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多面体と単体複体

ドキュメント内 PL トポロジー PDF(12ポイント版) (ページ 31-34)

定義 2.46. 胞体複体K が単体複体 (simplicial complex) であるとは、任意の胞体 C K が単体であることをいう。多面体 P と単体複体K に対してP = |K|であると き、K P の三角形分割(triangulation)であるという*7

*7この三角形分割の定義は、Rourke-Sandersonのテキスト[2]とは異なっているので注意する。

胞体複体K の細分Kが単体細分(simplicial subdivision)であるとは、Kが単体 複体であることをいう。

2.47. 胞体複体K に対して、K の第1導細分K(1) は常にK の単体細分である。し たがって、第r導細分K(r)(r≧1)はすべてK の単体細分となる。

さらに、K が単体複体でLがその部分複体である場合、KLを保つ導細分を定義す るときに各単体σ K の内部に取る点として常に重心σˆ を選ぶことができる。このよう にして得られる導細分を、KLを保つ重心細分(barycentric subdivision)といい、

SdLK で表す。SdLK は、具体的には

SdLK =L∪ {σˆ1· · ·σˆkτ|k ≧1, σ1 >· · ·> σk > τ, τ ∈L, σ1, . . . , σk ∈K \L} で与えられる*8。とくに、L={∅}であるときは、これをK の重心細分といい、SdK で 表す。SdK は、

SdK =ˆ1· · ·σˆk|k ≧1, σ1 >· · ·> σk, σ1, . . . , σk ∈K} ∪ {∅}

で与えられる。

定理 2.48. 任意の胞体複体K に対して、頂点を増やさないK の単体細分K が存在す る。すなわち、単体複体K であって、KK かつV(K) = V(K)となるものが存在 する。

証明. K の頂点全体の集合に全順序を導入する(K の頂点は高々可算個なので、これは 整列定理を使うまでもなくできる)。各C ∈K\ {∅}に対して、Cの頂点のうちこの順序 について最大であるものをvC とし、Kˇ(C) ={D∈K( ˙C)|vC ∈/ D}と定める。すると、

命題2.24(9) によりC は錐vC|Kˇ(C)|である。

r ≧ 0に対して、r骨格Kr の単体細分Kr で次の条件(i)-(iii)を満たすものを帰納的 に構成する。

(i) V(Kr) =V(K) (ii) Kr ⊂Kr+1

(iii) 各C ∈Kr に対して、Kr(C) =vCKˇr(C)

ここで、各C ∈Kr, D∈Kr+1に対して、Kr(C),Kˇr(D)は、それぞれ細分KrKrK(C),Kˇ(D)に誘導する細分を表す。

まず、K0 =K(0) とする。Kr1 まで、上の(i)-(iii)を満たして構成されたとする。

主張. K の各r 胞体CD < C に対して、細分K(C)▷vCKˇr1(C)がK(D)に誘導 する細分Kr1(D, C)とKr1(D)は一致する。

*8この表示において、構成から明らかなように、σ = ˆσ1· · ·σˆkτ τ からはじめてσˆkτ,σˆk1σˆkτ, . . . と錐を繰り返し取ることで構成されている。よって、dimσ= dimτ+kで、その頂点集合はV(σ) = V(τ)∪ {σˆ1, . . . ,σˆk}である。特別な場合として、この後のSdKの表示に現れる単体ˆσ1· · ·ˆσkは実際 ˆσ1, . . . ,σˆkを頂点とする(k1)単体になっている。

