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第6章 自立 GaN 基板を用いた Halo 構造 GaN MISFET

6.3 実験結果

まずは、Mgイオン注入を行っていないもの、1 × 1013 /cm2、4 × 1013 /cm2、8 × 1013 /cm2 でイオン注入した試料のId-Vd特性を図6.3.1に示し、それぞれのId-Vg特性、gm-Vg特 性をまとめたものを図6.3.2、図6.3.3に示す。

(a) (b)

0 200 400 600 800 1000

0 2 4 6 8 10

Leff = 0.5um Wg = 100um Vg from -7 to 7V 1V/step

Drain Voltage (V)

0 200 400 600 800 1000

0 1 2 3 4 5 6 7

Drain Voltage (V) Leff = 0.5um

Wg = 100um Vg from -7 to 7V 1V/step

(c) (d) 図6.3.1 Id-Vd特性

(a) 0 /cm2 、(b) 1 × 1013 /cm2、(c) 4 × 1013 /cm2、(d) 8 × 1013 /cm2

図6.3.2 Id-Vg特性の各種ドーズ量比較

図6.3.3 gm-Vg特性の各種ドーズ量比較

図6.3.1を見て分かる通り、Mgイオンの注入量を増やすほど、最大ドレイン電流が

低下していることがわかる。また図6.3.2、図6.3.3から前述の通り、性能は低下して いるが、しきい値がプラス側にシフトしていることがわかる。これらの結果から、

Mg イオン注入によって、p 型層が形成されたことによって性能が劣化したが、しき い値がプラス側にシフトしたと考えられる。次に、最大ドレイン電流、最大相互コン ダクタンス、しきい値をまとめたものを表6.3.1に示す。

表6.3.1 各デバイスの諸値

に良くなっていることがわかる。これは結晶性の優れている自立 GaN 基板を用いた ことで、移動度が高く、デバイスの性能が向上したと考えられる。しきい値はp-GaN を用いているにも関わらず、すべてのデバイスにおいてマイナスを示していることが わかる。今回のデバイスでは、Mg イオンを活性化させる目的で 1230 oC と高い温度 で活性加熱処理を行ったが、それにより、窒素空孔も多く発生したと考えられる。温 度を低くすることで窒素空孔を抑えることが出来るが、温度を低くすることでMgイ オンが活性化せず、p型として機能しない可能性がある。よって、窒素空孔を抑える ことができ、かつ、Mg イオンを活性化することのできる適当な温度設定が必要であ る。また、スパッタリングによって得た、プラズマダメージなども原因として考えら れ、成膜方法の改善も必要である。

次に、しきい値のゲート長依存性を示す。

図6.3.3 しきい値のゲート長依存性

図 6.3.3 より、ゲート長が短いデバイスでは Mg のイオン注入量によって、しきい

値が高くなる傾向が見て取れるが、ゲート長が長いデバイスデバイスではMgのイオ ン注入量に関係なく約-4 V付近で収束していることがわかる。これより、Mgイオン 注入はゲート長の短いデバイスにおいて効果がよくわかり、ショートチャネル効果の 抑制などに効果的であるということがわかった。これは第 5章の図 5.3.7 で示したよ うに、ゲート長が短いほど影響が見られる結果と一致しており、斜めMgイオン注入

はゲート長が短いほど影響を与えることは明白である。これは逆ショートチャネル効 果(Reverse Short Channel Effect)[9]といわれる現象で図6.3.4にその概念図を示す。

図6.3.4 Rreverse Short Channel Effectの概念図

次に、隣り合うデバイス間でのリーク電流を測定したものを図 6.3.5 に示す。本実 験で用いた自立 GaN 基板はバッファー層を有しておらず、またリーク電流を防ぐた めCを高濃度でドープしてあることから、リーク電流が比較的低いことが予想される。

ここで比較として、第4章で測定した窒素イオン注入無しのものと、サファイア基板 上GaNに窒素イオン注入を行ったものを同じ図に用いる。

図6.3.5 デバイス間のリーク電流

図 6.3.5 を見ての通り、隣り合うデバイス間でのリーク電流は非常に低いことがわ

かる。これは第4章で述べた、バッファー層を介したリーク電流が存在しないことや、

C を高濃度でドープしたことで縦方向のリーク電流が防げたことが要因として挙げ られる。

本章ではMgイオン注入がしきい値のシフトに効果的であることが分かったが、未 だしきい値はマイナスを示している。原因として、窒素空孔の存在やスパッタリング による影響が挙げられる。

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