生徒への 質問は,簡単に短く答えられる形式の質問が多く,思考を促すような質問は少ないことが明 らかとなった。
iii. 「既知の知識との統合」の質問を取り入れる教員と取り入れない教員の数値の差は大き
い。
教員Fは17.5%,教員Aは11.9%の割合で「既知の知識との統合」の質問を取り入れてい
たが,教員Dは0.0%,教員Bは0.6%であった。このように,生徒の日常生活と絡めた質問 を行いながら授業を構築するかどうかは,教員によって差が生じていた。
iv. 「個人作業」よりも,「グループワーク」の方が広く用いられている。
教員 C 以外はほとんど「個人作業」の時間を与えなかっただけでなく,唯一個人作業を 取り入れていた教員Cの授業においても,「グループワーク」27.8%,「個人作業」12.0%と,
「グループワーク」にかける時間の方が長かった。平均でみると,観察にかける時間
(6.0%+2.9%=8.9%)や,個人作業にかける時間(2.0%)より,グループワークにかける時
間(19.7%)が最も長いことが明らかとなった。
v. 多くの教員は,3割から4割の割合で,推論する力の育成に関連する教授活動に関連す
76 る活動を行っている
それぞれの教員ごとに【推論する力の育成に関わる概念】の割合を算出すると,教員Bの
み18.7%と低い値であったが,他の5名の教員の割合は,34.9~48.8%の間に位置していた。
また,全教員の平均値は38.8%であった。