第 5 章 数値座標変換による 3 次元順解析
5.4 解析精度に関する検討
5.4.2 不均質大地モデル
この数値座標変換のアルゴリズムでは、比抵抗分布の連続的な変化を仮定しているため、
計算精度の検討には、この仮定を満たす理論モデルを用いて比較する必要がある。そこで、
まず、均質大地中に比抵抗が連続的に変化する殻を持つ半球が存在するモデルについて理 論解を導き、その理論解と比較することによって数値解の精度検討を行った。
① 均質大地中に殻を持つ半球モデルの理論解:
均質媒質中に連続的な比抵抗変化を有する半球が存在するモデルにおいて、電流ソース が半球の中心にある場合について、理論解を導出する。
Fig.5.3 に示すように、半径aの比抵抗ρ1の核と球対称比抵抗変化を有する厚さε の殻か
らなる半球が、均質大地
ρ
0中に存在するモデルを考える。( )
1
0 1 0 0 1
0
( )
( ) ( ) ( ) ( )
( )
r a
r R r a r a
r a ρ
ρ ρ ρ ρ ρ ρ ε
ρ ε
≤
= − − < ≤ +
> +
(5.9)
ただし、球心座標:O(0,0,0)、 ( ) r a R r ε
= −
、r = x
12+ + x
22x
32いま、半球の中心に点電流ソースIがある場合、この電流ソースを中心とした半径r
=
L の半球領域で電流連続方程式、(σ ) Iδ( )
∇
g E=
rに対して体積積分する。Gaussの積分定理を用いて体積積分を面積積分に変形すると、
( )
V
dV d I
σ σ
Γ
∇ ⋅ = ⋅ =
∫ E Ñ ∫ E Γ
あるいは、
1 2
d d I
σ σ
Γ Γ
⋅ + ⋅ =
∫
E Γ∫
E Γ (5.10)ただし、
Γ
1は中心がOにある半径r=
Lの円の面積であり、Γ
2は中心がOにある半径r=
L の半球の表面積である。a
ε I( )r ρ
ρ
0ρ
1Fig.5.3a Conductive half-sphere with transition zone in homogeneous earth
地表での電流密度の法線成分はないため、式(5.10)の左辺第1項は0となる。よって、比 抵抗モデルと電流ソースの対称性から、式(5.10)は次式へと書き換えられる。
2 2
U I
L L
ρ
∂ = −
π∂
(5.11)無限遠点の電位を0とすれば、式(5.11)から、任意1点の電位は次式で求められる。
2
2I
rU dL
L ρ π
∞
= ∫ −
(5.12)式(5.9)を式(5.11)に代入し、積分すると次式が得られる。
0
: 1 2 r a
U I
r ε
ρ π
> +
=
(5.13)0 1
:
( ) ( )
2 a r a
U r I I r a ε
ρ
π ε
< ≤ +
= + +
(5.14)
0
1 1
0 :
1 1
( ) ( )
2 r a
U r I I a
r a a
ρ ρ
π ε
< ≤
= − + + +
(5.15)
ただし、
1 2
( ) 1 1 1
( ) B ln A B a r
I r A A Br a A r a
ε
ε ε
+ +
= + + + − +
0 1
0 0 1
0 1
0 1
1 a
A B
ρ ρ ρ ρ ρ ε ρ ρ
ρ ρ ε
= − −
−
=
② 均質大地中に殻を持つ半球モデルの数値解:
Fig.5.3b Grid in physical space, conductive half-sphere in homogeneous earth:
0
100 m
ρ = Ω
,ρ
1= Ω 20 m
.a = 5 m
,ε = 4m
Fig. 5.3c Grid in computational space, conductive half-sphere with transition zone in homogeneous earth:
ρ
0= 100 Ω m
,ρ
1= Ω 10 m
.a = 5 m
,ε = 4m
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
0 1 2 3 4
Distance from the Current Source (m)
Electrical Potential (V)
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
0 0.5 1 1.5
Distance from the Current Source (m)
Relative Error (%)
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
40 60 80 100 120
Distance from the Current Source (m)
Apparent Resistivity (Ωm)
Theoretical Numerical Relative error
Theoretical Numerical
r
r
r
Fig. 5.3d Comparison of numerical and theoretical solutions: Conductive half-sphere with transition zone in homogeneous earth model, point current of I
=
1A is injected at the center of the surface grid.上述のモデル(Fig.5.3a)を用いて、数値計算を行い、計算精度の検討を行った。
計算に用いたパラメータは、核半径
a = 5 m
、核比抵抗ρ
1= 20 Ω m
、殻の厚さε = 4m
、媒質比抵抗
ρ
0= 100 Ω m
である。また、両空間の初期グリッドの設定方法は半無限均質大地モデルの場合と同様である。修 正計算は反復回数2回で収束した。物理空間と計算空間の結果グリッドをそれぞれFig.5.3b
とFig. 5.3c に示す。また、電位および見掛比抵抗について、理論値と比較してFig. 5.3dに示
す。
理論値との比較からわかるように、両者は測線上ほとんどの場所でよく一致しているが、
比抵抗変化の大きい箇所で最大1.09%の誤差が現れている。この誤差は、物理空間で固定さ れる地表グリッドの密度と比抵抗変化との相関によって発生するものと考えられるため、
地表グリッドの密度を増す、すなわち測点を増やすことによって減少させることができる。