第3章 世界から見たバングラデシュの生徒の理科到達度
3.4. 因子分析,重回帰分析,共分散構造分析による分析
3.4.2. 到達度と教師質問票の分析
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表 3-10 理科到達度への標準化総合効果
図 3-10の標準化された効果の値を見ると,直接効果の影響が大きいが,間接効果も少 なからず理科到達度へ影響している様が見て取れる。その双方の効果を合わせた総合効果 で要素の強度を比較すると,最も強い作用を示したものは『親の学歴』であり,次に「男子 生徒」について,続いて『読書』についてであった。
次に,パス図を解析して理科の到達度への背景要因の観点からショドール市の特徴を抽 出する。まず『親の学歴』をからの矢印を洞察すると,最も影響を与えているのは「家電の 数」の0.23であった。また,『意欲』や『読書』に対しても比較的高い効果を示しているこ とが分かる。「男子生徒」に目を移すと,「家電の数」,『読書』,「理科の到達度」に正の因果 関係が示されているが,「幼稚園」には負の因果関係が見られたため,男子生徒よりも女子 生徒を幼稚園等の就学前教育にアクセスさせ易い傾向にある事が解かる。また,『読書』に 影響を与えている主要素は「勉強時間」と「家電の数」であった。
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表 3-11 教師質問票からの因子分析結果(プロマックス回転後の因子パターン)
第1因子 第2因子 第3因子
1 男性教師 0.99 0.04 -0.05
2 男性教師数 0.71 -0.24 0.03
3 学歴 -0.36 -0.23 -0.12
4 学校近隣の都会度 -0.08 0.85 0.16 5 保護者対応 0.20 0.38 0.38 6 学年生徒数 0.02 0.37 -0.06 7 同僚の授業観察 -0.04 -0.38 0.81 8 教科への興味 -0.01 0.23 0.57 因子間相関 第1因子 - -0.14 0.07
第2因子 - -0.01
(2) 重回帰分析
まず,多重共線性への配慮として,『男性教師度』の因子から「男性教師(性別)」を,『教 師の意欲』からは「授業観察」を抽出した。抽出後の各要因にステップワイズ法を用いて分
図 3-11 教師質問票からの因子分析結果と簡略図
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析にかけた結果,「都会度」以外の要素は全て除去された。残った「都会度」の標準偏回帰 係数βの値は0.444であり,5%水準で有意な値を示した。また,調整済みR2乗は0.168,F
値は6.870であった。分析の結果除去された要素の中では,「男性教師」の有意確率はp=0.061
であり,有意な値は示さなかったものの,5%水準に近い数値を示していた。
(3) 共分散構造分析
共分散構造分析では,因子分析でまとめられたそれぞれの因子を構成概念として扱って の分析を試みたが,結果として適合度の高いモデルを得ることができなかった。そこで従属 変数のみを用いてパスの方向や各々の要素の配置を検討した。モデルの構成と解体を繰り 返し,パスに優位な推定値を得る事ができる物だけを残した結果,下記のような非常にシン プルなパス図に収まった。理科の到達度に影響を与える要素は「都会度」と「男性教師」で あったが,その他の要素は理科の到達度,更に「都会度」や「男性教師」にも有意な影響を 与えなかった。このパス図のCFIは 1.000,RMSEAは0.000 と非常に当てはまりの良いモ デルとなった。また,重相関係数の平方=0.267であり,生徒の質問票からの値と比較して,
教師の質問票からの理科到達度への決定係数は大きな値を示した。
「男子教師」の総合効果の値を見てみると,その数値はマイナスの値となっている。これ は,ダミー変数として女性教師を0,男性教師を1と置いているため,女性教師の方が生徒 の理科到達度に有意に影響を与えている事を示している。また,数値の絶対値を比較すると,
教師の性差よりも都鄙格差の方が理科到達度に影響を与えていることが導かれる。
図 3-12 教師質問票からの重回帰分析結果と簡略図(ステップワイズ法)
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図 3-13 教師質問票からの共分散構造分析結果とモデル簡略図
(CFI=1.000,RMSEA=0.000,重相関係数の平方=0.267) 図 3-14 因果モデルに基づく教師質問票からの分析結果
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表 3-12 理科到達度への標準化総合効果