乳房温存療法(乳房温存手術・放射線療法)は早期乳癌に対する標準治療とさ れています。
乳癌手術では、腫瘍を包むように取り除くこと、術後の整容性のバランスとで 術式が選ばれます。
乳房温存療法は主に3cm以下の乳癌に適応されてきました。
早期乳癌の患者様を多く見つけることができる施設では、乳房温存療法の比率が 高くなります。
乳房温存手術実施件数 乳房手術実施件数
平成25年度より平成26年度の方が乳房温存手術の割合としては高くなって いますが、分母の手術件数が悪性腫瘍としては減少しています。乳腺腫瘍の摘 出術の件数が増加しています。乳房温存手術の割合を向上させるには、早期乳 癌の患者の発見が高くなることが重要です。
外科医の他、早期乳癌発見に関わる健診センターとマンモグラフィー実施の 放射線科など、チーム医療体制の強化が重要になります。
日本乳癌学会『全国乳がん患者登録調査報告』による2011年次症例
乳房温存率 =
0% 20% 40% 60% 80% 100%
参考値 平成26年度 平成25年度 平成24年度 平成23年度 平成22年度
乳癌患者での乳房温存手術の割合
58.6%
63.6%
市立千歳市民病院
50.0%
25.0%
50.0%
57.1%
14/8 12/3
11/7
22/11 8/4
47,441/27,821
※手術室で行った手術を対象としています。
【定義と計算方法】
※手術室にて実施した手術を対象としています。
平成24年度より3年間、発生率が低くなってきています。
この数値はあくまでも質を示すものではありません。しかし再手術を強いられる 患者様の負担は極めて大きく、全身状態の悪い患者では予後に影響する可能性もあ ります。
再手術率は患者管理の諸問題など、フイードバックするために外科系各科が念頭 に入れて治療に当たるべき数値として報告しています。
13. 手術・処置
この数値は執刀医の技量の高低を示すものではありません。
どのような治療にも発生頻度に差はありますが、副作用や合併症を伴うにもかかわらず その治療が行われるのは、治療法そのものの危険や苦痛より、その治療を行わなかった場 合の危険の方が明らかに大きいためです。
メスを用いて病変を治療する外科系チームは、患者様の苦痛をできる限り軽減する努力 とともに、合併症を防止することに努めなければなりません。
13- 2 24時間以内の再手術率
手術総件数
24時間以内に再手術となった件数
評価:
再手術率 =
市立千歳市民病院
0.06%
0.38%
0.44%
0.00% 0.10% 0.20% 0.30% 0.40% 0.50% 0.60%
平成26年度 平成25年度 平成24年度
24時間以内の再手術率
7/1,864 7/1,600
1/1.777
44
13- 3 術中、術後大量輸血率
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計 大量輸血
患者数
(人) 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 2 0 5
手術
件数 126 111 144 130 123 100 125 124 110 131 160 121 1,505 大量
輸血率 (%)
0.0 1.8 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.3 0.0 0.3 大量輸血
患者数
(人)
1 1 0 1 0 0 0 0 1 0 0 1 5
手術
件数 132 131 113 147 142 106 143 137 138 131 148 132 1,600 大量
輸血率 (%)
0.8 0.8 0.0 0.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.7 0.0 0.0 0.8 0.3 大量輸血
患者数
(人)
1 0 0 2 1 0 0 0 1 1 1 0 7
手術
件数 144 121 122 140 166 128 185 162 187 175 157 177 1,864 大量
輸血率 (%)
0.7 0.0 0.0 1.4 0.6 0.0 0.0 0.0 0.5 0.6 0.6 0.0 0.4 大量輸血
患者数
(人)
0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 2
手術
件数 142 141 155 172 138 144 145 121 172 162 137 148 1,777 大量
輸血率 (%)
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.6 0.0 0.7 0.0 0.1
【定義と計算方法】
評価: この数値の測定を開始してから4年間で、平成26年度は大量輸血割合が一番低い結果となって います。
13. 手術・処置
平成 26 年度
手術件数
術中、術後に大量輸血した患者数 術中、術後大量輸血率 =
