第 3 章 比抵抗法における数値座標変換の基礎理論
3.3 座標変換方程式および境界条件
物理空間と計算空間との相互の座標変換に必要となる関数関係は、式(3.2)と式(3.3)の6つ からなるが、ここで明らかにされた対称性のある基本計量テンソルは、6つの独立な微分方 程式を提供しており、理論上は適切な境界条件のもとで唯一な解を与える。
具体的には、次の変換方程式とそれぞれの境界条件が導入される。
3.3.1 双曲型変換方程式および境界条件
3 1
3 2
3 1 2
3
0 0
( ) 1
s s
s s
s s s
σ
=
=
× =
g g g x x x x
x x x
(3.16)
ただし、
( 1,2,3)
si
i
s i
= ∂ =
∂
x x式(3.16)において、上2つの式は、式(3.14)の直交条件を用いており、最後の式は変換ヤコ ビアンの定義式(3.13)に他ならない。
また、式(3.16)は非線形微分方程式であり、これを解くために線形化近似を行う。
si
x を初
期位置x0の近傍で
s
3に対してTaylor展開し、∆ s
3より高次の無限小量を無視すると、次式が得られる。
0 0
( 1,2,3)
3
i i 3 i
s i
s s s s
∂ = ∂ ∂ ∂ ∆ =
∂ ∂ ∂ ∂
x x x
+
(3.17)すなわち、
0
( 1,2,3)
i i i
s
=
s+ ∆
si =
x x x
(3.18)1 σ
3については次式が得られる。0
3 3 4
0 0 3
1 1 3
ss
s σ
σ σ σ
= − ∂ ∆
∂
(3.19)式(3.18)と式(3.19)を式(3.16)に代入すると、次の近似式が得られる。
3 1 1 3 1 3
3 2 2 3 2 3
2 3 1 3 1 2
1 2 3
0 0 0 0
0 0 0 0
0 0 0 0
0 0 0
3 3
0 0 3
( ) ( )
1 3
( ) 1
s s s s s s
s s s s s s
s s s s s s
s s s s
s σ
σ σ
∆ + =
∆ + =
× ∆ + × ∆
∂
+ × = − ∆
∂
g g g
g g g
g g
g
x x x x x x
x x x x x x
x x x x x x
x x x
(3.20)
式(3.20)をマトリクス形式に書き直すと、次式が得られる。
( ) ( ) ( )
3 1 1 1 1 3
3 2 2 2 2 3
3
2 3 3 1 1 2
0 0 0 0 0
0 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0
0 3 3
0 0 3
( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( )
1 3
1
T T T
s s s s s s
T T T
s s s s s s
T T T
s s s s s s s s
s σ
σ σ
−
− =
∂
× × × − ∆
∂
0 0
g g
x x x x x x
x x x x x x
x x x x x x x
(3.21)
ただし
0 1
0
0 2
0 3
i
i
s
i
i
x s x s x s
∂
∂
∂
=
∂
∂
∂
x は、物理空間での初期位置ベクトルである。
0 0 0
=
0
は、ゼロベクトルである。式(3.21)からなる微分方程式は、
s
3方向へ進行する空間的2次元双曲型方程式であることが、Stege and Chaussee(1980)により証明されており、境界条件のもとで数値解が求められる。
双曲型変換方程式の境界条件は、
s
3方向の初期条件およびs
1とs
2方向の境界条件から構成 される。境界条件を導出する際、地下外境界は比抵抗変化する領域から遠く離れているこ とを仮定している。初期条件には、物理空間における地表電極系の位置座標を用いる。それは、物理空間地 表グリッドは解析中に更新されないからであり、次式で表される。
3
0 0
s=
=
x x (3.22)
s
1とs
2方向の境界条件は、浮動境界条件(floating boundary condition)が最も合理的とされ (Chan and Steger, 1992)、次式で表される。2
2
( 1,2)
i
s i
∂ = =
∂ x 0
(3.23)
式(3.23)は、導電率σが境界で変化しないとき、基本計量テンソル共変成分の定義式から 導かれる。
3.3.2 楕円型変換方程式および境界条件
物理空間から計算空間への楕円型変換方程式は、恒等式(3.6)から導出できる。計算空間か ら物理空間への楕円型変換方程式は、次の恒等式(3.24)から導出できる。
3 3
2
1 1
1 ij
i i j i
U g g U
η g η η
η = η = η
∂ ∂
∇ = ∑ ∂ ∑ ∂
(3.24)以下に、その導出過程を示す。
物理空間から計算空間への変換方程式:
まず、恒等式(3.6)に
U = s
lおよび式(3.13)と(3.15)をそれぞれ代入すると、次式が得られる。3 3
1 1
3 2 3
2 1
( ) 1
0 ( 1,2,3)
ij l
s s l s
i i j i
s l
i i
s g g s
s s
g
s l
s
σ σ
σ
= =
=
∂
∇ ∇ = ∂ ∂ ∂
= ∂ = =
∂
∑ ∑
∑
g
スカラー関数の座標変換不変性から次式が得られる。
( ) ( ) 0 ( 1,2,3)
s
σ
s ls
xσ
x ls l
∇ g ∇ = ∇ g ∇ = =
(3.25)式(3.25)は楕円型の微分方程式であり、適切な境界条件のもとで数値解が求められるが、
その境界条件は、地表と地下とで条件が異なる。
地表の境界条件は、次式のNeumann型とDirichlet型の境界条件が適用される。
0
3 3
0 ( 1,2) si
n i
s s
Γ Γ
∂ = =
∂
=
(3.26)
地下の境界条件は、次式の浮動境界条件が適用される。
2si 0 (i 1,2,3)
∇ = =
(3.27)式(3.26)では、計算空間地表の平坦条件と座標系の直交条件が適用されており、式(3.27)は 比抵抗が定数となる地下の外境界で成立する。
計算空間から物理空間への変換方程式:
物理空間では、
( , 1,2,3)
x j
ij i
i j
g i j
x x δ
∂ ∂
= = =
∂ x g ∂ x
(3.28)
( , 1,2,3)
ij j
x i j i
g = ∇ ∇ = x g x δ i j =
(3.29)x x
1
J = g =
(3.30)が成立する。恒等式(3.24)に、
U = x
lおよび式(3.29)と(3.30)をそれぞれ代入すると、3 2
1
0 ( 1,2,3)
l x l
i i i
x x l
x x
=
∂
∇ = ∑ ∂ ∂ ∂ = =
(3.31)が得られる。同様に、
U = x
l、式(3.13)と(3.15)を、式(3.22)に代入すると、次式が得られる。3
2 3
1
1
l( 1,2,3)
s l
i i i
x x l
s s
σ
=σ
∂
∇ = ∑ ∂ ∂ ∂ =
(3.32)一対一の座標対応関係を有する物理空間
( ) x
i と計算空間( ) s
i で、式(3.31)と式(3.32)は同値 でなければならないことから、次の変換方程式が得られる。3
2 3 2
1
1
l0 ( 1,2,3)
s l x l
i i i
x x x l
s s
σ
=σ
∂
∇ = ∑ ∂ ∂ ∂ = ∇ = =
(3.33)式(3.33)も楕円型の微分方程式であり、境界条件のもとで数値解が求められる。地表と地 下の境界条件は、それぞれ次式により表される。
地表:
3
0 0
s=
=
x x (3.34)
地下:
2
( , 1,2,3)
i j
s s i j
∂ = =
∂ ∂
x 0(3.35)