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第一章  抑圧救済制度 第一節 序論

第三節  抑圧救済制度の沿革と機能

I 制定法アプローチを採用する州の抑圧救済制度

(一)抑圧の沿革および概念

1970年代半ばから1980年代初頭にかけて、最も顕著なニュージャージー州をはじめと

2602F.Hod−ge O Nea1&Robert B.Tbompson,O Nea1and−Thompson s C1ose

Co叩。rations and.LLCs§9:30(2004);John1旺.Matheson and R.Kevin M1a1er,supra note

(231),atp.3,

261John H.Matheson and−R.Kevin Ma1er,supra note(231),at p.3,

262See in血aAppend.鉄;John H.Matheson and R.Kevin Ma1e巧supra note(231),at p.3,

263KiriakIbid一.es v At1as Food−Sys.&Servs.,Inc.,541S.E.2d257,264(S.C.2001);see a1so in血aAppend−ix at South Caro1ina. ;John H.lMa仇eson and.R.Kevin Ma1er,supra n・t・(231),atp.3,

264See in舟aAppendix.But see Fou釦v Morris,543So.2d167,170(Miss.1989);in舟aAppendix at Mississippi. ;JohnH.lMathesonana R.Kevin Ma1er,supra note(231),at p.3,

265See in杜aAppendix;JohnH.Mlatheson and−R.Kevin1Ma1町supra note(231),at p.3,

266John H.Matheson and.R.Kevin Ma1er,supra note(231),atp.3.

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するいくつかの州において、株主抑圧の請求権を成文化する法が制定された。これらの州 は、当該領域において先駆者と呼ばれていたが、解散に関する制定法上の根拠として抑圧 を規定したのは、これらの州が最初ではない。イリノイ州とペンシルベニア州は、1933年 の州法において、解散の根拠として抑圧を規定していた267。しかしながら、このような初 期の制定法には、抑圧が定義されておらず、また、解散に代替する救済手段も列挙されて いなかったために、裁判所が補わなければならない大きな欠陥が残されてしまった268。そ れゆえに、株主抑圧に適用される広範囲の制定法を起草しようとするニュージャージー州 議会の取り組みは、厳密に言えば新しいものではなかったが、かかる欠陥を補うという意 味においては目新しいものであった。ニュージャージー州法に倣って包括的な制定法アプ ローチを採用した州はわずかであったにもかかわらず269、当該制定法は、非常に影響力が あるということが明らかになった。ニュージャージー州の制定法は、閉鎖会社の少数派株 主には、大会杜の株主に提供されている保護を超える特別な保護が必要である、という考 え方に弾みを付けた。

 ニュージャージー州一般会社法の1972年の改正には、注目すべき条項がいくつか含まれ ている270。第一に、当該改正によって、解散以外に裁判所が利用できる救済手段が拡大さ れた。解散という過酷な手段を使いたくないと考える裁判官は多いため、救済方法の拡大 は、株主間の紛争において、裁判所が積極的に介入するために必要な前提条件であった271。

第二に、当該制定法は、「株主の数が25人以下の会社」と定義される閉鎖会社について特 別規定を創設しており、その結果、公開会杜に対する濫用的訴訟を防止することを意図し た明確な線引きのルールが生まれた272。抑圧に至らない程度の問題を認定した場合にも、

裁判所は閉鎖会社の解散を命じることができることも、当該制定法は明らかにした。すな わち、単に「不公正」である行為に対しても救済を行使させることがある273。最後に、会 267See Cent.StandardL曲Ins.Co.vDavis,141N.E.2d45,49(I11.1957);Char1esW.

Murd.ock,The Evo1ution ofE脆。tive Remedies br Minority Shareho1ders and Its Impact uponV註1uation ofMinority Shares,65Notre Dame L.Rev425,455(1990);

Thompson,supra note15,at709・11,713n.84;John H.Matheson and R.Kevin Ma1e4

supra note(231),at p.3,

268See Thompson,supranote I5,at7H;John H.Mlatheson and−R.Kevin Mla1e巧supra note

(231),atp.4,

269See in丘anotes42−60anda㏄ompanyingtext;John H.1M[atheson and−R.Kevin Ma1e巧 supra note(231),at p.4.

