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○松村  剛

ドキュメント内 プレナリー (ページ 139-146)

刀根山病院 神経内科

【略歴】

1989年 大阪大学医学部卒業

1989年 大阪大学医学部附属病院第二内科 1990年 市立池田病院内科

1991年 国立療養所刀根山病院

1998年 国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部

2000年 (国立療養所→独立行政法人国立病院機構)刀根山病院神経内科  現在に至る

資格・学会活動 日本神経学会代議員 日本筋学会理事

日本リハビリテーション医学会指導医

日本臨床神経生理学会筋電図・神経伝導分野認定医 臨床遺伝専門医

日本内科学会認定医

Duchenne型をはじめとする筋ジストロフィーは進行性の筋力 低下をもたらす疾患で、病状の進行にともない、運動機能低 下に加え呼吸不全や心筋障害などを合併することが多い。呼 吸ケアや心筋保護治療など集学的医療の進歩により、生命予 後の著しい改善がもたらされ、多くの患者が成人後も在宅で 生活している。一方で、学業修了後にこれらの患者が活躍で きる場は限られており、人工呼吸管理や吸引等の医療的ケア を要する患者が多いこともあり、成人患者の社会参加にはい まだ課題が残されている。社会参加を阻害する要因としては、

移動能力低下や医療的ケアの必要性などの身体面・医療面の 問題が大きいが、仲間について行けなくなる・これまででき ていたことができなくなるといった喪失体験の積み重ねが自 己効力感を低下させ、努力しても無駄とあきらめてしまう心 理的バリアの側面も小さくない。このような自己効力感の低 下は、患者のQOLの上でも深刻な問題である。

障害者スポーツは、既存のスポーツを障害に合わせて修正し たり独自に考案されたりと多様なものがあるが、チームや試 合への参加を通じて交友関係が拡大できること、浮力や器具 を用いることで普段困難な動作ができること、技術向上や勝 利を目指して努力・協力し成績を得る経験ができることは単 なる娯楽を超えた貴重な達成経験であり、自己効力感や自尊 心を向上させる効果がある。また、障害者スポーツはその運 営やルール作りに障害者自身が参加することも多く、疾患・

障害理解や社会的能力獲得においても貴重な体験となる。

筋ジストロフィー患者の障害者スポーツには、学校や施設で の取り組みから、電動車いすサッカーのように国際連盟が組 織されワールドカップが開催される競技まである。本シンポ ジウムでは学校教育の中での障害者スポーツの取り組み、ハ ロウィック水泳、電動車いすサッカーについて紹介し、筋ジ ストロフィー患者における障害者スポーツの意義を示したい。

一方で、筋ジストロフィーは心肺機能が障害される疾患であ り、安全に障害者スポーツに取り組むには医療者側からのサ ポートが欠かせない。このためには、医療者側も障害者スポー ツを知り、競技や移動(特に航空機)が身体に及ぼす影響を理 解し、適切にアドバイスしていくことが必要である。

25 シ ン ポ ジ ウ ム 日 シンポジウム 22

5月25日(金)8:00 ~ 9:30 第7会場 (ロイトン札幌1F キャッスル)

Jp

S-22-2 スポーツにおける職業性

ジストニア(イップス)

○服部 憲明

1,2

1 大阪大学国際医工情報センター 臨床神経医

工学寄附研究部門、2 大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学

【略歴】

平成 5年 3月 大阪大学医学部医学科 卒業

平成14年 3月 大阪大学大学院医学系研究科神経内科学博士 課程 卒業

平成15年 3月~ 19年 2月 米国 National Institutes of Health, National Institute of Neurological Disorders and Stroke, Human Motor Control Section

平成19年 3月~ 29年 3月 大道会 森之宮病院 神経リハビリテーショ 平成20年10月~ 23年 3月 ン研究部 科学技術振興機構 さきがけ 「脳情報の解

読と制御」領域 研究員 

平成29年 4月~ 大阪大学国際医工情報センター 臨床神経医 工学寄附研究部門 寄附研究部門准教授、大 阪大学大学院医学系研究科 神経内科学 イップス(yips)は、自動化された精密な運動がうまくできな くなる、スポーツで生じる運動障害のひとつである。試合な ど、ストレスのかかる状況で出現しやすい。ゴルファーを対 象とした研究が多く、プロや上級のアマチュアプレーヤーで は、1/4~1/2が経験しているという海外の報告もある。ゴル フ以外にも、ダーツやビリヤード、アーチェリーなど様々な スポーツで報告されている。

