解決過程についての調査
第1節 調査の目的
小数を含む文章題において「文脈の違い」(液量、長さ、生産)、「数値の違い」(割合が1 以上、1未満)、「問題構造の違い」(比の三用法)が、文章題の難易度にどのような影響を 与え、正答率にどのような変化が生じるのかを調べる。その際、前章で紹介した坂本(1998)
の先行研究と同様に、文章題の解決過程を、以下の4つの下位過程に分けて、調査を行っ た。なお、「文脈の違い」の3っの文脈は、次のような理由で選択した。液量問題は、坂本
(1993)の結果と比較をするために、長さ問題は教科書でよく扱われる典型的な問題として、
生産問題は教科書で扱われないタイプの問題としてである。
① 変換過程
質問文理解… 問題文中で聞かれていることが理解できているか ② 統合過程
情報の統合… 問題文中の未知量と既知量の大小関係が理解できているか
③プラン化過程
立式… 解決に必要な演算を選択できているか ④ 実行過程
解答… ③で選択した演算を正しく実行できているか
この結果を、「文脈の違い」、「構造の違い」、「数値の違い」の3つの点から分析する。
第2節 調査問題
坂本(1998)では、文脈が液量の問題のみで調査を行っていた。本調査では問題文脈の 違いの影響をみるために、液量、長さ、生産の3種類の問題文脈を作成した。そのうち、
液量問題において、問題構造の違いの影響をみるために、第1用法、第2用法、第3用法 の3種類すべての問題を作成した。長さ問題、生産問題は、第1用法のみの問題を作成し た。その結果、【表15】に示すような5種類の問題ができあがった。
【表15:本調査で使用した調査問題の種類】
文脈 構造 問題文
第1用法
サイダーがBリットルあります。コーラはAリットルあります。コーラはサイダーの何 {の量がありますか。液量問題
第2用法
サイダーがBリットルあります。コーラはサイダーのP倍あります。灘一うは何リット 汲?閧ワすか。第3用法
コーラはAリットルあります。これはサイダーのP倍の量です。サイダーは何リットル?閧ワすか。
長さ問題
第1用法
青いリボンの長さはBmです。赤いリボンの長さはAmです。赤いリボンは青いリボンの ス倍の長さでしょうか。生産問題
第1用法
1時間にBmの針金を生産できる機械があります・この機械でAmの針金を生産するには ス時間かかりますか。(注:問題文中のBは基準量、Aは比較量、 Pは割合を示す)
さらに、上の5種類の問題に対して、割合Pの値が1以上の問題と1以下の問題の2種
類を作成した。数値を決定する際、プラン化過程での立式や実行過程での計算において難 易の差が出ないように、基準量・比較量・割合それぞれの数値を【表16】に示すように統一した。
【表16:本研究で使用した数値】
B(基準量) A(比較量) P(割合)
小数大
7.5
10.5
1.4
小数小 4.5 0.6
【表15】【表16】に示すように問題5種類×数値2種類の合計10種類の問題を作成した。
作成した調査問題の文脈を【表17】に示す。
ここで、たとえば、【表17】の左上の問題は、文脈が「液量」、構造が「第1用法」、割合 が「P>1」の問題になっている。この問題を以下では、「液量第一(P>1)」のように表す
ことにする。
【表17:本調査で使用した問題文】
第1用法 第2用法 第3用法
液量 竭閧
o>1
サイダーが7.5リットルありま キ。コーラは10.5リットルあり ワす。コーラはサイダーの何倍の ハがありますか。
サイダーが7.5リットルありま キ。コーラはサイダーの1.4倍
?閧ワす。コーラは何リットルあ 閧ワすか。
コーラは10.5 リットルありま
キ。これはサイダーの1.4倍の ハです。サイダーは何リットルあ
閧ワすか。
液量 竭閧
o<1
サイダーが7.5リットルありま キ。コーラは4.5リットルあり ワす。コーラはサイダーの何倍の ハがありますか。
サイダーが7.5リットルありま キ。コーラはサイダーの0.6倍
?閧ワす。コーラは何リットルあ 閧ワすか。
コーラは4.5 リットルありま キ。これはサイダーの0.6倍の ハです。サイダーは何リットルあ
閧ワすか。
長さ 竭閧
o>1
青いリボンの長さは7.5mです。
ヤいリボンの長さは10.5mで
キ。赤いリボンは青いリボンの何 {の長さでしょうか。長さ 竭閧
o<1
青いリボンの長さは7.5mです。
ヤいリボンの長さは4.5mです。
ヤいリボンは青いリボンの何倍 フ長さで麻うカ㌔
生産 竭閧
o>1
1時間に7.5mの針金を生産でき 驪@械があります。この機械で P0.5mの針金を生産するには何 條ヤかかりますか。
生産 竭閧
o<1
1時間に7.5mの針金を生産でき 驪@械があります。この機械で S.5mの針金を生産するには何時 ヤかかりますか。
次頁【図14】は、本調査で使用した調査問題の例である。以下に各問の説明を示す。
(1)の設問は、変換過程に対応しており、この問題で聞かれていることを問う「質問文
理解」の課題である。
(2)の設問は、統合過程に対応しており、未知量と既知量の大小関係を問う「情報の統 合」の課題である。この設問は坂本の調査問題形式と大きく異なる。坂本の調査問題では 液量の問題に対して抽象的な線分図で大小関係を質問していたが、本調査では、児童がイ メージしゃすいように具体的な液量を表す図を用いるようにした。なお、長さ問題と生産 問題でも、児童のイメージのしゃすさを考慮した図(テープ図)を用いている。
(3)の設問は、プラン化過程、実行過程に対応しており、実際に立式し、答えを求める
「立式」「解答」の課題である。この設問も坂本の調査問題形式とは異なる。坂本は、数値 選択と演算選択を調査の対象としていた。そのため実行過程は調査の対象には含まれてい なかった。しかし本調査では、実際に立式させ、演算させることで、プラン化過程だけで なく、実行過程のつまずきについても調べることにした。
次の問題を読ん冒(7)〜(3)の質問に答えτください。
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●問題:サイターカ岬.5醒侮トルあ 1春す。コー弓信7051施ト しあ 惨す。コー憎憎骨イ :
:ダーの何倍の量揮あ 階すか。 ●
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(1):聞かれτいる。と:1さ次のア〜工のうちこ:れ石すか。
ア〜:工に○をつ8寸て:くださ61。
ア、コー弓の量
イ.サイ4・一の量
ウ.コー弓iさサイダーの何倍か
工、サイ4一信コー弓の何倍か(2):サイ4一の量奄次のように表わすこコー弓の量信次のア〜ウのうちζれ石すか。
1ア〜」ウに○をつけτくだ亡い。
●●サイター●●
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●●●●●●●●●コー弓 ●●●●●●●
: ア イ ウ :
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「] ● ●
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(3):Oの問題をこくた肋の式をつくり、答えを出しτく敏=い。