第 5 章 CPTOP2 を用いた照明環境評価実験
5.2 実験方法
以上のような照明器具を用いて、サーカディアン条件では照度を図5.3に示すような 時系列制御をした。このような照明制御を行うことで、第3章で述べたように、人間 の生体リズムの調整および覚醒度向上を促すことができる。また、標準条件では、机 上面照度は750lx一定とした。
その他の主な環境要因である、室内温度、湿度、換気量、騒音は空調設備などによ り標準的な値に保った。実験時の環境を以下の表5.1に記す。
被験者 被験者 被験者
被験者A,EA,EA,EA,E 被験者被験者C,G被験者被験者C,GC,GC,G
被験者 被験者 被験者
被験者B,FB,FB,FB,F 被験者被験者被験者被験者D,HD,HD,HD,H 机
机 机 机 PCPCPCPC
窓 窓 窓 窓 椅子
椅子 椅子 椅子
長机 サーバー
実験者
照明器具
図 5.1: 実験室の俯瞰図
表 5.1: 実験室の室内環境
机上面照度 温度 湿度 換気 騒音レベル
[lx] [℃] [%RH] [db]
標準条件 750 25 50 換気扇ON 50以下 サーカディアン条件 最高2200 25 50 換気扇ON 50以下
5.2.2 計測項目
本実験では、照明制御の効果を評価するために、CPTOP2パフォーマンスを計測し た。また、昨年度の実験でパフォーマンス感度の最も良かった伝票分類作業のパフォー マンス計測も併せて行った。さらに、第2章で述べたようにプロダクティビティ計測 手法の1つである主観評価指標として、自覚症しらべおよびNASA-TLX[25]を用いた。
図 5.2: 実験室の様子
9:00 11:45 12:30 13:00 14:00 17:00
750 2200
時刻
机上面照度( lx )
図 5.3: CPTOP2環境評価実験における照度制御
5.2.3 実験手順
実験は、京都大学医学部構内先端科学研究棟401号室で行った。実験は8名の被験 者を2つのグループに分け、グループAは2007年12月12日(水)〜23日(日)、グルー プBは2008年1月9日(水)〜20日(日)にかけて実験を行った。実験実施日は、両グ ループとも第1週目の日曜を除く全11日間であった。
実験の実施内容を図5.4に示す。実験1日目は標準環境下で、実験の説明および事前 アンケート等の実施後、CPTOP2と伝票分類作業の練習を行った。2〜4日目は標準条 件下での計測、5日目〜7日目はサーカディアン条件下で計測、8日目〜10日目は再度 標準条件下で計測を行った。生体リズムの概日変化を考慮し、照明環境は日単位でコ ントロールする。実験11日目は、終末効果を実験データから除外するために設けたダ ミー計測であり、標準条件下でダミー計測とアンケートを行ったが、実験データは解 析時には採用しなかった。
実験期間中は、図5.5に示すようにCPTOP2のタスク4種類を(1)語句並べ替え(2) ブロック組立(3)数列穴埋め(4)記憶という順序で行った後で伝票分類作業を行うとい う流れを1セットとし、午前中に2セット、昼休み後に2セット、休憩を挟んでさらに 2セット実施した。CPTOP2のタスクで難易度が2種類あるものは、低難易度、高難 易度のタスクを交互に実施した。また、朝、昼食前、昼食後、作業終了後には自覚症 しらべを行った。午前中の作業では、各タスクが終了する毎にNASA-TLXへの回答を 行った。
標準条件Ⅱ サーカディアン
条件 標準条件Ⅱ 標準条件Ⅱ
練習日 標準条件Ⅰ 標準条件Ⅰ 標準条件Ⅰ
サーカディアン 条件
サーカディアン 条件
ダミー 計測日
※ ※ ※ ※ ※ ※
※
※ ※
※ 解析対象 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日 1週目
2週目
図 5.4: 実験の実施日程
5.2.4 被験者
被験者は、1グループ4人とし、合計8名であった。表5.2は被験者属性の詳細であ る。就寝時刻、起床時刻、睡眠時間はいずれも実験期間中の平均値である。
自覚症しらべ
昼食
9:15 〜 10:25 CPTOP2 語句並べ替え 7分
伝票分類作業 10分
自覚症しらべ
自覚症しらべ
2セット目作業
4セット目作業 3セット目作業
6セット目作業 5セット目作業
自覚症しらべ 休憩
1セット目作業
10:30 〜 11:40
11:45 〜 12:30 9:10 〜 9:15
12:35 〜 13:30
13:35 〜 14:30
14:40 〜 15:35
15:40 〜 16:35 14:30 〜 14:40
16:35 〜 16:40 12:30 〜 12:35 11:40 〜 11:45
CPTOP2 ブロック組立 10分
CPTOP2 数列穴埋め 7分
CPTOP2 記憶 10分
低難易度
高難易度 NASA
NASA
NASA : NASA̲TLX実施
低難易度 : 語句並べ替え(5文節)、記憶(6個) 高難易度 : 語句並べ替え(6文節)、記憶(9個) 低難易度
低難易度 高難易度
高難易度
図 5.5: 実験の1日の流れ
表 5.2: 被験者の属性
性別 年齢 就寝時刻 起床時刻 睡眠時間 実験グループ 被験者A 男性 31 0:51 6:34 5:42 A
被験者B 男性 54 23:29 5:30 6:00 A
被験者C 女性 41 0:12 6:02 5:50 A 被験者D 女性 48 0:34 6:42 6:08 A 被験者E 女性 36 0:20 6:44 6:24 B
被験者F 女性 45 23:44 5:59 6:15 B
被験者G 男性 27 1:08 6:43 5:35 B
被験者H 女性 45 23:57 6:02 6:05 B
なお、本実験に先立ち、18名の被験者から8名の被験者を選抜するためのスクリー ニング実験を行った。CPTOP2記憶タスクを30分間行うという作業を2回繰り返し た。この実験のパフォーマンス結果から、3.3.3項に述べたように環境変化に対して高 感度および低感度のどちらであるかという観点から被験者を選出した。被験者Aと被 験者Gは低感度被験者候補、その他の被験者は高感度被験者候補である。