• 検索結果がありません。

本節では,3章で述べた1種類の随意性瞬目と自発性瞬目の識別法を拡張した,

新しい瞬目種類識別法を提案する.本手法は,4.2.3項で詳細に示した瞬目種類ご との特徴パラメータの傾向にもとづき,2種類の随意性瞬目と自発性瞬目を高精度 に識別することを目標とする.

4.3.1 複数の瞬目種類識別法

3章では,それぞれの瞬目種類の代表値から求めた瞬目の持続時間のしきい値を 設定することで,1種類の随意性瞬目と自発性瞬目の識別を実現した.この2種類

の瞬目種類識別法を,本章で課題とした3種類の瞬目の識別に適用するため拡張 すると,それらのしきい値として以下に示す式を用いる方法が考えられる[41].

Thd1 = Dv1+ Dv2

2 (4.2)

Thd2 = Dv2+ Div

2 (4.3)

式4.2および式4.3において,Dv1,Dv2,およびDivはそれぞれ,「しっかり」と 行なう瞬目,「しっかりとなるべく短く」行なう瞬目,および自発性瞬目の持続時 間の平均値を表す.識別対象の瞬目から得た持続時間の値をThd1と比較し,しき い値をこえたものを「しっかり」と行なう瞬目と判定する.それ以外で,持続時 間の値がThd2より大きい瞬目を「しっかりとなるべく短く」行なう瞬目と判定し,

Thd2以下の瞬目を自発性瞬目とみなす.

このように,3種類の瞬目種類識別は,2段階の判定により実現できる.以後の 議論のため,これらのうち「しっかり」と行なう瞬目とその他の種類の瞬目の判 定を判定1と呼ぶ.また,自発性瞬目とその他の瞬目との判定を判定2と呼ぶ.こ の例では判定に持続時間パラメータを用いているが,これらの判定はそれぞれ最 大振幅値パラメータまたは振幅の積分値パラメータに替えて識別することができ る.4.4節では,同一の瞬目パラメータにより識別を行なう条件を含め,すべての 組合せについて識別率を求めて比較して,よりよい方法を決定する.

4.3.2 拡張した瞬目種類識別法の検討方法

4.3.1項で述べた通り,瞬目種類を識別するために2段階の判定を行なう.判定

ごとに3つの瞬目パラメータのいずれかを選択し2段階の判定を行なう場合に,32 すなわち9通りの組合せが考えられる.4.2.3項に示した瞬目パラメータにみられ た傾向から,一部では良い識別率が見込まれる組合せがあり,別の一部では高い

識別率を期待できない組合せもある.4.4節では,9通りすべての識別率を比較し,

適切に識別できる組合せを明らかにする.この比較に用いる瞬目種類の識別率は,

以下の式により求める[41].

Cv1[%] = Vc1−Ev1

Vc1

×100 (4.4)

Cv2[%] = Vc2−Ev2

Vc2

×100 (4.5)

Civ[%] = Ivc−Eiv

Ivc

×100 (4.6)

Ct[%] = Cv1+Cv2+Civ

3 (4.7)

式4.4〜式4.7において,Cv1Cv2,およびCivは順に「しっかり」と行なう瞬 目,「しっかりとなるべく短く」行なう瞬目,および自発性瞬目の識別率をそれぞ れ示す.また,Vc1Vc2,およびIvcは順にそれらの瞬目個数を,Ev1Ev2,およ びEivは順にそれらの誤識別の個数をそれぞれ表している.

ここで,「しっかり」と行なう瞬目の個数Vc1および「しっかりとなるべく短く」

行なう瞬目の個数Vc2は,実験者(著者)が動画像を観察し,随意性瞬目を指示す る2種類のビープ音それぞれの直後に生じた瞬目を手動でカウントする.自発性 瞬目の個数 Ivc も同様に,動画像から手動でカウントして求める.また,誤識別 は各種類の瞬目個数のうち,自動識別の結果が手動識別とことなった瞬目の個数 を表している.そして,式4.7により3種類の各瞬目識別率から求めた平均値を,

全体の識別率Ctとして比較のための指標に用いる.