27025人以下の株主を有する株式会杜の場合、支配している取締役または株主の不正または 不法行為、経営の失敗、役員または取締役としての権利濫用、あるいは、株主、取締役、

役員または従業員としての資格において、1人以上の少数派株主に対し、抑圧的にまたは 不公正に行為を行ったことを証明した場合、上位裁判所は、管理者の指名、仮取締役の指 名、または会社の株式の買取命令、あるいは、株式会杜を解散判決を命令することができ

る。

271See N.J.Stat.Ann.§14A:12・7cmt.(1972Amend−ments).

272 See ibid.

2731bid.,§14A:12−7(1)(c).

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社内で少数派株主が果たす4つの役割、すなわち、株主、取締役、役員または従業員のう ちのいずれかの地位にある、少数派株主に対する多数派株主の行為が不公正である場合に は、裁判所は、かかる行為を不公正であると判断することができる274。改正に携わった者 の解説によれば、閉鎖会社における抑圧的な行為として、多数派株主は、少数派株主を職 場から追い出し、もしくは実質的に少数派株主の権限または報酬を減少させることによっ て、少数派株主を締め出す形を取ることがある、という事実を反映して、かかる文言を追 加したようである。かかる文言がなければ、裁判所は、抑圧を認定する際、株主の株式に 対する直接的な損害のみに目を向けるように制限されている、と感じる可能性があるであ ろう275。それゆえに、新しい制定法は断固として、不満を有する少数派株主を保護する方 向に向かったのである。

 3年後、カリフォルニア州議会は、同州の一般会社法を改正し、株主の数が35人以下の 会社と定義される閉鎖会社の株主に対して、会社を解散させる法的根拠を明示的に与えた 276。当該制定法の下では、「継続的かつ広範囲の詐欺、経営の失敗、または権限の濫用、も しくはいずれかの株主に対する継続的な不公正について、会社を支配している者に責任が あったか、または会社を支配している者が故意に是認していた場合」には、裁判所は会社 を解散させることができる277。当該制定法は、取締役、および、会社の株式の3分の1以 上を所有する株主について、会社の解散を求めて訴訟を提起する権限を、全面的に制限し ているが、閉鎖会社の株主については、かかる制限を適用していない278。そして、「株主の 数が35人以下の会社の場合で… 、不満を有する株主の権利または利益を保護するため

に、清算が合理的に必要である場合」には、解散の根拠があると規定されている279。これ に関し、州議会は次のように説明している。

 非任意解散に関する手続を開始する権限は拡大され、その提訴権者は、閉鎖会社の株主、

すなわち名簿上の株主または実質上の株主が明示的に含まれている。非任意解散を正当化 する根拠には、株主の数が35人以下の会社において、手続を開始する当事者の利益を保護

274 Ibid.

2751bid;cmt(1972Amendm㎝ts)(citing Emest L.Fo1k,Review oftbe Delaware Co印。ration Law 344(1968)).

276Act e脆。tive Jan.1.1977,ch.683.1975Ca1.Stat.1514.1597 98(codi丘ed as amended at Ca1.Co叩.Code§1800(b)(5)(West1990));JohnH.Ma曲esonandR.Kevin Mla1er,supra note(231),at p.4,

277Ca1.Co叩.Cod−e§1800(b)(4).

278See ibid.,§1800(a)(2).

2791bid.,§1800(b)(5).

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するために、解散を求める訴訟が合理的に必要である場合が含まれている280。

 ところで、ニュージャージー州、カリフォルニア州いずれの制定法も、寛大なr合理的 期待」の規準を明示的に採用しなかった。その上、カリフォルニア州控訴裁判所は、少数 派株主の「合理的期待」を含むものとして当該制定法を解釈することも拒絶した281。これ に対し、ニュージャージー州の裁判所は、閉鎖会社の多数派株主が少数派株主の合理的期 待に反した場合には、ニュージャージー州法違反と判断できると結論づけた282。いずれの 枠組みにおいても、閉鎖会社の少数派株主は、多数派株主に対して、以前に比べてかなり 緩やかな規準で勝訴できるようになった283。これらの制定法が次々に他の州に影響を与え た結果、他の州は同様の法律を制定した。

 1981年、ミネソタ州は、新しい事業会社法を制定したが284、同法には、ニュージャージ ー州の制定法を部分的に倣った解散楽碩が含まれていた285。最初に制定された法律は、少 数派株主を支持することを意図していた。その後の2年間における改正によって、州議会 は、同法を少数派株主にとってさらに有利なものにした。すなわち、裁判所が介入する規 準を、「継続的な不公正」行為から単なる「不公正な侵害」行為に引き下げ、「抑圧」に一 層広い概念を与えたのである。これは、同法の拡大を意図した改正であった286。さらに、

閉鎖会社の株主にエクイティ上の救済を認めるべきか否かを検討する場合には、「株主の合 理的期待」を裁判所は検討するべきである旨の文言も追加した287。

1985年、ノースダコタ州は、非任意解散法を成立させたが288、同法はニュージャージー

2801bid.,§1800cmt.(emphasis ad−d−ed),at p.4,

281Bauer w Baue耳54Ca1.Rptr2d−377,382(Ct.App.1996).

