PL 多様体の定義には、可微分多様体の定義と同じように、座標変換がPL 同相写像で あるような座標近傍の族を与える方法もあり、これを採用する文献も多い。ここでは、こ のように座標変換を用いて定義されたPL多様体と、いままで述べてきたPL多様体との 間の関係を明らかにする。
説明の便宜上、座標変換で定義されたPL多様体をいままでのものと区別してPL′多様 体と呼ぶことにして、次のように定義する。
定義 3.30. X を第二可算公理を満たすHausdorff空間とする。S がX 上の n次元 PL 座標近傍系であるとは、次を満たすことをいう。
(1) S は次のような組(U, φ)からなる集合である:U はX の開集合であり、φはU からRn+のある開集合への同相写像である。(以下、記法を分かりやすくするため、
S ={(Uλ, φλ)|λ ∈Λ} と添え字を付ける。) (2) ∪
λ∈ΛUλ=X である。
(3) 任意のλ, µ∈Λに対して、φµ|Uλ∩Uµ◦φ−λ1|φλ(Uλ∩Uµ):φλ(Uλ∩Uµ)→φµ(Uλ∩Uµ) はPL同相写像である。
SがX上のn次元PL座標近傍系であるとき、(X,S)をn次元PL′ 多様体という。
X 上にn次元PL座標近傍系が存在すれば、Xは第二可算な局所コンパクトHausdorff 空間だから、とくにパラコンパクトとなることに注意する。
X上のn次元PL座標近傍系S,S′が同値であるとは、任意の(U, φ)∈ S, (U′, φ′)∈ S′ に対してφ′|U∩U′ ◦φ−1|φ(U∩U′): φ(U ∩U′)→φ′(U ∩U′)がPL同相写像であることを いう。これは、和集合S ∪ S′ が再びn次元PL座標近傍系になるということにほかなら ない。同値なPL座標近傍系は実質的に同じPL′ 多様体を定めているものと考えること は、可微分多様体のときと同様である*12。S, S′ が同値であることを、S ∼ S′ と書く。
*12もちろん、同値な座標近傍系の取り換えの自由度をなくすために、はじめから座標近傍系が極大であると
関係∼はX 上のn次元PL座標近傍系全体の集合の上の同値関係となる。
S がX 上のn次元PL 座標近傍系でh: X → Y が同相写像のとき、S をhによって 写して得られるY 上のn次元PL座標近傍系をh∗S と書く。すなわち、
h∗S ={(h(U), φ◦h−1)|(U, φ)∈ S}
とする。
PL多様体が与えられると、以下のようにしてPL′多様体を自然に構成することができ る。M を(いままでの意味での)n次元PL多様体とする。このとき、SM を、M の開 集合U とRn+ のある開集合V へのPL同相写像φ: U →V の組(U, φ)の全体と定義す ると、(M,SM)はn次元PL′多様体となる。このとき、M はn次元PL座標近傍系SM
は極大性をもつ。すなわち、SM ∼ S となる任意の n次元PL 座標近傍系S に対して、
S ⊂ SM である。
さて、PL′多様体は、次の定理のような意味で、いままでのPL多様体と同値な概念で ある。
定理 3.31. (X,S)をn次元PL′ 多様体とする。このとき、n次元PL多様体M と同相 写像h: M → X が存在して、h∗SM とS はX 上の同値なn次元PL座標近傍系とな る。さらに、M, hは次のような意味で一意的である。n次元PL多様体M′と同相写像 h′: M′ → X も上の条件を満たすならば、PL 同相写像Φ : M → M′ が一意的に存在し て、h′◦Φ =hである。
この定理を示すためには何を示せばよいかを、まず考察しよう。ひとまず、前半のM, h の存在は後回しにして、一意性の部分を考える。定理の条件を満たす Φ : M → M′ は h′−1◦hの他にはあり得ないから、問題はh′−1◦hがPL同相写像であるかということであ る。ところで、h∗SM ∼ S ∼h′∗SM′ であるから、(h′−1◦h)∗SM = (h′−1)∗h∗SM ∼ SM′
