2013年4月14日、国際野球連盟(IBAF)より、世界各国で野球やソフトボールの普及に尽力したJICAボランティアの貢献 に対し、JICAが特別表彰を受けました。JICAは、1970年以来、世界36カ国で延べ278人の野球・ソフトボール分野のJICA ボランティアを派遣してきており、2013年3月31日現在も13人が活動中です。
キャプテンを中心に話し合いを行いチームの意思統一 を図る輪の中に、指導者である協力隊員の姿(ブルキナ ファソ 野球)。技術のみではなく、野球を通した心の成 長を大切にしている
を行っています。
協力分野は主に農林水産、エネルギー、保健・医療、
人的資源(教育・文化・スポーツなど)など9分野にわ たります。2012年度は264人を派遣しました。現在 までの派遣国は71カ国、累計派遣者数は5,138人に 上ります。このほか、中南米の日系人社会に貢献する ための日系社会青年ボランティア、日系シニア・ボラ ンティアや、派遣期間が1年未満の短期ボランティア も派遣しています。
帰国後の進路
現在、日本国内の地域社会、行政、教育、企業活 動などさまざまな場面で、多様な文化や社会を受け入 れ、対話し、行動する人材として、帰国後のJICAボ
ランティアに期待が高まっています。その表れとして、
地方自治体や教育委員会でのJICAボランティア経験 者の特別採用制度を導入する自治体が増えてきており、
その数は2013年4月1日時点で確認されているもの は54自治体に上ります。
このように、JICAでは各ボランティアが派遣国で 培った経験を、帰国後の社会で生かしてもらうための 支援体制を用意しています。また、帰国後に子育て支 援や地域の活性化など、日本社会の抱える課題に取 り組むJICAボランティア経験者も多く、JICAとしても ボランティア事業が、開発途上国への貢献のみならず、
「日本も元気にする」事業である点も広報していくこと としています。
特
集
活動 報告 事業 の目 的と 概況
協力 の形 態
運営
・管 理・ 評価
資料 編
活動報告:様々な事業の取り組み
市民による国際協力への取り組みは、NGOなど市 民団体による活動のほか、JICAが実施するボランティ アや技術協力などのODA事業への参加など、さまざ まな形で実施されています。 なかでも市民団体の発 意や個人のボランティア精神に基づき実施される活動 を、JICAでは国民等の協力活動と呼んでいます。そ の国民等の協力活動の実施と国際協力への理解の促 進のための活動を「市民参加協力事業」と位置づけ、さ まざまな取り組みを行っています。
市民による国際協力の意義は、開発途上国の課題 に応えるアプローチが多様化することや、国際協力 の理解者、実践者が増えることにより、日本社会に広 く途上国の現状の理解と国際協力が浸透していくこと、
またそのことを通じて日本の地域が活性化し国際化が 進むことです。市民参加協力を通じて、国際協力が日 本の文化のひとつになることが期待されています。
市民参加協力事業は、個人や団体の意志や発意を 重視するとともに、すべての国民に参加の機会がある ことを特長としています。市民参加協力のうち、ボラ ンティア事業については「ボランティア事業」
[
P.106]
を、草の根技術協力事業とNGO支援事業については「NGO等との連携」
[
P.110]
もご参照ください。全国の国内機関を拠点に
JICAには全国に14の国内機関があり、各地域で国 際協力への理解を促進し、参加の機会を提供する活 動を行っています。また、地方自治体の国際交流協会 などに配置しているJICA国際協力推進員は、JICAの 窓口として地域と連携しながら国際協力に関する各種 イベントやセミナー、相談に対応しています。
東京都市ヶ谷にある「JICA地球ひろば」や愛知県名 古屋市にある「なごや地球ひろば」では、国際協力の 経験をもつ「地球案内人」のガイドにより、「見て、聞 いて、触って」体験できる展示を通じ、開発途上国の 現状や地球規模の課題を来場者が体感できます。2つ の地球ひろばでは、各国の料理などが味わえるカフェ や、フェアトレード商品も販売しており、「JICA地球ひ ろば」は90万人、「なごや地球ひろば」は28万人の入 館者数を突破し、子どもから学生、大人までが楽しく 学べる場となっています。セミナーや報告会などに最
適な貸し出しスペースも併設し、市民による国際協力 の活動や成果を発信する場として活用されています。
国際協力の理解のために ─ 開発教育支援事業 さらに、JICAは教育現場を中心に、開発途上国の 現状への理解を
深 め 、 国 民 の 協力活動を含め た 国 際 協 力 の 活動を知っても らうことを目的 に、NGOや学 校関係者と連携
