東京大学大学院医学系研究科 分子神経学講座
【略歴】
2001年 東京大学医学部医学科 卒業 2001年 東京大学医学部附属病院 内科研修 2002年 三井記念病院 内科研修 2003年 東京大学医学部附属病院 神経内科 2004年 東京都健康長寿医療センター 神経内科 2004年 横浜労災病院 神経内科
2005年 東京大学医学部附属病院 神経内科
2006年 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 入学 2010年 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 卒業 学位論文 パーキンソン病の分子遺伝学解析(指導教官 辻 省次教授)
2010年 東京大学医学部附属病院 神経内科 特任助教 2014年 東京大学医学部附属病院 神経内科 助教
2015年 東京大学医学部附属病院 ゲノム医学センター 副センター長
(兼任)2017年 東京大学大学院医学系研究科 分子神経学講座 特任准教授 これまで家族性神経疾患の多くは,家系に対する連鎖解析に よるポジショナルクローニングで原因遺伝子が解明されてき た.近年では,DNA配列解析技術の大幅な進歩により,新 生突然変異の同定,血縁のない多数例から共通の遺伝子の変 異を抽出するなどの戦略で,さらに多くの家族性神経疾患の 原因遺伝子が解明されている.一方,孤発性神経疾患は,頻 度の高い多型をゲノムワイドにタイピングして,数千,数万 規模のサンプルサイズで患者群と対照群で頻度が統計学的に 有意に異なる多型を検出する強力な手法(ゲノムワイド関連 解析)が確立し,アルツハイマー病,パーキンソン病など,
比較的頻度の高い疾患の病態機序の新たな発見をもたらして きた.
ここで興味深いのは,ポジショナルクローニングによって発 見された家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるアルファ シヌクレイン(SNCA)遺伝子,LRRK2遺伝子は,ゲノムワ イド関連解析においても孤発性パーキンソン病患者と関連す る遺伝子座として報告されていることである.つまり,病態 機序と本質的に関連する遺伝子においては,影響度が強い変 異は家族性発症として現れ,影響度が弱い変異は孤発性発症 のリスクになるということが予想される.さらに,その中間 的な影響度としてゴーシェ病の原因遺伝子であるGBA遺伝 子の変異が知られており,孤発性パーキンソン病患者と非常 に強い関連を示すとともに,家族内集積を示す家系でも見つ かっている.
対象とする孤発性神経疾患の頻度や発症様式(患者数が十分 に多くゲノムワイド関連解析が達成可能か,家系例が見つ かっているか,家族内集積性はあるか,など)から,取り得 るアプローチは様々かもしれないが,病態機序と本質的に関 連する遺伝子であれば,様々な観点からの遺伝学的な関連を 見いだせるかもしれない.また,病態機序に基づく病態修飾 治療につながるかもしれない.ここでは,多系統萎縮症を例 にして,最近の知見を紹介する.
25 日 シ ン ポ ジ ウ ム
神経疾患の克服を目指して 05
5月26日(土)8:00 ~ 10:00 第8会場 (ロイトン札幌2F エンプレス・ホール)
En
Chairs:Shin-ichiMuramatsu
DivisionofNeurology,JichiMedical University,Japan
HitoshiOkazawa
MedicalResearchInstitute,TokyoMedical andDentalUniversity,Japan
≪Objective≫
To introduce recent advances on gene & cell therapy for neurological diseases. The audience will understand the background and applications of key technologies such as adeno-associated viral vectors and iPS cells. These innovations bring teasible therapies for many intractable diseases.
OC-05-1 miRNA-mediated
therapeutic approaches for neurodegenerative diseases
○ YuMiyazaki
Department of RNA Biology and Neuroscience, Graduate School of Medicine, Osaka University, Japan
【Curriculum Vitae】
2004 M.D.,SchoolofMedicine,NagoyaUniversity,Japan 2004-2008 Residency,Nagoya1stRedCrossHospital,Nagoya,
Japan
2008-2009 Physician,DepartmentofNeurology,Nakatsugawa CityHospital,Nakatsugawa,Japan
2009-2012 Ph.D.program,GraduateSchoolofMedicine, NagoyaUniversity,Japan
2012Sept. Ph.D.,GraduateSchoolofMedicine,Nagoya University,Japan
2012-2014 Visitingresearcher,DepartmentofNeurology, GraduateSchoolofMedicine,NagoyaUniversity, Japan
2014-2016 Postdoctoralscholar,DepartmentofNeurology,The UniversityofChicago,USA
2017-present Assistantprofessor,DepartmentofRNABiologyand Neuroscience,GraduateSchoolofMedicine,Osaka University,Japan
MicroRNAs (miRNAs) are a diverse class of highly conserved small RNA molecules that function as crucial regulators of gene expression in animals and plants. Recent functional studies have shown the potent activity of specific miRNAs as disease modifiers both in vitro and in vivo. Thus, potential therapeutic approaches that target the miRNA processing pathway have recently attracted attention. We have developed novel therapeutic approaches using the adeno-associated virus (AAV) vector-mediated delivery of disease-specific miRNAs for spinal and bulbar muscular atrophy
(SBMA) and spinocerebellar ataxia type 6 (SCA6) in mice.
SBMA is an inherited neurodegenerative disorder caused by the expansion of the polyglutamine (polyQ) tract of the androgen receptor (AR). We found that miR-196a enhanced the decay of the AR mRNA by silencing CUGBP, Elav-like family member 2 (CELF2). CELF2 directly acted on AR mRNA and enhanced the stability of AR mRNA. We also found that the early intervention of miR-196a delivered by an AAV vector ameliorated the SBMA phenotypes in a mouse model.