である。よって、前に述べたSM, SM′ の極大性を用いることで、(h′−1◦h)∗SM =SM′
を得る。これから、h′−1◦hがPL同相写像であることが分かる。
これで一意性の部分は解決したので、次に、M, hが満たすべき条件h∗SM ∼ S につ いて考える。SM は極大であるから、この条件は実際にはS ⊂ h∗SM と同じことである。
これは、定義から、任意の(U, φ)∈ S に対してφ◦h|h−1(U): h−1(U)→φ(U) がPL同 相写像であるということにほかならない。
最後に、S ∼ S′であるとき、定理3.31の主張が(X,S)について成り立つことは(X,S′) について成り立つことと同値である。よって、定理3.31 の証明でS を都合の良い同値な 座標近傍系に取り換えて問題ない。
以上から、定理3.31の証明は、次を示すことに帰着されると分かった。
定理 3.32. (X,S) をn次元 PL′ 多様体とする。このとき、S と同値なn 次元PL 座 標近傍系 S′ とn次元 PL 多様体 M および同相写像 h: M → X が存在して、任意の
仮定する方法もある。ただし、ここでは証明の簡明さのためにその仮定を置かないことにする。
(U, φ)∈ S′に対してφ◦h|h−1(U): h−1(U)→φ(U) はPL同相写像となる。
証明. (X,S)をn次元PL′ 多様体とする。S ={(Uα, φα)|α ∈ A} とすると、(Uα)α∈A
はX の開被覆である。この開被覆を細分する局所有限なX の可算開被覆(Vi)∞i=1 で、各 iに対してClXViがコンパクトであるようなものを取る。さらに、各iに対してα(i)∈A をVi ⊂Uα(i)であるように選んでおく。X の開被覆(Wi)∞i=1 をClXWi ⊂ Vi であるよ うに選び、ψ˜i =φα(i)|Vi, ψi =φα(i)|Wi とおくと、
S′ ={(Wi, ψi)|i= 1,2, . . .} はS と同値なn次元PL座標近傍系である。
各i≧1に対して、コンパクト多面体Pi ⊂Rn+をψi(ClXWi)⊂Pi ⊂ψi(Vi)となるよ うに取る。i, j≧1に対して
Qij =ψi(ψi−1(Pi)∩ψj−1(Pj)) =Pi∩(ψi◦ψ−j 1(Pj))
とおき、hij =ψi◦ψj−1|Qji: Qji →Qij と定義すると、Qij はPiのコンパクト部分多面 体で、hij はPL同相写像である。
さて、自然数の増大列1 =ν1 < ν2 <· · · を適切に取れば、Ik ={i∈N|νk ≦i < νk+1} とおくとき、Ck =∪
i∈Ikψi−1(Pi) に対して次が成り立つようにできる。
(i) |k−k′|≧2ならばCk∩Ck′ =∅である。
各 k に対して有限個の多面体 Pi(i ∈ Ik)を貼り合わせることで、多面体 C˜k を構成 しよう。位相的な直和 ⨿
i∈IkPi 上の同値関係 ∼ を x ∼ hij(x) (x ∈ Qji) で定める。
このとき、系 2.69 により、ある nk に対して、閉部分多面体 C˜k ⊂ Rnk と同相写像 (⨿
i∈IkPi)/∼ →C˜kが存在して、各i ∈Ik に対して合成ιki: Pi →(⨿
i∈IkPi)/∼ →C˜k はPL埋め込みとなる。さらに、これにψiを合成したもの
ψi−1(Pi)→ψi Pi ι
k
→i C˜k をi∈Ikについて貼り合わせれば、Ck =∪
i∈Ikψi−1(Pi)からC˜kへの同相写像αk: Ck → C˜kが得られる。
さらに、定理2.70により、次のように仮定してよい。
(ii) すべてのk ≧1に対してnk = 2n+ 1であり、よってC˜k ⊂R2n+1 である。
(iii) k̸=k′ のときC˜k∩C˜k′ =∅である。
(iv) ( ˜Ck)∞k=1 は局所有限である。
(v) ∪∞
k=1C˜k はR2n+1の閉部分多面体である。
次に、M1 =∪∞
l=1C˜2l−1, M2 =∪∞
