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実験 2 :競合雑音存在下での標的雑音聴取に聴覚の空間的注意が及ぼ

ドキュメント内 聴覚の内因性空間的注意に関する研究 (ページ 47-50)

第 2 章 聴覚の内因性空間的注意が競合音存在下での標的音聴取に及ぼす影響 26

2.3 実験 2 :競合雑音存在下での標的雑音聴取に聴覚の空間的注意が及ぼ

(0)で最も値が低くなるのは,了解度が両条件で一致しているためであり,この値 が一致しているほど,その方向に対する注意効果が高いことを,差分の値が大きくな るほど,その方向に対する注意効果が低いことを意味している.以上の結果は,空間 的な注意を正面(0)に向けた場合,実験1の実験条件下では,正面(0)を中心と した注意の広がり(注意窓)によって,その方向から到来する音を捉えていることを 示唆している.

2.3 実験 2 :競合雑音存在下での標的雑音聴取に聴覚の空

レベルに応じて,聴取者を2つのグループに分けた.全体のうち10人の聴取者は,

試行開始時の標的音の音圧レベル(LA)を80 dBに設定し,残りの10人の聴取者は

55 dBに設定した.このとき,競合音の音圧レベル(LA)は常に65 dBに設定した.

ここでも,音が継続しているものとみなして,等価騒音レベルを用いて校正された.

聴取者には,同時に呈示された複数の刺激音の中で標的音が聞こえたか否かを判断 し,聞こえた場合はマウスの左のボタンを,聞こえなければ右のボタンを押すように 教示した.聴取者が標的音が聞こえたと判断した場合(左ボタンを押した場合),標 的音の音圧レベルを2 dB上昇させ,聞こえないと判断した場合(右ボタンを押した 場合)は,2 dB減少させた.

本実験でも,標的音声が呈示される方向を事前に教示する条件(方向教示条件; Cue

condition)と,事前教示は行わないが,各方向での標的音声の出現確率を変化させ

た条件(確率統制条件; Probability-control condition)の2条件から構成された.実 験を行う順番は被験者ごとにランダムに設定し,カウンターバランスをとった.

方向教示条件では,標的音声が提示される1000 ms前に,標的音声が呈示される ラウドスピーカから500 msのホワイトノイズを呈示し,標的音声が提示されるラウ ドスピーカを教示した.事前刺激であるホワイトノイズの立ち上がりと立ち下がりに は,長さが5 msのraised-cosine窓を適用した.聴取者には,ホワイトノイズが呈示 された後その方向から必ず標的音声が呈示されること,そしてその方向にすばやく注 意を向けることを教示した.この条件は,各角度につき20試行,計100試行からな るブロックの組み合わせから構成されており,ブロックの終了時にすべての角度にお いて聴取者の判断が10回以上反転していた場合,実験を終了した(もし1角度でも 判断の反転が条件に満たない場合,次のブロックへ進めた).

確率統制条件では,全体の80%の試行で標的音声を正面(0)から呈示し,残りの 20%の試行はそれ以外の4方向(60/30/+30/+60)から各5%の確率で標的音 声を呈示した.この条件は,正面で320試行,それ以外の角度で20試行ずつ,計400 試行からなるブロックの組み合わせから構成されており,ブロックの終了時に,正面 で160回,それ以外の角度で10回,聴取者の判断が反転していた場合,実験を終了 した(もし1角度でも判断の反転が条件に満たない場合,次のブロックへ進めた).

本実験では,反転した最後の5試行の音圧レベルの平均値を最小可聴値とした.

2.3.4 実験結果・考察

実験の結果を図2.9に示す.両条件の結果とも,最小可聴値は60%程度で安定して おり,両条件の間に大きな差は見られなかった.実験条件(2;教示/確率統制)と標的 音の呈示方向(5; 0,±30,±60)に対して2要因分散分析を行ったところ,有意な

図 2.9: 実験結果.縦軸と横軸はそれぞれ聴覚いき値と標的音の提示角度を示す.四 角は方向教示条件(Cue),三角は確率統制条件(Probability-control)の結果,誤差 棒は標準誤差を示す.

差は見られなかった(条件: F1,19 = 0.67, p=.421, ηG2 =.004; 方向: F4,76= 0.72, p= .584, ηG2 =.004; 条件×方向: F4,76 = 1.33, p=.266, η2G=.003).

前節と同様,注意の効果を検討するために,両条件の差分を算出した.二条件の差 分の結果を図 2.11に示す.縦軸は二条件の最小可聴値の差分の値,横軸は標的音が 呈示されたラウドスピーカの方向を示している.結果は,どの注意角度においても最 小可聴いき値の差は0付近で安定しており,角度による差は見られなかった.この結 果は,どの方向へ注意を向けても同程度聴き取れる,すなわち空間的な注意による影 響が見られないことを示している.

図 2.10: 2条件の差分の結果(方向教示条件確率統制条件).誤差棒は標準誤差を 示す.

ドキュメント内 聴覚の内因性空間的注意に関する研究 (ページ 47-50)