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タイムプレッシャーがタスクパフォーマンスに及ぼす影響の評価

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第 3 章 既存の知的パフォーマンステストの問題 点検証と新知的パフォーマンステストの点検証と新知的パフォーマンステストの

3.3 CPTOP の問題点検証と改良方針

3.3.3 タイムプレッシャーがタスクパフォーマンスに及ぼす影響の評価

さらにCPTOPとオフィス模擬タスクの相違点として、タスクを迅速に解かなけれ

ばならないというタイムプレッシャーの有無が挙げられる。

3.2.2項で述べたように、CPTOP各タスクには1問あたりに制限時間が設けられて

いる。時分割タスクは制限時間は設けられていないが、爆弾と電球の誘導作業と数字 タイピング入力を並行して行っており、制限時間が設けられているのと同様である。一 方で、オフィス模擬タスクには制限時間は設定されていないため、被験者は自分のペー スで作業を行うことができる。

このタイムプレッシャーが被験者に心理的負担として加わると、速く問題を解こう という意識が高まり、パフォーマンスを引き上げる効果があると考えられる。すなわ ち、タイムプレッシャーが加わっている状態では、環境条件に左右されずパフォーマ ンスが高い値を保つことになり、環境条件の違いによるパフォーマンス向上効果が小 さくなる可能性がある。

したがって、1問ごとに制限時間がありタイムプレッシャーが加わるCPTOPでは、

環境条件の差による影響がパフォーマンスに現れにくいことが示唆される。その一方、

1問ごとに制限時間がなくマイペース作業できるオフィス模擬タスクでは、高照度照明 によってパフォーマンスが向上する余地が残されていると考えられる。

以上のことについて検証するための新たな被験者実験を行うべく、オフィス模擬作 業にもタイムプレッシャーが加わるようにタスクを修正した。なお、CPTOPについて はタイムプレッシャーが加わらないような修正を加えた。

実験の目的  

CPTOPおよびオフィス模擬タスクそれぞれについて、タイムプレッシャーの有無が

パフォーマンスに及ぼす影響を評価することを目的として被験者実験を行った。CPTOP については認知速度能力、オフィス模擬タスクについてはこれと対応する伝票チェック 作業を評価指標として用いた。これらのタスクそれぞれについて、 制限時間がある

(タイムプレッシャーが加わる) 制限時間がない(タイムプレッシャーが加わらない)

という2種類のタスクを行い、タイムプレッシャーの影響を評価する。

実験の方法  

実験では、表3.11に示すように日ごとに環境条件を変化させ、それぞれの環境下に

室内温度、換気量である。好環境では高照度照明による覚醒度向上効果が、悪環境で は高温環境による不快感の増大効果が見込まれる。

表 3.11: タイムプレッシャー評価実験における室内環境条件

机上面照[lx] 温度[℃] 換気

1日目 標準環境 700 26 換気扇ON

2日目 好環境 3500 26 換気扇ON

3日目 悪環境 700 30 換気扇OFF

実験は、京都大学宇治キャンパス内の照明制御装置のある部屋において、2007年8 月28日〜30日の3日間に渡って行った。被験者は、図3.15に示すように、1日目は標 準環境下で、「制限時間なし」のCPTOPと伝票チェック作業の練習を行い、2目は好環 境下で、午前中は「制限時間なし」、午後は「制限時間あり」のCPTOPと伝票チェッ ク作業を行った。3日目は悪環境下において2日目と同様の作業を行った。なお1日の 流れは、図3.16に示すように、CPTOPと伝票チェック作業を3回ずつ交互に繰り返す という単位を1セットとし、これを1日につき5セット行ってタスクパフォーマンスを 計測した。1セットの作業を行うのに80分程度かかった。ただし、5セット目は終末効 果を消すためのタスクであり、実験データとしては採用しない。

測定項目は、CPTOP認知速度および伝票チェック作業である。タスク遂行時間は、

3.2.2項の実験と同じく、CPTOP認知速度は8分間、伝票チェック作業は17分間とし

た。また、実験終了後に被験者にアンケートおよびインタビューを行い、タイムプレッ シャーや実験環境について意見を求めた。

本実験の被験者は、昨年度の実験における被験者のうち特徴的な傾向を示した2名 を選抜した。2名のうち一方は、実験に対するモチベーションが低く、環境条件の変化 に対してパフォーマンス変動率が大きいという特徴を持つ。もう一方は、実験に対す るモチベーションが高く、環境条件の変化に関係なく一定した高いパフォーマンスを 保つという特徴がある。本研究では、環境変化に対して感度が良いか悪いかという点 に着目し、前者を高感度被験者、後者を低感度被験者と定義する。

実験の結果  

CPTOP認知速度タスクおよび伝票チェック作業について、悪環境下のパフォーマン

スに対する好環境のパフォーマンス向上率を制限時間なしの場合と制限時間ありの場 合について被験者ごとに算出した。その結果を表3.12に示す。

1日目 標準環境 制限時間なし練習

2日目 好環境

午前:制限時間なし計測 午後:制限時間あり計測

3日目 悪環境

午前:制限時間なし計測 午後:制限時間あり計測

図 3.15: 実験の実施日程

①セットセットセットセット目 CPTOP認知速度 伝票チェック

×3回ずつ

10

ダミータスク

9:20 10:50

12:55 14:25 15:55 17:20 18:00

終了 終了終了 終了

45

10

10

アンケート アンケートアンケート アンケート インタビュー インタビューインタビュー インタビュー

③セットセットセット目セット CPTOP認知速度 伝票チェック

×3回ずつ

④セットセットセットセット目 CPTOP認知速度 伝票チェック

×3回ずつ

②セットセットセット目セット CPTOP認知速度 伝票チェック

×3回ずつ

⑤セットセットセットセット目 CPTOP認知速度 伝票チェック

×3回ずつ

図 3.16: 実験の1日の流れ

表 3.12: タイムプレッシャー評価実験のパフォーマンス結果

向上率[%]

制限時間なし 制限時間あり

CPTOP 高感度被験者 11.8 0.4

認知速度 低感度被験者 4.1 2.3 伝票チェック 高感度被験者 20.8 5.3 低感度被験者 0.8 1.9

タスク制限時間の有無の影響について検討したところ、制限時間がある場合は環境 改善によるパフォーマンス向上効果が低かった。また、被験者インタビューを通じて、

タスクに制限時間があると焦ってしまい、ミスが多くなるような気がするので好ましく ないという意見を得た。そこで、新タスクテストでは制限時間を設けないこととする。

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