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実験結果・考察

ドキュメント内 聴覚の内因性空間的注意に関する研究 (ページ 113-130)

第 6 章 結論 97

A.3 実験結果・考察

本実験の結果を図A.2に示す.縦軸は課題の単語了解度,横軸は標的音の呈示方向 を示している.四角と三角のマーカーはそれぞれ,統制条件と実験条件を示している.

統制条件の結果は,60 の単語了解度が他の方向に比べて若干高いものの,単 語了解度が80 %程度で安定していた.この結果について,標的音声の方向(60/

30/ 30/ 60)に対する1要因分散分析を行ったところ,有意差は認められなかっ た(F3,21 = 1.05, p=.390, ηG2 =.073).

実験条件の結果は,60の単語了解度が他より高く,30では単語了解度が他より 低くなっていた.この結果についても,標的音声の方向(60/30/ 30/ 60)に対 して1要因分散分析を行ったところ,有意な差は認められなかった(F4,28= 0.86, p= .498, ηG2 =.088).

図2において,実験条件の結果と統制条件の結果を比べてみると,5-10 %程度,実

図A.2: Word intelligibility as a function of the target word direction. Triangles and squares represent the results of the control and experimental conditions, respectively. Error bars denote the standard error of the mean.

験条件の方が単語了解度が低いことが見て取れる.しかし,条件(統制/ 実験)と 標的音声の方向(60/ 30/ 30/ 60)に対して2要因分散分析を行ったところ,

有意差は認められなかった(条件: F1,7 = 4.89, p = .063, ηG2 = .105; 方向: F3,21 = 1.47, p=.253, η2G=.080; 条件×方向: F3,21= 0.21, p=.887, ηG2 =.009).

本研究の結果,各条件内,条件間において単語了解度に有意な差は認められなかっ たが,実験条件では統制条件に比べてで5-10 %程度高い値を示した.この結果は,標 的音声に対する注意の効果によるものであると考えられる.

ところで,実験条件では聴取者の注意は正面にのみ向けさせたため,単語了解度の ピークが正面に来ることが期待されたが,得られた結果は60や30の位置にそれ が生じていた.これは,実験条件において,空間的注意が正面スピーカに正しく向け られていなかった可能性を示唆している.本実験では,Probe-signal法によって正面 に聴取者の注意が向いているが,統制条件ほど顕示的に向けられていないため注意が 向けられるまで時間がかかる可能性がある.そこで,試行回数と単語了解度の変化の 関係性を検討した.

正面スピーカから呈示される標的音声の単語了解度の推移を図A.3に示す.縦軸は 課題の単語了解度,横軸は正面のスピーカ(0)からの標的音声の呈示回数を示して いる.実線は20試行ごとの単語了解度の推移,点線は最小二乗法による回帰直線で ある.この結果は,最初の20試行では単語了解度が60 %を下回ったが,徐々に単語

図 A.3: Word intelligibility of target words presented at 0 as a function of the number of trials. Dotted line is delivered using the least-squares linear regression. Error bars denote the standard error of the mean.

了解度が上昇しており,回帰直線も右肩上がりであることが示された.さらに,試行 数の変化と単語了解度の変化量との相関関係について分析を行ったところ,中程度の 有意な相関が認められ,試行数の増加に従って単語了解度が上昇していることが統計 的に示された(r= 0.65, p=.006).この結果から考えると,正面スピーカに充分に 注意が向けられると,空間的注意の寄与が実験条件でも観測される可能性が高い.

謝辞

本論文は,非常に多くの方々のご指導,ご援助なしにはまとめることができなかっ た.ここにお世話になった方々への感謝の意を記す.

現国立研究開発法人情報通信研究機構耐災害ICT研究センターの鈴木陽一センター 長には,博士後期過程への編入を快諾していただき,研究の機会を賜った.そして,

本研究に関する一貫したご指導をいただいただけではなく,研究に対する姿勢や問題 の捉え方といった,研究者として最も重要な視点を数多く与えていただいた.また,

日常での言葉遣いや立ち振る舞い,礼儀作法など,社会人として必要な知識に関して も,普段の生活を通して厳しくも優しくご指導いただいた.鈴木先生の存在なくし て,今の自分はないと言っても過言ではない.ここに深く感謝申し上げる.

東北大学電気通信研究所塩入諭教授には,本論文の審査,大学院ゼミ,ミーティン グや研究会など様々な場で,研究に関する様々なご意見,ご指導をいただいた.また,

研究の進め方や論文の書き方などに関して数多くのご指導をいただいた.塩入先生の 存在なくして,本論文を仕上げることはできなかった.ここに深く感謝申し上げる.

東北大学電気通信研究所堀尾喜彦教授には,本論文の審査員として有益なご意見,

ご指導いただいた.また,所内での研究会など,様々な場面で研究に関するコメント をいただいた.ここに深く感謝申し上げる.

