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岩田  誠

ドキュメント内 プレナリー (ページ 183-200)

メディカルクリニック柿の木坂 神経内科

1967年東京大学卒。仏、米に留学。1994年東京女子医科大学神経内科主任教授、2004年同医学部長。2008年同定年退職し、名誉教授。

2009年よりメディカルクリニック柿の木坂院長。中山賞、仏日医学会賞、毎日出版文化賞、時実利彦記念賞特別賞を受賞。日本神経学会、日本 自律神経学会、日本神経心理学会、日本高次脳機能障害学会、日本認知症学会、日本頭痛学会各名誉会員。日本内科学会功労会員。日仏医学会 名誉会長。音楽医療研究会名誉会長。米国神経学会外国人フェロー。仏国立医学アカデミー外国人連絡会員。

【略歴】

神経学的診察は、二つの段階の作業から成り立っています。一つは、問診、すなわち患者さんの自覚的な症状を 正確に聞き出す作業です。患者さんは、自分の症状を表現することになれていませんし、曖昧な医学用語的表現 を使うことが多いので、それをそのまま記録してはいけません。「めまい」「しびれ」などといったあいまいな表現 ではなく、もっと正確な表現を引き出すことが大切です。もう一つの段階が、狭い意味での神経学的診察、すな わち客観的な所見を引き出す作業です。これには、しばしば診察器具を用います。針、打鍵器、眼底鏡、音叉など、

自分の使用する器具は常に同じものを使用するようにして下さい。これらの器具を使って得られた所見は、(+) (-)

で記載することを避け、出来る限り観察された現象を、そのまま言葉で書くようにした方が良いと思います。さて、

このような診察を行う目的には、二つの異なった視点があります。その一つは、もちろん患者さんの中に潜んで いる病気や病態を診断することですが、もう一つ常に忘れてはならないことは、この患者さんでは何故そのよう な所見が現れているのかを考えることです。言い換えるなら、神経学的診察という作業には、診断という側面と、

病態生理学の探究という二つの側面があるこのです。特に後者の側面は、神経系の複雑な機能を解明していくた めの重要な研究方法となるのですから、この事を意識しながら日々の神経学的診察を行っていただきたいと思い ます。

23 教 育 プ ロ グ ラ ム 日

レクチャーマラソン 03

5月24日(木)8:00 ~ 8:45 第10会場 (ロイトン札幌2F ハイネス・ホール)

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オーガナイザー/司会:若林 孝一 

弘前大学大学院医学研究科脳神経病理学講座

LM-03-1

非腫瘍性疾患の脳生検 ―米国での実際、神経病理医としてのアプローチ 武井 英博

旭川医科大学病院 病理部

1990年: 防衛医科大学校卒業

1990-92年: 同病院にて初任実務研修

1992-94年: 自衛隊仙台病院にて耳鼻咽喉科医官

1994-96年: 国立仙台病院(現仙台医療センター)にて病理研修医

1996-2000年: ルイジアナ州立大学(LSU)にてAnatomic&ClinicalPathology(AP/CP)Resident 2000年: 日本病理学会認定病理医、AmericanBoardofPathology(AP/CP)取得

2001年: 日本臨床検査学会専門医取得

2000-02年: 自衛隊札幌病院にて病理医官

2002-03年: LSUにてCytopathologyFellow

2004年: 日本臨床細胞学会専門医、AmericanBoardofCytopathology取得

2004-06年: ベイラー医科大学(BCM)&MDAndersonCancerCenterにてNeuropathologyFellow 2007年: AmericanBoardofNeuropathology取得

2010-11年: HoustonMethodistHospital(HMH)にて、MolecularGeneticPathologyFellow 2011年: AmericanBoardofMolecularGeneticPathology取得

2006-10年、2011-14年: HMH,WeillCornellMedicalCollegeにて病理医

2014年-: 旭川医大病院病理部長

【略歴】

脳生検は、治療方針の決定に組織診断が必須である頭蓋内病変が適応で、特に、他のより侵襲の少ない方法でも診断 がつかない、或いは、それが適当ではない場合に、年齢問わず適応となる。生検の絶対的禁忌はほとんどないが、病 変が小さすぎてターゲットにならないものは不適である。生検方法は、開頭脳生検、CT, MRIガイドの定位脳生検が 代表的なものであるが、一般的にそのmorbidity, mortalityは低いものの、メリット>リスクを考慮するのは当然である。

