第 4 章 近赤外線分光法を用いた CPTOP2 実施 中の脳賦活量計測中の脳賦活量計測
4.4 実験結果の考察
実験の結果から、前頭葉付近の脳機能とCPTOP2に用いられる知的能力との関連性 について各タスクごとに考察する。
語句並び替え
語句を並べ替える時には、複数の語句を記憶しながら並べ替えることから、前頭葉 にある言語系のワーキングメモリが活性化すると考えられる。また、文章全体の意味 が通っているかを判断するために、側頭葉前部に存在するブローカー野の活性化も考 えられる。
図4.11に示す語句並び替えタスクの結果を見ると、全般的に脳が活性化しているが、
他のタスクと比較すると図の右上、すなわち側頭葉前部が大きく反応しているため、言 語に関連する能力を用いていると言える。
記憶
一般的に、人は7±2チャンクまで短期的記憶に保持できるとされていることから、
この記憶タスクではその限界量を求められる。したがって、記憶中は前頭葉のワーキ ングメモリが強く活性化すると考えられる。
図4.12に示す記憶タスクの結果において、図の左下・右下部分が活性化しているこ とから、記憶能力を用いていると考えられる。
数列穴埋め
数列で空欄になっている数字を計算している間は、前頭葉の左下付近にある理論的 推論に関する部位が活性化すると考えられる。
図4.13に示す数列穴埋めの結果を見ると、図の左下・右下部分が活性化しているこ とから、論理的推論および計算能力を用いていると考えられる。
ブロック組立
ブロック組立で試行錯誤しながら絵を作る最中は短期記憶を用いたり、図形を1つの 絵と捉えようとする判断を行ったり、様々な認知活動が行われていると推測される。ま
図 4.11: 語句並べ替えタスク中の脳血流量(被験者ϵ)
図 4.12: 記憶タスク中の脳血流量(被験者ϵ)
図 4.13: 数列穴埋めタスク中の脳血流量(被験者ϵ)
図 4.14: ブロック組立タスク中の脳血流量(被験者ϵ)
図 4.15: グラフの見方
たタイトル付けの際には言語能力に関連する部位が活性化することも考えられる。し たがって、ブロック組立遂行中は広範囲に渡る脳の活性化が予測される。
図4.14に示すブロック組立の結果において、比較的均一に脳が活性化しているが、
これは他のタスクに比べて特定の脳機能を使用しないためであろう。このタスクでは、
組み合わせたブロックの形状を認識し、記憶内にある似た形の物と照合をとるために、
視覚野を用いている可能性がある。本実験では計測しなかった後頭部の視覚野で強い 反応が表れていた可能性がある。
本実験においては、いずれのCPTOP2タスクについても前頭葉部の血流量が増加し、
脳の活性化が見られた。これによって、CPTOP2は高次認知活動を計測していること が実証された。