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
市立千歳市民病院
手術中、手術後に大量輸血を実施した比率です。
輸血療法は,極めて有効性が高く、近年、輸血による免疫性及び感染性の副作用・合併症は減少 していることから安全性は非常に高くなっていますが、輸血による副作用・合併症を根絶すること は困難です。
大量輸血とは、「24時間以内に循環血液量以上の輸血を行う場合」とされるが、体重60kgの成人 の血液量は約4000mlとなっており、生命の危険があるのは循環血液量の1/3を失った場合とされる ことから、200ml1単位の輸血を6単位以上行った場合を大量輸血とします。
平成23年度から臨床検査・輸血療法委員会において測定開始しました。
45
13-4a 特定手術における手術開始24時間以内予防的抗菌薬投与率
※DPC対象患者のみとしています。(EVEデータより抽出)
【定義と計算方法】
評価: 当院では全身麻酔の手術はすべて、手術室で抗菌薬を投与するというのが がルーティーンとなっています。その結果が、術後の感染症発生率に表れて います。(13-4b)
※日本病院会QIプロジェクトに参加施設が提出するこの項目の、特定手術のうち当院が行っている該当手術はこの3つとな ります。
24時間以内に予防的抗菌薬が投与された手術件数 特定術式の手術件数
抗菌薬投与率 =
13. 手術・処置
100%
100%
100%
100%
100%
100%
100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
目標値 平成26年度腹式子宮摘出術 平成25年度腹式子宮摘出術 平成26年度膝関節人工関節置換術 平成25年度膝関節人工関節置換術 平成26年度股関節人口関節置換術 平成25年度股関節人口関節置換術
特定手術における手術開始24時間以内予防的抗菌薬投与率
17/17
10/10
30/30
市立千歳市民病院
14/14 18/18
38/38
46
13-4b 特定手術における感染症発生率
※DPC対象患者のみとしています。(EVEデータより抽出)
【定義と計算方法】
評価:
13. 手術・処置
創感染発生率 =
股関節置換術は平成25年度より創感染発生率が低くなっていますが平均よ りは高くなっています。
膝関節置換術と子宮全摘出術は、創感染が発生していません。
子宮全摘出術に関しては、2年間感染が発症していません。術中、術後の 管理が優れていると言えます。
平均値:GHC契約病院の平均値
※日本病院会QIプロジェクトに参加施設が提出するこの項目の、特定手術のうち当院が行っている該当手術はこの3つとな ります。
創感染患者数 特定術式の手術件数
5.4%
0.0%
0.0%
4.8%
0.0%
10.0%
3.7%
11.1%
5.9%
0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0%
平均値 平成26年度腹式子宮摘出術 平成25年度腹式子宮摘出術 平均値 平成26年度膝関節人工関節置換術 25年度膝関節人工関節置換術 平均値 平成26年度股関節人工関節置換術 平成25年度股関節人工関節置換術
特定手術における創感染発生率
1/17
2/18
1/10
市立千歳市民病院
0/38 0/30 14/0
47
13-5 腹腔鏡から開腹に移行した胆嚢摘出術の割合
【定義と計算方法】
参考値:
評価:
開腹移行率= 開腹手術へ移行した手術患者数
腹腔鏡胆嚢摘出術で手術を開始した患者数
Chea JA,et al:によれば腹腔鏡下胆嚢摘出術から開腹手術への移行率は単一医 療機関では4.9%~5.2%とされています。
移行原因の分析 高度癒着 炎症 解剖学的位
置の特殊性
平成24年度
1 2 1
平成25年度
7 4
平成26年度
1 1
腹腔鏡下胆嚢摘出術から開腹手術への移行原因は、高度癒着や炎症、解剖学 的位置の特殊性などによるもので、止血困難などの術中偶発症によるものはあ りませんでした。
開腹手術移行率が高い傾向を認めたのは、癒着、炎症が予想される症例にも 腹腔鏡手術の適応を広げ、危険を伴うと判断した場合にはすぐに開腹術に移行 し安全を担保した胆嚢摘出術が実施されている結果と言えます。
13. 手術・処置
5.0%
10.0%
35.5%
17.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50%
★参考値 平成26年度 平成25年度 平成24年度
開腹移行率 市立千歳市民病院
胆嚢炎や症状のある胆嚢結石に対する標準治療は胆嚢摘出術です。開腹手術に比べ腹腔鏡 手術の方が術後の回復期間、入院期間が短くなりますが、炎症が高度な場合は難易度が高 く、胆管損傷などの合併症の発生率も高くなるため開腹手術への移行が推奨されます。
48
14-1 初産婦の帝王切開率
5/16 13.8%
36/190 18.9%
10%~15%
【定義と計算方法】
参考値1:
参考値2 WHOが推奨する帝王切開率