l=1C˜2l とおく。M1, M2の定義の右辺は、(iii)によ りそれぞれ交わりのない和集合である。また、(iv)(v)により、M1, M2 はともにR2n+1 の閉部分多面体である。M1とM2を貼り合わせることで、目的のM を構成しよう。
Dk =Ck∩Ck+1(k ≧1)と定義し、D˜k,ε ⊂Mε(k ≧1, ε∈ {1,2})を D˜2l−1,1 =α2l−1(D2l−1), D˜2l,1 =α2l+1(D2l), D˜2l−1,2 =α2l(D2l−1), D˜2l,2 =α2l(D2l)
により定義する。このとき、D˜k,εはMεのコンパクト部分多面体である。実際、たとえば D˜2l−1,1 =α2l−1(C2l−1∩C2l) = ∪
i∈I2l−1
ι2li −1◦ψi(ψi−1(Pi)∩C2l)
= ∪
i∈I2l−1
∪
j∈I2l
ι2l−1i (Qij)
によりD˜2l−1,1 はC˜2l−1 の(したがってM1 の)コンパクト部分多面体であることが分 かる。D˜2l,1, ˜D2l−1,2, ˜D2l,2の場合も同様である。また、k ̸=k′のときD˜k,ε∩D˜k′,ε =∅ であることも (i)(iii) から容易に分かる。さらに、(iv) により、交わりのない和集合 Nε =∪∞
k=1D˜k,ε はMεの閉部分多面体となる。
同相写像βk: ˜Dk,1 →D˜k,2 を
β2l−1 =α2l◦α−12l−1|D˜2l−1,1, β2l=α2l◦α−12l+1|D˜2l,1
で定 める。β2l−1|ι2l−1
i (Qij) = ι2lj ◦hji ◦ (ι2li −1)−1(i ∈ I2l−1, j ∈ I2l) とな るか ら、
β2l−1 はPL 同相写像である。β2l についても同様にPL 同相写像となる。したがって、
β: N1 →N2 をβ|D˜k,1 =βk で定義すれば、βはPL同相写像である。
定理2.68により、あるn′に対して、閉部分多面体M ⊂Rn′と同相写像M1∪βM2 →M が存在して、合成Mε → M1∪β M2 → M をιεと書くとき ιε: Mε → M(ε = 1,2) は PL埋め込みとなる。
連続写像h:M →Xを
h◦ι1|C˜2l−1 =α−12l−1, h◦ι2|C˜2l =α−12l
で定義しよう。このとき、hの連続な逆写像h−1: X → M がh−1|C2l−1 = ι1 ◦α2l−1, h−1|C2l =ι2◦α2l で与えられることから、h: M →X は同相写像となる。
さて、任意に (Wi, ψi) ∈ S′ を与える。h−1◦ψi−1|ψi(Wi): ψi(Wi) → h−1(Wi) がPL 同相写像となることを示そう。i ∈Ikとなるk ≧1を選ぶと、Wi ⊂ψ−i 1(Pi)⊂ Ck であ る。たとえば、kが奇数でk = 2l−1の場合、α2l−1|ψ−1
i (Pi)=ι2li −1◦ψi により h−1◦ψi−1|ψi(Wi)=ι1◦α2l−1◦ψ−i 1|ψi(Wi)=ι1◦ι2li −1|ψi(Wi)
となる。また、同様にk = 2lの場合はh−1◦ψi−1|ψi(Wi)= ι2◦ι2li |ψi(Wi)である。ιε, ιki はPL埋め込みであったから、h−1◦ψ−i 1|ψi(Wi): ψi(Wi) →h−1(Wi)はPL同相写像で ある。
以上で、定理3.32が証明され、したがって定理3.31が証明された。
付録 A アフィン写像の特徴づけについて
この付録では、アフィン写像のいくつかの特徴づけを述べた次の命題を証明する。凸集 合C ⊂Rm, D⊂ Rnに対して、f: C →Dがアフィン写像(affine map)であるとは、
任意のx, x′ ∈ Cおよびt ∈I に対してf((1−t)x+tx′) = (1−t)f(x) +tf(x′)となる ことをいうのであった。
命題 1.2 (再掲). 凸集合C ⊂ Rm, D ⊂ Rn と写像f: C → D に対して、次は同値で ある。
(1) f はアフィン写像である。
(2) Cの元の任意の凸結合∑k
