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6.3 シミュレーション結果と考察

6.3.2 シミュレーション 3 , 4 の結果と考察

第6章 シミュレーション

(5.4)式より,操舵角指令値ϕcmdはキャンバ角速度の影響を大きく受けることがわかる.Fig.6-1

の3.5秒のところを見ても,ハンドル角が一度負の方向へ行き,正の方向へ向かっているのが確 認できる.Table 6.2,Table 6.3と比較してわかるように速度が1.5m/sの方がキャンバ角速度に 関するゲインの絶対値が大きい.したがって,2.0m/sにおいては倒れなかった自転車が,1.5m/s では倒れてしまったと考えられる.また,(5.11)式をTable 6.1のパラメータにより計算すると,

√γ 1.63と求まる.ここからも,1.5m/sでは安定化できないことがわかる.

一方提案手法では,速度が2.0m/sから1.5m/sになっても従来手法に比べキャンバ角の変動は 少ない.この理由として,提案手法ではキャンバ角,角速度のゲインを速度によって決めていな いことが挙げられる.このことから,提案手法の姿勢安定化は従来の線形制御での姿勢安定化に 比べ,より低速でも安定化できていることがわかる.

第6章 シミュレーション

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90

0 5 10 15 20

angle [degree]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-5: シミュレーション3における自転車ハンドル角度応答比較

-0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 5 10 15 20

angle [degree]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-6: シミュレーション3におけるキャンバ角度応答比較

第6章 シミュレーション

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 5 10 15 20

velocity [m/s]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-7: シミュレーション3における速度比較

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90

0 5 10 15 20

angle [degree]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-8: シミュレーション4における自転車ハンドル角度応答比較

第6章 シミュレーション

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 5 10 15 20

angle [degree]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-9: シミュレーション4におけるキャンバ角度応答比較

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 5 10 15 20

velocity [m/s]

time [sec]

constant speed variable speed

Fig. 6-10: シミュレーション4における速度比較

第6章 シミュレーション

Fig.6-6,Fig.6-9より,0.6m/sで走行している場合は提案手法1,2ともに転倒してしまう ことがわかる.しかし,0.6m/sよりも遅い0.4m/sからでも外乱を認知し,マスタの速度調整を 行えば,転倒しないことがわかる.

このことから,提案手法において速度調整が可能であるために安定性が向上されたことが確認 できた.つまり,ステア・バイ・ワイヤを多自由度にして,自転車前後方向の加速度を与えること の有効性が示された.

また,Fig.6-5〜Fig.6-7の結果より,提案手法1における姿勢安定化指令値が自転車の速度 指令が変化しても有効であることが確認された.つまり,リアプノフの安定定理により(5.27)式 から求まる操舵角度指令値θ˙cmd が,自転車速度指令値Vcmdにより変動する関数CDを含んで いても適切な値を示すことがわかった.

同じように,Fig.6-8,Fig.6-9,Fig.6-10の結果より,提案手法2における姿勢安定化指令 値が自転車の速度指令が変化しても有効であることが確認された.バックステッピング法を用い

て(5.49)式から求められる操舵角加速度参照値θ¨refVcmdが時変であっても,適当であること

がわかった.

7

3D シミュレータ検証実験

本章では,スレーブ3Dシミュレータに基づいたマスタ実機による検証実験を行った.これに より,提案手法の有効性を検証する.

7.1 マスタ実験システム

本研究では,多自由度ステア・バイ・ワイヤシステムを自転車に適用する.その際,自転車の 機構を変えないためにシャフトを切り離すということは行わなかった.そこで,マスタを作製し 遠隔操作を行うことにより,擬似的に自転車搭乗を体験する.

実際の自転車で走行実験を行う前に,Fig. 7-1に示すようなOpenGLによる3Dシミュレータ による検証実験を行った.

(a)搭乗者目線

(b)俯瞰

Fig. 7-1: OpenGLによる3Dシミュレータ

第7章 3Dシミュレータ検証実験

Fig. 7-2: マスタの概観 Fig. 7-3: 3Dシミュレータ検証実験の様子

Fig. 7-2に,作製したマスタの概観を示し,Fig. 7-3に3Dシミュレータ検証実験の様子を示す.

Fig. 7-3のように,OpenGLによる自転車の3D映像を見ながらマスタを操作する.この時,操

作者の視点が自転車のハンドル角とキャンバ角を確認しやすい位置となるよう描画を工夫した.

マスタのハンドルは,市販の直径33cmのレースタイプのステアリングを購入した.ボールねじ

はKR33A(THK株式会社)を使用した.ハンドルの裏に駆動用のDCサーボモータ:

RH-14D-3002-E100AL(ハーモニックドライブシステムズ)を取り付けた.また,ボールねじ駆動用のDC

サーボモータ:A-max 32 グラファイトブラシ 20W(マクソンジャパン)も取り付けた.各DC モータはドライバ:PMA2(サーボテクノ)を用いて電圧によるトルク制御を行う.

本研究の3Dシミュレータでは,マルチファンクションコントローラiBIS(型式:DSP7101)

(エムティティ株式会社)を使用する.iBISには,通信コントローラとしてIntel社製AtomN270 を搭載していることと,リアルタイムコントローラとしてルネサス社製SH-4Aを搭載していると いう特徴がある.

iBISにより,以下のことが可能となる.

 ・エンコーダカウンタ値を読み込むこと  ・指令電流をDA変換し出力すること

 ・C言語により制御プログラムを記述しリアルタイム制御を行うこと

マスタハンドルの操舵角θmはDCモータに取り付けられているエンコーダで読み取った.ま た,操舵角速度θ˙mは操舵角θmを擬似微分した値を用いた.ボールねじ駆動用のモータの回転角

第7章 3Dシミュレータ検証実験

度,回転角速度についても,マスタハンドルと同様に値を求めた.

OpenGL上の自転車に関するパラメータは,Table 6.1に示される値を用いた.また,XY 座標

系における自転車の位置を,デットレコニングにより20ms間隔で推定し走行軌道とした.

デットレコニング(相対的自己位置推定法)とは,ジャイロセンサや速度計などの値のみから,

移動体の位置と方向を求める方法である.[25]

7.2 3D シミュレータ検証実験概要