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実験結果・考察

ドキュメント内 聴覚の内因性空間的注意に関する研究 (ページ 91-95)

第 4 章 聴覚の内因性注意の時間特性に関する検討 72

4.2 実験 1:聴覚の内因性空間的注意の時間特性の検討

4.3.4 実験結果・考察

実験結果を図4.6に示す.ISI条件が0〜200 msまでは,両条件とも一致して,数% 程度了解度が低下し,その後上昇するという傾向が見られた.しかし,視覚手がかり 条件では,ISIが200 ms〜500 msまでは了解度が上昇し,その後2000 msまで了解 度は一定であった.一方で聴覚手がかり条件では,200 ms〜1000 msまで了解度が一

図 4.7: 2条件の差分の結果(視覚手がかり聴覚手がかり条件).縦軸と横軸はそれ ぞれ単語了解度の差と手がかりの呈示から標的音の呈示までの時間差(ISI)を示す.

定で,その後了解度は低下した.この結果について,実験条件(2; 視覚手がかり条 件/聴覚手がかり条件)とISI条件(6; 0,100,200,500,1000,2000 ms)を要因 とする2要因分散分析を行ったところ,実験条件とISI条件の交互作用が有意であっ た(条件: F1,5 = 2.01, p =.215, η2G = .080; ISI: F5,25 = 2.21, p =.085, ηG2 = .041; 条 件×ISI: F5,25 = 2.84, p=.036, ηG2 =.059).ISI条件の単純主効果の検定を行ったと ころ,ISI=500 msと2000 msにおいて,条件間に有意な差が認められた(500 ms:

F1,5 = 7.50, p=.041, η2G =.158; 2000 ms: F1,5 = 7.75, p=.039, ηG2 =.375).本実験 の結果は,注意をひきつける刺激によって,ISI条件が200 ms以降の結果が大きく異 なることを示した.この結果は,注意をひきつける刺激のモダリティの違いが,注意 効果に影響を及ぼすことを示唆している.

さらに,ホワイトノイズに対する音像定位の影響などについても検討するため,2 条件間で差分を算出し,注意をひきつける刺激のモダリティの違いの効果をより明 確にした.その結果を図4.7に示す.0 msの時点では2条件間に差は見られないが,

500 msまでに徐々に了解度の差は広がることが示された.また,その後1000 msまで

了解度の差が減少し,その後再び了解度の差が広がることを示している.この結果に ついて,ISI条件(6; 0,100,200,500,1000,2000 ms)を要因とする1要因分散分 析を行ったところ,その主効果が有意であった(F5,25 = 2.84, p =.036, ηG2 = .161).

この結果は,視覚手がかり条件の方が,短いISIで注意の効果が得られていることを 示唆している.

また,実験4.1と同様に,角度ごとの了解度の経時変化に関する分析も行った.実験 の結果を図4.8に示す.結果は,0では2条件間に大きな差はなく,0から離れるご とにその差が徐々に大きくなっていることが見て取れる.この結果について,実験条 件(2;視覚手がかり条件/聴覚手がかり条件),角度(5; 0±30±60),ISI条件

(6; 0,100,200,500,1000,2000 ms)を要因とする3要因分散分析を行ったところ,

角度の主効果および,実験条件とISI条件,角度とISI条件の交互作用が有意であった

(条件: F1,5 = 2.01, p=.215, η2G =.034; 角度: F4,20= 30.43, p < .001, ηG2 =.030; ISI:

F5,25= 2.21, p=.085, ηG2 =.041; 条件×角度: F4,20 = 1.22, p=.332, η2G=.013; 条件

×ISI: F5,25= 2.84, p=.036, ηG2 =.059; 角度×ISI: F20,100= 2.70, p < .001, ηG2 =.110;

条件times角度×ISI: F20,100 = 1.62, p = .063, ηG2 = .074).角度条件の多重比較を 行った結果(Ryan法,p < .05),60に比べて30のほうが了解度が高いこと が示された.さらに,角度条件とISI条件の交互作用について単純主効果を分析した ところ,角度条件において0 ms,100 ms,200 ms,2000 msで差が見られ(0 ms:

F4,20= 11.72, p < .001, η2G=.405; 100 ms: F4,20 = 12.42, p < .001, η2G=.426; 200 ms:

F4,20= 12.909, p < .001, ηG2 =.524; 2000 ms: F4,20 = 12.82, p < .001, η2G=.425),ISI 条件において30,+30,+60で差が見られた(30: F5,25= 3.22, p=.022, ηG2 = .162; +30: F5,25 = 4.18, p = .006, η2G = .148; +60: F5,25 = 4.09, p = .008, η2G = .139).以上の結果は,0から離れると,2条件間の差が広がっていることを示して いる.この結果は,注意を向ける角度が0から離れるごとに,視覚手がかり条件と 聴覚手がかり条件の差が広がることを示唆している.

図 4.8: 各方向における単語了解度の経時変化.縦軸と横軸はそれぞれ単語了解度と 手がかり音の呈示から標的音の呈示までの時間差を示す.誤差棒は標準誤差を示す.

図 4.9: Kashiwase et al. [89]の実験結果(Kashiwase et al. [89]より一部改変し引用).

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