i=0tixiに対して、f(∑k
i=0tixi) =∑k
i=0tif(xi)である。
(3) Cの元のアフィン結合∑k
i=0tixiに対して∑k
i=0tixi ∈Cならば、f(∑k
i=0tixi) =
∑k
i=0tif(xi)である。
(4) ある線型写像f0: Rm → Rnとy0 ∈ Rnが存在して、f(x) =f0(x) +y0(x∈ C) である。
証明. (1) =⇒(2): 補題1.1からすぐに分かる。
(2) =⇒(3): (2)を仮定する。C の元の任意のアフィン結合x=∑k
i=0tixi ∈Cに対し てf(x) = ∑k
i=0tif(xi)となることを k についての帰納法で示そう。k = 0のとき、こ れは明らかである。k ≧1としよう。もし、すべてのiに対してti ≧0なら、(2)により f(x) = ∑k
i=0tif(xi)である。そこで、あるiに対してti < 0であるとしよう。たとえ ば、t0 < 0 であるとしてよい。このとき、u = 1−t0, x′ =∑k
i=1sixi, si = u−1ti とお けば、x′ はx1, . . . , xk のアフィン結合であって、x = (1−u)x0 +ux′である。よって、
x′ =u−1x+ (1−u−1)x0である。u= 1−t0 >1によりu−1 ∈I であるから、Cの凸性 によりx′ ∈C であり、(2)によりf(x′) = u−1f(x) + (1−u−1)f(x0) となる。よって、
(2)と帰納法の仮定により、f(x) = (1−u)f(x0) +uf(x′) =t0f(x0) +uf(∑k
i=1sixi) = t0f(x0) +u∑k
i=1sif(xi) =∑k
i=0tif(xi)である。
(3) =⇒ (4): (3) を仮定する。C ̸= ∅ としてよい。C のアフィン独立な元を最大個 数取り、それらを x0, . . . , xk とする。必要なら C を平行移動することで、x0 = 0 で あるとしてよい。V をx0, . . . , xk で張られるRm のアフィン部分空間とすると、V は x1, . . . , xk を基底とするRmの線型部分空間である。このとき、k の最大性からC ⊂ V である。さて、xk+1, . . . , xm ∈Rmを追加してRmの基底x1, . . . , xmをつくり、線型写 像f0: Rm→Rnを
f0
( m
∑
i=1
tixi
)
=
∑k
i=1
ti(f(xi)−f(x0))
で定め、y0 =f(x0)とする。このとき、x∈ Cに対して、C ⊂ V によりx =∑k i=1tixi と表すことができる。t0 = 1−∑k
i=1ti とおけば、x はx0, . . . , xk のアフィン結合とし
てx = ∑k
i=0tixi, ∑k
i=0ti = 1 と表されるので、(3)により、f(x) = ∑k
i=0tif(xi) = f(x0) +∑k
i=0ti(f(xi)−f(x0)) =y0+f0(x)である。
(4) =⇒(1) は明らかである。
付録 B PL 多様体の境界について
この付録の目的は、PL多様体の境界の定義において重要な役割を果たす次の命題を、
PLトポロジーの手法のみを用いて証明することである。
命題 3.2 (再掲). n≧1のとき、n次元PL多様体M の点xに対して次は同値である。
(1) xのある座標近傍h: U →V に対して、h(x)∈Rn−1× {0}となる。
(2) xの任意の座標近傍h: U →V に対して、h(x)∈Rn−1× {0}となる。
ここで使われる主な道具は、リンクのPL 不変性(定理 3.10)である。ただし、ここ ではPL 多様体の境界の概念はまだ使うことができないので、単体 σ の境界σ˙ や内部
˚σ =σ\σ˙ だけを使って議論することにしよう。
補題 B.1. σをn単体(n≧1)とするとき、任意のx ∈σ˙ に対して、σのある(n−1)次 元の面τ とPL同相写像h: ˙σ →σ˙ が存在して、h(x) = ˆτ が成り立つ。