東北大学電気通信研究所坂本修一教授には,本研究を進めるにあたり一貫したご 指導をいただいた.ご多忙であるにもかかわらず,数え切れないほどのご指導および ご助言をいただいた.また,日常生活においても,励ましの言葉をかけていただくな ど,精神的な面からも支えていただいた.坂本先生の存在なくして,本論文は完成で きなかった.ここに深く感謝申し上げる.

C´esar Daniel Salvador Casta˜neda博士には,信号処理の観点から本研究に関して 様々なコメントをいただいた.また,個人的なミーティングによく誘っていただき,

様々な海外の研究者と議論する機会を与えてくれた.さらに,私生活でもよく食事や 飲み会に連れ出していただき,研究室生活がより豊かなものになったことは言うまで もない.深く感謝申し上げる.

現愛知工科大学工学部山高正烈准教授には,研究室ゼミやミーティングなどの場で 研究に有益なご指導,ご助言をいただいた.現YAMAHAのJorge Trevi˜no博士には,

研究室ゼミの場で様々なご意見をいただいた.東北大学医学部耳鼻咽喉科川瀬哲明教 授には,聴覚情報処理障害ミーティングにおいて研究の方向性や実験方法について貴 重なご意見をいただいた.これらの方々に深く感謝申し上げる.

熊本大学文学部寺本渉教授には,東北大学への編入を後押ししていただき,研究の 機会を賜るきっかけをいただいた.そして,共同研究者として数多くのご指導,ご意 見をいただいた.また,研究の進め方,考察の仕方,学会発表や論文の執筆に関する ご助言など,研究者として最も基本的な部分に関して,数多くのご指導をいただい た.本研究は寺本先生の存在なくして完成には至らなかった.ここに深く感謝申し上 げる.

東北大学電気通信研究所北村喜文教授,栗木一郎准教授,Chia-Huei Tseng准教授,

高嶋和毅准教授,金子沙永助教,佐藤好幸助教,羽鳥康裕助教,藤田和之助教,山本 浩輔助教,同大学院工学研究科伊藤彰則教授,千葉祐弥助教,同加齢医学研究所樋田 浩一博士,同大学院文学研究科齋藤五大助教には,大学院ゼミやミーティング,学会 などの場でご助言や示唆をいただいた.また,懇親会等でも温かく接していただい た.これらの方々に深く感謝申し上げる.

東北大学電気通信研究所技術職員齋藤文孝氏にはさまざまな機器の取り扱い方や 音響測定方法などをご指導いただいた.かつての研究室事務補佐員の小野寺美紀氏,

箕輪牧子氏には,事務手続きをはじめ,様々な場面で研究に専念できるようにご配慮 していただいた.これらの方々に感謝申し上げる.

現株式会社ソシオネクストの藤村達弘氏,現NHKの高井萌子氏,東北大学工学部 電気情報物理工学科4年新妻未菜氏には,同じ研究グループの一員として本論文の実 験の一部を担っていただいた.本研究は,これらの方々の助力なくして完成には至ら なかった.ここに深く感謝申し上げる.

東北大学大学院情報処理過程博士後期過程1年の阿部翔太氏,同博士前期課程2 年,板垣匠氏,岡部敏貴氏,富樫凌氏,前田啓氏,同1年片田晃輔氏,及川隼平氏,

Kadu Anand Anil氏には研究室生活の中で数多くのご支援,ご助言を受けた.既に,

東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程を修了された清水拓氏,胡詩超氏,同 博士前期課程を修了された佐藤広則氏,角掛沙也香氏,Virgilijus Bracilulis氏,愛知 秀斗氏,齋藤翔氏,田村祐揮氏,清水(野田)美春氏,史俊傑氏,日吉啓氏,藤村達 弘氏,舟山拓実氏,Florent Monasterolo氏,同工学部電気情報物理工学科を卒業さ れた鈴木美乃里氏,笹原稜翼氏,渋谷壮氏には,研究室生活の中で数多くのご支援,

ご助言を受けた.特に,佐藤氏と角掛氏には,数少ない同輩としてミーティングや研 究室生活に関して数多くの助言をいただき,様々な面で支えていただいた.これらの 方々に深く感謝申し上げる.

また,長きにわたる研究生活に理解を示し,あらゆる面で私を支え続けてくれた家

族に,心より深く感謝したい.本研究は,多くの方々のご指導,ご協力の下で行なわ れたものであり,ここに名前を挙げることにできなかった方々も含め,重ねて感謝申 し上げる.

最後に,本研究の一部は,文部科学省科学研究費助成事業(KAKENHI)特別研究

員奨励費 18J13203の助成を受けたものである.この助成が本研究の完成と健康的な

研究室生活を支えていたことは言うまでもない.申請書の作成にご協力いただいた鈴 木先生,坂本先生,塩入先生を含め,関わったすべての人に感謝申し上げる.

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