脳生検の対象となる疾患は、脳腫瘍、或いは、その疑いが圧倒的多数を占めるが、非腫瘍性疾患、或いは、腫瘍性か 非腫瘍性か鑑別困難な病変に対しても稀ではなく行われる。ここでは主に後者を取り上げる。

米国では、脳生検は、対象となる病変が、腫瘤形成性か非腫瘤形成性かにより、その対処の方法が大きく異なり、後 者に関しては、Creutzfeldt-Jakob disease (CJD)プロトコールに則った方法がとられる施設が多い。また、前者に は、adequacy check, 病変のトリアージとして術中迅速診断がリクエストされることが多い。ここでのadequate vs.

inadequateの判定は臨床所見、放射線所見が術中の組織像で説明可能であるか否かによる。

1)腫瘤形成性病変: i) Tumefactive demyelinating lesion vs. Glioblastomaの鑑別が最も多い病変で、術中迅速診断 にてadequacy checkが行われ、米国ではこの誤診例が神経病理診断領域の訴訟の中で最も多い。ii) 感染症 vs. 脳腫 瘍 は、術中迅速診断でのトリアージ(培養など)が有用である。診断学的に、迅速診断時の捺印細胞診の併用が正確 な診断、感染予防のためにも大変有用である。

2)非腫瘤形成性病変: i) 血管炎疑い、ii) 非典型的なdementia、iii) 原因不明の慢性髄膜炎、iv) 原因不明のsevere neurological diseasesなどがあげられる(代表的な症例を当日供覧する)。いずれも治療可能な病変か否かの診断が重 要となり、採られた検体の術中のadequacy checkは行われないことが多いためサンプリングが問題となる。検体は、

可能であれば、開頭脳生検で髄膜から灰白質、白質まで含んだ1cm³に近いサイズが推奨される。日本では通常行わ れない適応として、CDJ疑い、確定診断に脳生検が米国では用いられることが多い。

正確な診断、治療のために、神経内科医―神経放射線科医―脳外科医―神経病理医の密なコミュニケーションが重要 なことは言うまでもない。

24 日 教 育 プ ロ グ ラ ム レクチャーマラソン 02

5月23日(水)14:15 ~ 15:10 第15会場 (札幌市教育文化会館1F 大ホール)

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オーガナイザー/司会:目崎 高広 

榊原白鳳病院神経内科

LM-02-1

神経学的診察とは何か?

岩田  誠

メディカルクリニック柿の木坂 神経内科

1967年東京大学卒。仏、米に留学。1994年東京女子医科大学神経内科主任教授、2004年同医学部長。2008年同定年退職し、名誉教授。

2009年よりメディカルクリニック柿の木坂院長。中山賞、仏日医学会賞、毎日出版文化賞、時実利彦記念賞特別賞を受賞。日本神経学会、日本 自律神経学会、日本神経心理学会、日本高次脳機能障害学会、日本認知症学会、日本頭痛学会各名誉会員。日本内科学会功労会員。日仏医学会 名誉会長。音楽医療研究会名誉会長。米国神経学会外国人フェロー。仏国立医学アカデミー外国人連絡会員。

【略歴】

神経学的診察は、二つの段階の作業から成り立っています。一つは、問診、すなわち患者さんの自覚的な症状を 正確に聞き出す作業です。患者さんは、自分の症状を表現することになれていませんし、曖昧な医学用語的表現 を使うことが多いので、それをそのまま記録してはいけません。「めまい」「しびれ」などといったあいまいな表現 ではなく、もっと正確な表現を引き出すことが大切です。もう一つの段階が、狭い意味での神経学的診察、すな わち客観的な所見を引き出す作業です。これには、しばしば診察器具を用います。針、打鍵器、眼底鏡、音叉など、

自分の使用する器具は常に同じものを使用するようにして下さい。これらの器具を使って得られた所見は、(+) (-)

で記載することを避け、出来る限り観察された現象を、そのまま言葉で書くようにした方が良いと思います。さて、

このような診察を行う目的には、二つの異なった視点があります。その一つは、もちろん患者さんの中に潜んで いる病気や病態を診断することですが、もう一つ常に忘れてはならないことは、この患者さんでは何故そのよう な所見が現れているのかを考えることです。言い換えるなら、神経学的診察という作業には、診断という側面と、