SCA6 is a dominantly inherited neurodegenerative disease caused by a polyQ repeat expansion within a second CACNA1A gene product, α1ACT. α1ACT expression is under the control of an internal ribosomal entry site (IRES) present within the CACNA1A coding region. We identified miR-3191-5p as an miRNA that targeted CACNA1A IRES and preferentially inhibited the CACNA1A IRES-driven translation of α1ACT in an Argonaute 4-dependent manner. Furthermore, AAV vector-mediated delivery of miR-3191-5p protected mice from the ataxia, motor deficits, and Purkinje cell degeneration caused by CACNA1A IRES-driven α1ACTSCA6.
Our results establish the proof of principle that a disease-specific miRNA delivery could be useful in neurodegenerative diseases.
26 シ ン ポ ジ ウ ム 日 神経疾患の克服を目指して 04
5月25日(金)13:45 ~ 15:45 第3会場 (さっぽろ芸術文化の館3F 蓬莱の間)
Jp
OC-04-4 神経疾患発病素因として
のゲノム構造多型
○浜 結香、佐々木秀直
北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野 神経内科学
【略歴】
昭和61年 北海道大学医療技術短期大学部衛生技術学科卒業 平成10年ま で国立札幌病院(現 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター) 臨床 検査科勤務 平成21年まで富山大学大学院医学薬学研究部ウイルス学講座、
および 臨床分子病態検査学講座勤務 平成22年から北海道大学大学院医学 研究院神経病態学分野神経内科学勤務 平成24年から同教室 学術研究員 ゲノムの世界は、解析技術の進歩により、近年ダイナミック な変化を遂げている。次世代シーケンサーという技術の進歩 によりDNA塩基配列が詳細に解析され、疾患の発症原因と なる遺伝子変異の解明が進んできた。
神経内科領域の疾患においても、大規模コホートや生体試料 を用いた研究により、ゲノム遺伝子内エクソン塩基配列の変 異が多数報告され、それらはモデル動物、細胞を用いた実験 で検証されて、疾患への関与や発症リスクを高めることが確 認されている。しかし、遺伝子エクソンの塩基配列が直接支 配する表現型だけでは、疾患発症や病態の充分な説明ができ ないことも明らかになってきた。
我々は、多系統萎縮症(MSA)について、DNAの塩基配列変 化ではなく、コピー数多型(CNV)によるゲノムの構造変化 に着目して解析を行ってきた。そこから得られた結果は、「ゲ ノムの複雑さ」つまり、ゲノムから派生する直接的ではない 事象の多様さについて深く考えさせられるものであった。ゲ ノムCNVと疾患の関係についてのゴールはいまだ不明であ るが、我々の研究の実験について、そこから得られた事実、
今後の課題等について報告する。
OC-04-5 ゲノムから孤発性神経疾
患が解明できるか?
○三井 純
東京大学大学院医学系研究科 分子神経学講座
【略歴】
2001年 東京大学医学部医学科 卒業 2001年 東京大学医学部附属病院 内科研修 2002年 三井記念病院 内科研修 2003年 東京大学医学部附属病院 神経内科 2004年 東京都健康長寿医療センター 神経内科 2004年 横浜労災病院 神経内科
2005年 東京大学医学部附属病院 神経内科
2006年 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 入学 2010年 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻 卒業 学位論文 パーキンソン病の分子遺伝学解析(指導教官 辻 省次教授)
2010年 東京大学医学部附属病院 神経内科 特任助教 2014年 東京大学医学部附属病院 神経内科 助教
2015年 東京大学医学部附属病院 ゲノム医学センター 副センター長
(兼任)2017年 東京大学大学院医学系研究科 分子神経学講座 特任准教授 これまで家族性神経疾患の多くは,家系に対する連鎖解析に よるポジショナルクローニングで原因遺伝子が解明されてき た.近年では,DNA配列解析技術の大幅な進歩により,新 生突然変異の同定,血縁のない多数例から共通の遺伝子の変 異を抽出するなどの戦略で,さらに多くの家族性神経疾患の 原因遺伝子が解明されている.一方,孤発性神経疾患は,頻 度の高い多型をゲノムワイドにタイピングして,数千,数万 規模のサンプルサイズで患者群と対照群で頻度が統計学的に 有意に異なる多型を検出する強力な手法(ゲノムワイド関連 解析)が確立し,アルツハイマー病,パーキンソン病など,
比較的頻度の高い疾患の病態機序の新たな発見をもたらして きた.
ここで興味深いのは,ポジショナルクローニングによって発 見された家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるアルファ シヌクレイン(SNCA)遺伝子,LRRK2遺伝子は,ゲノムワ イド関連解析においても孤発性パーキンソン病患者と関連す る遺伝子座として報告されていることである.つまり,病態 機序と本質的に関連する遺伝子においては,影響度が強い変 異は家族性発症として現れ,影響度が弱い変異は孤発性発症 のリスクになるということが予想される.さらに,その中間 的な影響度としてゴーシェ病の原因遺伝子であるGBA遺伝 子の変異が知られており,孤発性パーキンソン病患者と非常 に強い関連を示すとともに,家族内集積を示す家系でも見つ かっている.
対象とする孤発性神経疾患の頻度や発症様式(患者数が十分 に多くゲノムワイド関連解析が達成可能か,家系例が見つ かっているか,家族内集積性はあるか,など)から,取り得 るアプローチは様々かもしれないが,病態機序と本質的に関 連する遺伝子であれば,様々な観点からの遺伝学的な関連を 見いだせるかもしれない.また,病態機序に基づく病態修飾 治療につながるかもしれない.ここでは,多系統萎縮症を例 にして,最近の知見を紹介する.