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成果をさらに広げるフォローアップ

ドキュメント内 JICA at a Glance (ページ 134-142)

「外貨返済型円借款」、 「災害復旧スタンド・バイ借款」を創設

2.  成果をさらに広げるフォローアップ

 プロジェクトや研修の実施後に、相手国がプロジェ クトの目標に沿ってさらなる付加価値を生み出せるよ うに追加支援を行い、実施した事業の効果を促進・拡 大する協力です。

 例えば、JICAは中華人民共和国の感染症対策を支 援する協力の一環として、2006年から2011年にか けて「ワクチン予防可能感染症のサーベイランス及び コントロールプロジェクト」を実施しました(「サーベイ ランス」とは、感染症の発生状況を調査・集計するこ と)。プロジェクトは、予防接種の質の向上を目的とし、

それまで行政の所掌により3冊に分かれていた妊婦手 帳、小児健康手帳、予防接種証を、我が国の母子手 帳の概念に基づいた「母子健康手帳」として統合し、パ イロット事業対象地である江西省南豊県で配布しまし た。協力終了から約1年を経た2013年3月、フォロー アップ協力により、住民の健康意識、母子保健サービ ス、そして母子健康手帳の使われ方にどのような変化 が起こったかを確認し、協力成果の更なる普及を図る ことを目的としたワークショップを開催しました。ワー クショップでは、プロジェクト終了後、約6,700冊の母 子健康手帳が新たな妊婦と出生児の手に渡ったことが 確認されたほか、健診受診率や妊婦の健康知識の向 上、医療機関間の情報共有の促進といった成果が確

給水用ハンドポンプ施設の修理方法を学ぶ修理担当者(ウガンダ) 母子健康手帳を用いて健診を受ける母子(中国)

─ 事業の付加価値を高めるフォローアップ協力

フォローアップ

認されました。一方、手帳の配布漏れが見られる、手 帳の記入に負担感があるなどの課題も提起されました。

ワークショップの開催を通じ、江西省南豊県の関係者 が一丸となって、ユーザーの視点に基づいた課題の解 決を図り、母子の健康を守るために一層の取り組みを 進めていくことが確認されました。

 また、JICA関西が中米・カリブ地域を対象に2006 年から2011年までの6年間実施した「中米・日本貿易 振興のためのキャパシティ・ディベロップメント」研修で は、研修対象各国の食品関連企業による我が国食品 市場への参入を促進するため、輸出振興活動を担当す る貿易投資センター職員等の研修員による日本の食品 市場の分析や輸出戦略の策定を支援しました。この研 修コースの特徴は、毎年開催される日本最大の食品・

飲料専門展示会「FOODEX JAPAN」への参加を実現 することを研修後の目的のひとつとしていたことです。

 本研修の帰国研修員による現地企業の輸出振興活 動を支援するため、JICAはドミニカ共和国とニカラグ アを対象にフォローアップ協力を実施しました。2013 年2月、研修講師が帰国研修員の担当する企業を訪問 し、商品の取り扱い方法や設備の様子を確認し、アド バイスを行いました。また、フォローアップ協力の一 環として現地で開催された対日輸出セミナーに参加し、

日本市場における消費の傾向、好まれる甘さの質や パッケージなどを現地企業関係者に紹介しました。こ うした取り組みもあり、ドミニカ共和国の4社の食品関 連企業は「FOODEX JAPAN 2013」に初出展を果た し、中米・カリブ地域の企業の日本市場進出への機運 が高まっています。

帰国研修員同窓会への支援

このほか、フォローアップ協力では帰国研修員の同窓 会を支援しています。JICAは設立以来、29万人を超 える研修員を開発途上国から日本へ受け入れてきまし た。 研修参加者は、将来の母国の国づくりの担い手

となり、日本との懸け橋となる貴重な「人的財産」です。

日本のよき理解者である彼らとの友好関係を維持・発 展させ、日本で習得した技術や知識をさらに向上させ るため、JICAは帰国研修員やその同窓会のネットワー ク形成・維持を支援しています。2012年時点で全世 界で130団体に上る同窓会が活動を行っています。

 多くの同窓会では、帰国研修員が講師を務める勉 強会が開かれているほか、ウェブサイトやニュースレ ターによる情報発信、年次総会の開催によって自国で のJICAの活動や帰国研修員の研修成果を共有する取 り組みが行われています。

 JICAでは、このような「人的財産」である同窓会と連 携し、効果的なフォローアップ協力を実施しています。

 例えば、イラクの帰国研修員同窓会は、JICAによ るイラクへの重点支援分野である経済成長の基盤整 備、民間セクターの活性化、生活基盤整備、ガバナ ンスの強化等に関連した様々なセミナーを現地で開催 しています。セミナーでは帰国研修員が講師を務め、