主張の証明. まず、vC D の場合を考える。このときは命題 2.24(4)とvC, vD の定義 によりvD = vC である。Kˇr1(D) Kˇr1(C) により、vDKˇr1(D) vDKˇr1(C) = vCKˇr1(C)であるから、注意2.41によりKr1(D, C) =vDKˇr1(D) である。一方、帰 納法の仮定(iii)によりKr1(D) = vDKˇr1(D)であるので、Kr1(D, C) = Kr1(D) である。

vC ∈/ Dの場合、D K(C)ˇ であるので、Kr1(D, C)K(C)ˇ ▷Kˇr1(C)K(D) に誘導する細分に等しいが、それはKr1(D)である。

主張と補題2.42により、

Kr =Kr1∪ {vCKˇr1(C)|C K r胞体}

Kr の単体細分を与え、(i)-(iii)を満たす。十分大きいrに対して、K =Kr とおけば K は求める単体細分を与える。

2.49. 胞体複体K1, K2 に対して|K1| = |K2|ならば、K1, K2 の共通の単体細分 K が存在する。

証明. KK1K2 の共通部分(例2.35(2)参照)とし、Kを定理2.48 により存在す るK の単体細分とすればよい。

補題 2.50. 任意の単体σ Rn に対して、単体複体K であって、|K|=Rnかつσ ∈K となるものが存在する。

証明. K0を、[m1, m1+ 1]×[m2, m2+ 1]× · · · ×[mn, mn+ 1] (mi Z)の形の立方体と その面の全体からなる胞体複体とし、K0 を定理2.48により得られるK0の単体細分とす る。K0 をRnの適切な自己アフィン同型で写したものをK とすれば、σ ∈K, |K|=Rn とできる。

定理 2.51. P をコンパクト多面体、Q1, . . . , Qr ⊂P を有限個のコンパクト部分多面体と する。このとき、P の三角形分割K とその部分複体Liであって、|Li|=Qi(i= 1, . . . , r) となるものが存在する。

証明. 命題2.5により、P は単体の有限和として P = ∪s

j=1σj と表される。このとき、

i ∈ {1, . . . , r}に対してQij|j = 1, . . . , s}に属するいくつかの単体の和集合に 表されるとしてよい。補題2.50により、各j に対して、σj Kj, |Kj| = Rn となるよ うな単体複体Kj が存在する。Kを、系2.49 により存在するK1, . . . , Ksの共通の単体 細分とする。K = K P}, Li = K Qi}(i = 1, . . . , r) とおけば、

|K|=P であり、LiK の部分複体で|Li|=Qiである。

定理 2.52. 任意の多面体は三角形分割をもつ。

証明. P を多面体とすると、補題2.6により、P =∪

i=1Pi となるコンパクト多面体の局 所有限な族(Pi)i=1であって、|i−j|>1のときPi∩Pj =であるものが存在する。

Qi =Pi∩Pi+1(i≧1),Q0 =とおく。定理2.51により、各i≧1に対して、|Ki|=Pi

となる単体複体Ki と部分複体L+i1, Li Ki で、|L+i1| =Qi1, |Li | =Qi となるも のが存在する。系2.49により、各i≧1に対してL+i , Li に共通の単体細分Li を取るこ とができる。また、L0 = {∅} とする。命題2.43により、Ki の単体細分Ki であって、

Li1∪Li を部分複体にもつようなものが存在する。さて、

K1 =

k=1

K2k 1, K2 =

k=1

K2k , L=

i=1

Li

とおけば、K1, K2 は単体複体であり(局所有限性の条件に注意)、LK1, K2 の共通 の部分複体で、|K1| ∩ |K2| = |L|, |K1| ∪ |K2|= P である。よって、命題2.37により、

K =K1∪K2は単体複体であって|K|=P となる。

定理2.52の証明とまったく同様の議論により、より強い次の定理を示すことができる。

定理 2.53. 多面体P RnおよびP の部分多面体の族(Qλ)λΛ が、次の条件を満たす とする。

λ∈Λに対して、QλP の閉集合である。

(Qλ)λΛP において局所有限である。すなわち、任意のx ∈P に対して、xP における開近傍UU ∩Qλ ̸=となるλ Λが有限個に限るようなものが存 在する。

このとき、P の三角形分割K とその部分複体の族(Lλ)λΛQλ =|Lλ|Λ)となる ものが存在する。

ドキュメント内 PL トポロジー PDF(12ポイント版) (ページ 31-34)

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