イップスの原因はまだほとんど解明されていないが、不安な どの精神的な要因を主因と考える立場もあれば、書痙や音楽 家のジストニアと同様の局所性ジストニアの一種ととらえる 立場もある。おそらく、実際には、両者の要素を併せ持つ例 が多いと考えられる。

我々は、本邦におけるゴルファーのイップスに関する疫学調 査を行った。1576名のプロもしくはトップアマチュアにアン ケートを配布し、1449名から回答を得た。イップス経験者は 38.6%で、症状は、こわばって動かない、ガクッと動く、ふ るえる、の順に多かった。また、ショットに関しては、パット、

アプローチ、ティーショットの順に多かった。イップス経験 者は非経験者と比較し、年齢が高く、ゴルフ歴が長く、筋骨 格症状を有する割合が多かった。長期に及ぶゴルフ歴や筋骨 格症状がイップス発症に独立した関連因子であり、筋骨格症 状の程度が強いほどイップス経験者が多かった。イップス経 験者ではトレーニング方法や打法の変更がイップス改善と相 関していた。以上の結果から、イップス発症には長期に及ぶ ゴルフ歴や筋骨格系の異常が関係しており、動作特異性ジス トニアの一種である可能性が示唆された。今後は、背景因子 のみならず、イップス出現時の動作、筋電解析などで運動異 常の特性を明らかにすることにより、個々の発症機序にあわ せた治療法を確立していく必要がある。

S-22-3 多発性硬化症におけるス

ポーツ・運動介入

○越智 博文

愛媛大学大学院 老年・神経・総合診療内科学

【略歴】

1993年 九州大学医学部医学科卒業

2000年 九州大学大学院医学系研究科内科系専攻終了(医学博士)

2000年 九州大学医学部附属病院神経内科 助手 2000年 長寿科学振興財団 リサーチ・レジデント 2002年 九州大学病院神経内科 講師

2003年 Harvard Medical School, Brigham & Women's Hospital, Center for neurologic Diseases, Research Fellow 2005年 飯塚病院神経内科 医長

2006年 九州大学病院神経内科 助教 2008年 九州大学病院神経内科 講師

2009年 福岡リハビリテーション病院神経内科 部長 2011年 愛媛大学大学院医学系研究科加齢制御内科学 講師

2013年 愛媛大学大学院医学系研究科老年・神経・総合診療内科学 講師 多発性硬化症は(multiple sclerosis:MS)は中枢神経白質を 侵す慢性炎症性脱髄疾患である。脱髄に伴う中枢神経症候が 再発と寛解を繰り返す、いわゆる時間的・空間的多発性を特 徴とする。若年成人に好発し、一度罹患すると生涯にわたり 再発に苦しめられ、比較的強い障害が残る例が少なくない。

中枢神経髄鞘抗原に対するT細胞が介在する自己免疫疾患と 考えられているが、単一のMS特異的自己抗原は同定されて おらず、真の原因は不明である。

MS患者では、長時間の入浴や感染症、炎天下の外出など によって体温が上昇すると、一過性に神経症状の増悪が みられることがある。この現象は「Uhthoff現象(Uhthoff's phenomenon)」として知られ、運動による体温上昇によって も生じうることから、MS患者は運動を控えるように指導さ れることが多かった。また、MS患者が運動を行うことで、

外傷などの有害事象の発現や、神経症状の悪化、再発頻度の 増加などが懸念されてきた。しかし、MS患者では運動をし ていない群に比較して運動を行っている群では、再発率が約 30%減少したとの報告がある。また、運動を行うことで神経 症状の一過性の増悪が認められることがあるものの、その頻 度は約5%と低く、しびれや痛み、チクチク感といった感覚 障害が主体であることも報告されている。さらに、MS患者 が運動を行うことで生じる有害事象の発現頻度は、健常者が ウオーキングや有酸素運動、筋力トレーニングを行うときに 発現する有害事象の頻度と差がないこと、また、有害事象の 殆どが筋骨格系の外傷であることが報告されている。加え て、運動によって炎症性サイトカインの産生低下や脳由来神 経栄養因子の産生増加が観察されること、運動は健康のレベ ルアップにつながるだけでなく、MSに伴う歩行障害やバラ ンス障害、認知機能障害、疲労、うつなどの諸症状の改善、

ひいては生活の質の改善につながることなどが、次々と報告 されるようになっている。そのため、近年では、運動はMS の非薬理学的治療法の一つであると認識されるようになり、

MS患者でも運動を積極的に行うべきであると考えられるよ うになった。本講演ではまず、Uhthoff現象について概説し たのち、スポーツや運動介入によってMS患者にどのような 効果が期待できるのか解説したい。

25 日 シ ン ポ ジ ウ ム

ドキュメント内 プレナリー (ページ 139-146)