証明. σ の頂点を v0, . . . , vn とする。x = ∑n
i=0tivi とxをv0, . . . , vn の凸結合で表す とき、t0 > 0であるとしてよい。τ を、v1, . . . , vn で張られるσ の面とする。このとき、
命題2.24(9)により、τ = ˆττ˙, v0τ˙ はそれぞれ錐であり、x ∈ (v0τ˙)\τ˙, τ ∪(v0τ˙) = ˙σ, τ ∩(v0τ˙) = ˙τ である。PL同相写像¯h1: τ = ˆττ˙ → v0τ˙ を、恒等写像 id : ˙τ → τ˙ の錐と して定義し、PL同相写像h1: ˙σ →σ˙ を
h1|τ = ¯h1, h1|v0τ˙ = ¯h−11
により定義する(τ˙ を球面σ˙ の赤道と考えたとき、h1は赤道は動かさずに北半球v0τ˙ と 南半球τ を入れ換える PL 同相写像である)。このとき、y = h1(x)とおくと y ∈˚τ で あるから、命題2.24(9)により、τ は錐としてτ = yτ˙ と表される。そこで、PL 同相写 像¯h2: τ = yτ˙ → τˆτ˙ = τ を、恒等写像の錐として定義すれば、¯h2(y) = ˆτ である。¯h2 をv0τ˙ 上で恒等写像として拡張すれば、PL 同相写像h2: ˙σ → σ˙ が得られる。最後に h=h2◦h1: ˙σ →σ˙ とおけば、hはh(x) = ˆτ を満たすPL同相写像である。
補題 B.2. σ をn 単体 (n ≧ 1) とするとき、任意の x, y ∈ σ˙ に対して PL 同相写像 h: ˙σ →σ˙ であってh(x) =yとなるものが存在する。
証明. 補題B.1により、(n−1)次元の面τ1, τ2 およびPL同相写像h1, h2: ˙σ → σ˙ が存 在して、h1(x) = ˆτ1, h2(y) = ˆτ2となる。さらに、頂点を入れ換えることで、PL同相写
像h3: ˙σ → σ˙ でh3(ˆτ1) = ˆτ2 となるものが得られる。h =h−21◦h3◦h1 が求めるPL同 相写像である。
補題 B.3. n単体σ と(n+ 1)単体τ に対して、σとτ˙ はPL同相ではない。
証明. nについての帰納法で証明する。n= 0のときは明らかである。n≧1として、PL 同相写像h: σ →τ˙ が存在すると仮定する。vをσ の頂点の一つとしよう。τ˙ に補題B.2 を用いることで、τ のある頂点wに対してh(v) =wであるとしてよい。σ′, τ′を、それ ぞれ、σ, τ のv, w 以外の頂点すべての張るσ, τ の面とする。σ = vσ′はvのσにおける 錐近傍であり、wτ˙′ はh(v) =wのτ˙ における錐近傍である。よって、定理3.10により、
σ′とτ˙′ はPL同相であるが、これは帰納法の仮定に反する。
命題3.2の証明. 記法を簡単にするため、Rn−1×{0}をRn−1と同一視する。V, V′ ⊂Rn+
が開集合でh:V →V′ がPL同相写像であるとき、h(V ∩Rn−1)⊂Rn−1 であることを 証明すればよい。そこで、x ∈V ∩Rn−1, h(x)∈/ Rn−1 であるとして矛盾を導こう。xを 内部の点にもつ(n−1)単体σ ⊂V ∩Rn−1とv ∈V \Rn−1を取り、n単体vσがV に 含まれるようにする。また、n単体τ ⊂V′ \Rn−1 を、h(x)∈˚τ となるように取る。
このとき、B =vσ˙ は錐なので、(n−1)単体σ = ˆσσ˙ とPL 同相である。しかも、B はvσ のx を含まない面すべての合併に等しいから、命題2.24(9)により、vσ は錐とし てxB と表され、xのV における錐近傍を与える。一方、やはり命題 2.24(9)により、
τ = h(x) ˙τ はh(x)のV′ における錐近傍となる。よって、定理 3.10により、B とτ˙ は PL同相であるが、Bは(n−1)単体とPL同相であり、τ はn単体であったから、これ は補題B.3に反する。