Table 8.2に自動制御のみの制御による実験で用いたゲインの値を示す.
Table 8.3に提案手法2による実験で用いたゲインの値を示す.
第8章 実験
Table 8.2: 自動制御のみの制御で用いたゲイン
キャンバ角の固有振動数 ωn 2.5 キャンバ角の減衰比 ζ 0.7 キャンバ角に関するゲイン Kϕ 91.4 キャンバ角速度に関するゲイン Kϕ˙ 51.2 バックステッピングのゲイン Kzθ˙ 20.0 外乱オブザーバのカットオフ周波数 Kg 50.0 CADOのカットオフ周波数 Kca 50.0
Table 8.3: 提案手法2で用いたゲイン キャンバ角の固有振動数 ωn 2.5
キャンバ角の減衰比 ζ 0.7 キャンバ角に関するゲイン Kϕ 91.4 キャンバ角速度に関するゲイン Kϕ˙ 51.2
バックステッピングのゲイン Kz˙
θ 20.0
外乱オブザーバのカットオフ周波数 Kg 50.0 RTOBのカットオフ周波数 grt 5.0
質量インピーダンスゲイン Jm 1.03 粘性インピーダンスゲイン Dm 2.06 弾性インピーダンスゲイン Km 2.06 CADOのカットオフ周波数 Kca 50.0 マスタハンドル角度に関するゲイン K1 900.0 マスタハンドル角速度に関するゲイン K2 60.0
Fig.8-2に自動制御のみの場合のキャンバ角応答の結果を示し,Fig.8-3に提案手法2のキャン
バ角応答の結果を示す.
第8章 実験
-1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55
angle [degree]
time [sec]
camber
Fig. 8-2: 自動制御のみの場合のキャンバ角応答
-1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
15 20 25 30 35 40 45 50 55 60
angle [degree]
time [sec]
camber
Fig. 8-3: 提案手法2におけるキャンバ角応答
第8章 実験
スレーブ3Dシミュレータに基づいたマスタ実機による検証実験において,安定性の評価指標 が最も優れていた自動制御のみによる制御と,操作性の評価指標が最も優れていた提案手法2に よる実験結果の比較を行った.
基本的にローラ上はすべりが起こりやすく,適切な軌道修正を行わなければ脱輪してしまう.そ
のため,Fig.8-2より,自動制御のみによる姿勢安定化では約13秒ローラの上で走行し,脱輪して
しまった.
一方,Fig.8-3より提案手法2においては,約45秒ローラ上で走行している.
これは提案手法において,人が適切な軌道修正を行ったことで走行軌道も安定したためだと考 えられる.つまり,脱輪しそうな際にマスタハンドルをきることで,ϕcmdの指令値を変化させ,
脱輪を回避しているのである.
Fig.8-2とFig.8-3のキャンバ角応答との振幅の大きさを比べると,顕著な差はない.それにも
関らず,提案手法2の方がローラ上を長く走行できたことにより,従来の自動制御のみによる姿 勢安定化に比べ,人の入力と自動制御を融合した提案手法の方が優れているといえる.
更に,測定開始時の速度を2.0m/sよりも低速にして実験も行った.すると,低速であるほど人 による操作で走行軌道を修正しやすいことがわかった.しかし,人の操作を繰り返しても,徐々 にローラに対して自転車が斜めの走行軌道になり脱輪した.そのため,ローラ上を半永久的に走 行させ続けることはできなかった.
実験を通して確認された提案手法2の欠点を述べる.それは,ローラ上のようにすべりやすく 走行可能な幅が決められている状況において車体が左右に揺れてバランスをとっている場合,人は 基本的にハンドルを動かさずϕcmdを0にして安定化させるしかないということである.前述のよ うに,脱輪を回避するためϕcmdの値を変動させると,ローラに対して斜めに走行してしまう.そ の変動が大きすぎると,脱輪しそうになった側と反対側に向かって進み脱輪してしまうのである.
しかし,Fig.8-2とFig.8-3の結果を比較して,従来の自動制御のみに比べ人の操作アシストに
よりローラ上走行時間が長くなっているのは事実である.
以上の実験結果から,人と自動制御の融合による多自由度ステア・バイ・ワイヤを用いた提案 手法が,自転車の操作性と安定性の向上に有効であることが示された.
第 9 章
結論
本論文では電動自転車の操作性と安定性の向上を目指し,新たなヒューマンインターフェイス である多自由度ステア・バイ・ワイヤシステムを自転車へ導入した.
そこで,ステア・バイ・ワイヤのハンドルに対する環境から受ける影響と,人からの入力を分 離できるという利点を活かし,2通りの制御手法を提案した.
提案手法1では,キャンバ角外乱オブザーバ(CADO)とリアプノフの安定定理を用いた非線 形制御による姿勢安定化に,マスタハンドルから推定する人の入力を干渉融合させた.
提案手法2では,提案手法1の安定化にバックステッピング法を加え,人の入力に応じてキャ ンバ指令角ϕcmdを可変にした.
提案手法の有効性について以下のように検証を行った.
シミュレーションにより,人の入力がない場合の外乱に対する提案手法のロバスト性を確認した.
また,マスタにより自転車速度が調整できることによる,安定性の向上を確認した.
スレーブ3Dシミュレータに基づいたマスタ実機による検証実験により,提案手法の目標軌道 追従精度の高さを評価指標を用いて定量的に示した.
そして実験にて,評価指標の最も優れていた提案手法2 のローラ走行安定性を確認した.
以下に,結果から得られた提案手法の特徴をまとめる.
第9章 結論
提案手法の特徴
提案手法1では,マスタの角度を自転車ハンドル角と一致させるため,自転車の走行状況が操 縦者にわかりやすいという利点がある.しかし,インピーダンスゲインの調整が必要で,人の入 力とシステムが干渉してしまうとハンドルが振動的に発散する恐れがある.
提案手法2では,目標軌道によってあらかじめマスタハンドルで操作できるϕcmdの値を設定す る必要がある.しかし,環境からの外乱の影響を受けずに入力できるため,操作時の負荷なく入 力を行うことができる.そのため,評価指標は提案手法1よりも優れていた.実際の自転車にお けるローラ走行実験では,基本的にハンドルを動かさずϕcmdを0にして安定化させる必要がある が,従来の自動制御のみに比べ長時間の安定走行が可能であった.
以上のような特徴を示す提案手法だが,どちらの手法も自転車の操作性と安定性の向上を達成 し,多自由度ステア・バイ・ワイヤによる人の入力と自動制御の融合の有効性を示す結果が導か れた.
今後の課題
本研究では,基礎研究のために自転車の機構は変えずに多自由度ステア・バイ・ワイヤを導入 した.それにより,シャフトを切断せず遠隔操作を行う実験環境になった.しかし実際に自転車 に適用するには,自転車に乗っている人がマスタハンドルを操作する必要がある.よって今後は 搭乗者がマスタを操作できるよう実験環境を変更し,有人状態における多自由度ステア・バイ・ワ イヤの自転車への適用を目指す.
また,本研究において,不安定であるという点で条件の厳しい自転車操作において提案システ ムの有効性が示された.したがって,本研究で提案した多自由度ステア・バイ・ワイヤを用いた システムは,電動車椅子やシニアカーなど他の動作支援機器への応用も期待される.
参考文献
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参考文献
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