し、開発教育支援事業を実施しています。
小中学校の授業に講師を派遣する「国際協力出前講 座」(毎年約2,000回実施)や、国際協力に関する作文 コンクール「国際協力中学生・高校生エッセイコンテス ト」(中学生、高校生合わせて、毎年約7万人が応募)
のほか、開発教育に関心のある教員や教育関係者を 対象に行う「教師海外研修」では、実際に途上国の教育 現場を視察し、帰国後の授業実践に活用するための機 会を年間約20コース約170名に提供しています。
また、JICAは開発教育の手法や事例を学ぶための
「開発教育指導者研修」や教材の作成も行っています。
これらの市民参加協力活動は、地域とのつながりの 下で活動しているNGOや地方自治体などと協力して 実施しています。日本の市民にとって国際協力が当た り前となり、身近に感じられ、日本の優れた文化のひ とつになるよう、活動を深めています。
青年海外協力隊ボランティア経験者による出前講座 なごや地球ひろば
─ 国際協力を日本の文化に
市民参加協力
教師海外研修
JICA東北では、東北5県の中学校・高校現職教員8 名をインドネシア国アチェ州に派遣しました。アチェ州 は2004年12月のスマトラ島沖地震の津波により20万 人を超える犠牲者があった被災地で、8年の時を経て 復興の歩みが進んでいる場所です。
参加者は今回の滞在期間に、現在の被災地の様子 を実地に視察し、また、地域の復興への取り組みや学 校現場での教育関係者や生徒らとの対話を行いました。
資料館や語り部の証言で当時の状況を知り、また、過 去を乗り越えて現在の暮らしを営んでいる市民の暮ら しや子供たちの日常を垣間見ていただきました。どの 訪問地でも必ず大変温かい大歓迎を受け、多くの市 民から日本の被災について自分の家族のことの様に励 ましの言葉をいただき、全ての訪問日程を無事に終え ることができました。
教育の現場では、持ち帰った写真や民族衣装だけで はなく、直接触れ合ったからこそ得られる想いや力強 さが生徒たちに伝えられることになります。東北の教 育の現場で、海外に目を向け、同時に自身が暮らすコ ミュニティにも目を向ける生徒たちへ、それぞれの参 加者の工夫を通じて授業が行われています。
帰国後の事後研修の機会では、一般公開の形で授 業実践の工夫について参加者間で意見交換し、また、
歴代の研修参加 教師の協力も得 て教師間のネッ トワークを構築 し、東北の教育 関係者の連携の 場として活用し ていただく計画 です。
JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト 次の世代を担う全国の中学生・高校生を対象に、開 発途上国の現状と国際協力の必要性について理解を 深め、国際社会のなかで日本は何をすべきか、また、
自分たち一人ひとりがどう行動すべきかについて考え てもらうことなどを目的として、国際協力に関するエッ セイコンテストを実施しています。
以下は、エッセイコンテスト2012中学生の部に入 賞した2つの作品からの抜粋です。
「『国際協力』とよく言われるが、国際協力の基本は
『互いによく知ること』ではないかと思う。私は、ブラ ジルに行き、ブラジルの良さを知った。そして、世界 を学んだ旧友は差別をしなくなった。大地震の報道で 日本の良さを知った国々は、支援の手を差し伸べてく れた。全て『知ること』から始まっている」
「人は、一人では成り立たない。国も、他の国の支 えなしでは成り立たず、成長もできない。世界中の人々 は、どこで生きていても同じ人間。文化の違いがある だけだ。私は、今、文化の壁に温かい扉をつくる力に なりたい」
ジュニア地球案内人プログラム
JICA地球ひろばでは、全国の大学生向けのプログ ラムとして、毎年春休みと夏休みの時期に、「ジュニ ア地球案内人プログラム」を実施しています。
JICA地球ひろばには、市民を対象に、開発途上国 の課題や国際協力をわかりやすい形で理解していただ くための常設展示施設『体験ゾーン』があり、この展示 の内容をわかりやすく説明する「地球案内人」が常駐し ています。
「ジュニア地球案内人プログラム」は、この「地球案 内人」の業務の体験、JICA職員をはじめとする国際協 力活動に従事している人々との交流、国際協力に関す るワークショップの企画・実施等を通じて、大学生の 皆さんに国際協力と自分たちとの関わりを考えてもら うことを目的とした、体験型プログラムです。
エッセイコンテスト2012の入賞者たち(高校生の部)
大学生に国際協力に関する仕事を体験してもらう「ジュニア地球案内人」プログラム 教師海外研修(インドネシア国)
特
集
活動 報告 事業 の目 的と 概況
協力 の形 態
運営
・管 理・ 評価
資料 編