54
第 3 章
Rat study : Continuous membrane potential
fluctuations in motor cortex and striatum
neurons during voluntary forelimb movements
and pauses
55
シータ,ベータ,ガンマ帯域を含んだ局所フィールド電位(LFP)や皮質脳波
(ECoG)の同期が自発的な四肢の運動に依存して生じることも明らかにされて
いる9, 1, 29.基本的に,アクティブな運動は運動野におけるベータや他の遅い揺
らぎを減少させ,ガンマ帯域の揺らぎを大きくする.運動情報は実際に、ガン
マ帯域の活動からデコーディングをすることができる14 (>30 Hz).運動野の細 胞活動は,行動中に,位相にロックしたガンマやシータの揺らぎがあり,それ
らは運動野内の細胞間で同期している16.
では,それらの細胞はどのようにして異なる行動をしている状況に依存した
機能的な細胞活動を引き起こしているのであろうか.これまで,in vivo におけ
る細胞膜電位の解析は,機能的な情報を適切に運ぶために個々の細胞で細胞活
動が発生することによる細胞内メカニズムを解明することをゴールにして研究
されてきている.重要なこととして,行動中の皮質細胞の膜電位の揺らぎは,
細胞活動を発生させる閾値以下で生じ20, 3,そしてそれは行動の状況に依存して
ECoGの活動と同期や非同期をしていたことである.理論的なシミュレーション において,膜電位の安定的な変化(脱分極/過分極)に伴った膜電位の揺らぎの
ゲイン変化は,シナプス入力に対する細胞の反応性を最適化する可能性がある
ことを示している 8, 2, 21. げっ歯類では,体性感覚の皮質細胞が自発的なヒゲの 運動をしている間に,ヒゲ運動をせずに静かにしているときと比べて,膜電位
56
を脱分極させ、その揺らぎを減弱させていることが知られている23, 30.同様に,
運動野の細胞活動も静かに座っているときと比べると,走ったり,歩いたりし
ているときに膜電位の揺らぎを減らしている25.また,いくつかの運動野細胞は
リッキング反応に先立ってその揺らぎと細胞活動を減少させていることも報告
されている31.つまり,皮質細胞は,ロコモーションやリッキング,ウィスキン
グのような反復運動の間は,安定的な脱分極または過分極を伴って膜電位の揺
らぎを減少させていることがわかる.線条体の細胞も,リッキング運動に伴っ
て膜電位を減少させていることも知られている26.それゆえ,個々の細胞におけ
る運動情報は膜電位の揺らぎのパワーによって直接コードされている可能性が
ある.しかしながら,行動実験や電気生理実験の技術的な制約により,運動野
と線条体における膜電位の揺らぎが,運動を行なっていないときと比較して,
前肢の分離運動を行なっている間に機能的な変化が見られるか否かは知られて
いない.
この可能性を確かめるために,ここでは,分離運動をしている間と静止して
いる間の運動野と線条体の細胞の膜電位の揺らぎを調べるために in vivo
whole-cell recording を行なった(図 3.1A; それぞれレバープル とレバーホール
ド; 詳細は [15], [24] 参照).
57