282Bremer v Berkowitz,634A.2d.1019.1029(N.J.1993);Exad−akti1os v Cinnaminson Rea1ty Co.,400A.2d−554,561(N.J.SupeL Ct.Law Div1979);John H.1Matheson and R.

Kevin Mla1e耳supra note(231),at p.4,

283Ca1.Co叩.Code§1800cmt;Compare§1800(b)(4),with N.J.Stat.Ann.

§1独12−7(1)(c)(West2003).

284Minnesota Business CorporationsAct,ch.270.19811M[inn.Laws1141.1213

(cod.i丘ed−as amend−ed atMlinn.Stat.§302A.751(2004)).

285Mim.Stat.Am.§302A.751&note(West2004)(Reporter sNotes 1981).

286Minn.Stat.Ann.§302A.751note(Reporter s Notes・1982t01984).

287Minn.Stat.§302A.751,subd−ivision.

288North Dakota Business Co叩。rationAct,ch.147,§3.1985N.D.Laws411 13

(cod.i丘ed−as amended−at N.D.Cent.Cod−e§10・19.1 115(2005)).

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州およびミネソタ州の制定法と同様の規定を置いていた289。ミネソタ州の法律と同様に、

ノースダコタ州の制定法は「株主の合理的期待」を検討するように裁判所に要求している290。

 1988年、アラスカ州は、解散法を拡大する制定法を成立させた291。同法は株主の合理的 期待を検討することを裁判所に要求していないが292、アラスカ州最高裁判所は以前の制定 法に基づいて抑圧を定義する際に、合理的期待の規準をすでに承認していた293。

 オレゴン州は、2001年に会社法を改正して、ミネソタ州の法律と同様の規定を置き、さ らに、解散を望まない閉鎖会社の株主に、エクイティ上の救済を認めるべきか否かを検討 する場合には、「株主の合理的期待」を裁判所は検討することができる旨の文言を追加した

294。

(二)救済手段の拡大

 ニュージャージー州の制定法は、「継続的な不公正」行為から単なる「不公正な侵害」行 為に引き下げて、「抑圧」に一層広い概念を与えたことに加えて、重要な新制度を規定して いた。多数派が、「不公正な侵害」行為を行ったことを少数派株主が立証した場合には、同 州の裁判所は、エクイティ上の救済を少数派株主に与えることができることを、同法は明

らかにした295。すなわち、ニュージャージー州議会は、裁判所が株式買取などの比較的過 酷でないエクイティ上の救済を、少数派株主に与えることを認めることによって、根本的 な請求について、少数派株主の主張が認められやすくなるようにしたのである。理論上の 問題として、少数派株主が抑圧されていたか否かの判断には、いかなる救済が適切である かという問題とは別の審理を要するが、実際の問題としては、抑圧の最初の認定において、

救済の過酷さが必然的に役割を果たすことになる。つまり、救済手段が拡大したことによ り、当該条文に基づいて開始される訴訟が急増することとなった296。

289See N.D.Cent.Cod.e§10−19.1 115(1)(b)(3).

2901bid.,§1〇一19.1 115(4).

291Act ofJune17.1988,ch.166,§1.1988A1aska Sess.Laws105.07(cod.i丘ed−as amend−ed−atA1aska Stat.§10.06,628(2004)).

292SeeA1aska Stat.§10.06,628(b)(5).

293Ste血no v Coppock,705P2d−443,446n.3αuaska1985).

2942001年、オレゴン州議会は、「合理的な期待」の文言を含む、閉鎖会社における株主の ための株式買取規定を採用した。SeeActofJune5.2001,ch.316,§58.20010r Laws761

(cod−i丘ed−as amended−at Or.Rev Stat.§60,661(2)).

295N.J.Stat.Ann.§14A:12 7(1)(c)(2003).

296Ei1eenA.Lind−saX What Can IBID.o血r此u?Remedies br Oppressed−Shareho1d−ers in New JerseX N.J.Law.,Aug.2000,at37,37;John H.Matheson and.R.Kevin Ma1e巧

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