病態生理学の探究という二つの側面があるこのです。特に後者の側面は、神経系の複雑な機能を解明していくた めの重要な研究方法となるのですから、この事を意識しながら日々の神経学的診察を行っていただきたいと思い ます。

23 教 育 プ ロ グ ラ ム 日

レクチャーマラソン 04

5月24日(木)8:45 ~ 9:30 第10会場 (ロイトン札幌2F ハイネス・ホール)

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オーガナイザー/司会:長谷川隆文 

東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学分野

LM-04-1

神経変性疾患と分子バイオマーカ 徳田 隆彦

京都府立医科大学 分子脳病態解析学

1978年 京都教育大学教育学部附属高校卒業

1984年 信州大学医学部卒業,信州大学医学部附属病院・研修医(第三内科:柳澤信夫教授)

1992年 信州大学医学部附属病院・助手(第三内科)

1993年 東京都精神医学総合研究所・客員研究員(~1995)

1997年 NY大学病理学講座(B.Frangione教授)postdoctoralfellow(~1999)

2002年 信州大学加齢適応研究センター・助教授 2005年 京都府立医科大学神経内科学・講師

2011年 京都府立医科大学分子脳病態解析学(神経内科学併任)・准教授 2014年 京都府立医科大学分子脳病態解析学(神経内科兼務)・教授 所属学会

日本神経学会(認定専門医・代議員)、日本認知症学会(認定専門医・評議員・指導医)、日本内科学会(認定内科医・認定内科専門医)、日本正常圧 水頭症学会(理事)、日本神経治療学会、MDS(MovementDisorderSocietyJapan)

趣味・特技

空手(日本空手協会公認初段)、スキー(京都府立医科大学病院スキー・スノーボード部代表)

【略歴】

神経変性疾患の診断は、現在は主に個々の疾患に特徴的な臨床症状の組合せおよび画像診断により行われている が、発症早期の診断・鑑別診断はしばしば困難である。また、パーキンソン病(PD)やアルツハイマー病(AD)な どの神経変性疾患では、臨床症状出現以前にすでに特異的な脳病理が出現しており、かつ特定の領域の神経細胞 脱落が進行してしまっていることが明らかになっている。このような、症状発現以前で病理変化のみが存在する preclinical期は、治療的介入を開始するには最適な病期なのであるが、preclinical期での診断を行うためには、

疾患の最早期の病理変化を反映する分子(生化学的)バイオマーカーの開発が不可欠である。また、神経変性疾患 に対する根本治療を正確に評価するためには、症状改善効果とは独立した病態自体の重症度を反映するようなサ ロゲートバイオマーカーの開発が求められており、アルツハイマー病に対するADNI研究、パーキンソン病に対 するPPMI研究などの国際的な多施設共同研究も進行中である。また、疾患バイオマーカーに対する新しい視点 として、A.E. Langらは、2017年に発表した"Perspective"の中で、次のような見解を述べている。彼らは、PDに 対するdisease modificationを目的としたこれまでの臨床試験がほとんど成果を上げていない原因の一部が、これ までの治療薬開発がsingle-target approachに従っていることにあるとして、個々のPD患者は臨床的・病理学的・

遺伝的および分子的特徴に基づいて定義される異なったサブタイプに分けられることを主張している。そして、

「個々のPD患者に対する"precision medicine"を実行するためには、PD研究の分野全体で理想的なバイオマーカー のセットを開発することが必要であり、開発・検証されたバイオマーカープロファイリングが個々の患者の疾患 サブタイプを特定し、それによって初めて、そのサブタイプに対する最適なdisease modifying therapiesを提供 することが可能になる」としている。このように、疾患の発症に関連する分子機構を反映するバイオマーカーセッ トが確立されれば、将来の神経変性疾患の治療はそれに基づいたものになるかもしれない。

今回のレクチャーでは、頻度の高い神経変性疾患であるADおよびPDに関連する生化学的BM開発の国際的な現 状と今後の展望をレビューして、聴講して頂いた先生方の現在と近未来の臨床に役立つ情報を提供したい。

24 教 育 プ ロ グ ラ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 183-200)