関係者間の情報共有・連携の促進に取り組んでいます。

イラクでは治安上の理由により日本人の移動に制限が あるため、JICAの事業サイトや帰国研修員の活動現 場での視察や情報収集を比較的容易に行える同窓会メ ンバーは事務所の活動をサポートする貴重な存在にも なっています。また、2013年3月には、バグダッド大 学文学部の協力を得て、イラク帰国研修員同窓会とし て初めてとなる写真展を開催しました。写真展開催の 目的は、JICAのイラク支援、日本の文化についてイ ラク人に広く紹介することでした。写真展には同窓会 メンバーのみならず、大学の教員や学生、政府関係 者も参加し、大盛況のうちに終わりました。また、写 真展の様子は全国紙でも取り上げられ、JICAの活動 をイラク全土に紹介する機会となりました。

 フォローアップ協力は過去に実施した協力の成果を、

より長期間持続、発展させることで、日本の国際協力 の効果と質を高めるために役立っています。

対日輸出セミナーで指導する日本人講師(ドミニカ共和国) バクダッドで開催された写真展の開会式の様子(イラク)

 

活動 報告 事業 の目 的と 概況

協力 の形 態

運営

・管 理・ 評価

資料 編

協力の形態

 JICA-Netとは、JICAが推進する遠隔技術協力事 業です。遠隔講義・セミナーの実施、マルチメディア 教材の作成、ウェブサイトを通じた教材の紹介・配信 など、さまざまな情報通信技術を活用し、時間と距離 の制約を超えてJICA事業の効率化と質の向上を図っ ています。

 JICA-Netの誕生は、2000年に開催された九州・

沖縄サミットに端を発します。その後、マルチメディ ア教材や遠隔講義・セミナーなどコンテンツの蓄積、

テレビ会議ネットワークの海外拠点の拡大に伴い、そ の効果が認知され、利用数も増加しています。

 2012年度のテレビ会議システムの利用件数は約 6,100件、接続時間は約9,700時間、遠隔セミナー・

テレビ会議の参加者は6万5,000人を超えました。現 在、日本国内では本部を含む18機関に、 海外では 計74カ国にテレビ会議システムが設置されていま す。 また、 外部機関のネットワークを通した相互利 用も行っています。 特に、世界銀行GDLN(Global  Development Learning Network)とは施設利用の みでなく共同での遠隔セミナー企画・実施などコンテ ンツ利活用にも取り組んでいます。

 JICA-Netでは、以下のような手法により、遠隔技 術協力の浸透を図っています。

● 遠隔講義・セミナーの実施

JICA事業の効率と効果を高めるツールとして、テレビ 会議システムを活用し、日本からの派遣が困難な有識 者による遠隔講義や、複数国をつないだ地域ワーク ショップなどを実施しています。例えば、中南米地域 4ヶ国(ホンジュラス・ボリビア・ドミニカ共和国・コロ ンビア)から研修員が参加した地域別研修「教育養成課 程における教育改善方法の検討」では、本邦研修終了 後一定期間をおいて、再度各国の帰国研修員及び研 修実施機関をテレビ会議システムで接続し、研修員達 による活動報告会を実施しました。報告会では研修員 間で各国の実際の取組状況に係る情報交換が行われ るなど、研修効果の向上を図ることが出来ました(右 図参照)。このように、JICA-Netの活用によってJICA 事業の効率・効果の向上が図られています。

● マルチメディア教材の作成

 マルチメディア教材とは、動画、写真、文書などさ まざまなメディアをCD-ROMやDVDなどに記録した もので、JICA事業に関する知見をデジタル化し、開 発途上国の人々やJICA関係者と共有するなど、主と して、技術協力用の学習教材として活用することを目 的として作成しています。これまでに開発したマルチ メディア教材は約270件あります。

 マルチメディア教材は日本語、英語のみならず、フ ランス語やスペイン語をはじめ、 必要に応じて多言 語訳版も作成しており、日本の経験や各国での好事 例などを国や地域を超えて広く共有・普及するため に活用されています。 例えば、徳島県上勝町の「彩 (IRODORI)」事業を事例として地元のリソースを活用 した地域開発を学ぶための教材「彩(IRODORI)-木の 葉の里の元気づくり-」は、シンハラ語やネパール語に も翻訳され広く活用されています。

● ウェブサイトを通じた教材の配信

 遠隔講義セミナーの指導例や資料、マルチメディア 教材などデジタルコンテンツをウェブ上に蓄積し、世 界中のJICA事業関係者間で共有し再利用する環境を 提供しています。また、同じウェブサイト上で遠隔技 術協力の事例や利用方法を紹介することにより、さら なる利用の促進を目指しています。

JICA-Net ウェブサイト

 http://jica-net.jica.go.jp/ja2/index.html

研修の事後活動を遠隔で

帰国研修員によるアクションプランの進歩状況発表

─ 時間と距離の制約を超えた新しい形の国際協力を実現

JICA-Net

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