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BPA の濃度依存的効果

5.3 実験結果

5.3.2 BPA の濃度依存的効果

20-30 DIV の神経回路網に対して異なる BPA 濃度で複数の実験を行い,一過性の BPA が神経回路に与える影響を解析した(図 5.9).BPA 暴露前の(1),(2)の自発活動計測 結果は同じ培養液に交換している為,正規化したスパイク頻度に顕著な変化は確認され なかった.しかしながら,50μM 以上の BPA 濃度で実験を行った場合,正規化スパイク 頻度は BPA 濃度と暴露時間に依存して減少することが明らかになった(図 5.9 右列).

また,BPA 濃度が 25μM の場合,60 分経過しても顕著なスパイク頻度の減少は確認され ず,暴露後の(3)の自発活動計測においても BPA の影響を確認する事ができなかった.

結果として,20-30 DIV の神経回路網は 50μM 以上の BPA 濃度下に暴露されると,正規 化スパイク頻度が 25μM に比べて強く抑制され,さらに暴露後のスパイク頻度(3)にも 影響を与えることが明らかになった.50-60 DIV の神経回路網における各 BPA 濃度の一 過性の影響も解析した(図 5.10).BPA 暴露前の(1),(2)の自発活動計測結果は 20-30 DIV の解析結果と同様,正規化したスパイク頻度に顕著な変化は確認されなかった.し かしながら,50μM 以上の BPA 濃度で実験を行った場合,正規化スパイク頻度は BPA 濃 度と暴露時間に依存して減少することが明らかになった.(3)の自発活動計測の結果は,

いずれの BPA 濃度に暴露しても,BPA 不含培地へ交換後はスパイク頻度は回復した.こ れらの結果から,25μM の BPA は神経回路網のスパイク頻度に対して影響がほとんどな いことが明らかになった(図 5.9,図 5.10).その一方で,20-30 DIV の細胞に対して 50μM 以上の BPA を添加すると,神経回路網のスパイク頻度が初期状態まで回復しなか った(図 5.9).BPA は神経回路網の培養日数に依存して効果が異なることが明らかにな った.

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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図 5.9 20-30 DIV における各 BPA 濃度の一過性の影響.

左:BPA 濃度に依存した一過性の影響.

右:BPA 暴露時間に依存したスパイク頻度の時間変化.

25μM:N=4, 50μM:N=5, 100μM:N=3

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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図 5.10 50-60DIV における各 BPA 濃度の一過性の影響.

左:BPA 濃度に依存した一過性の影響.

右:BPA 暴露時間に依存したスパイク頻度の時間変化.

25μM:N=5, 50μM:N=3, 100μM:N=4.

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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BPA 暴露を行う事で GABAA受容体の亢進が起こり,神経回路網間の結合強度に変化が 起きると予想された.そこで,20-30 DIV の神経回路網に対して,BPA 暴露前,暴露中,

暴露後の結合強度のコネクションマップを作成した(図 5.11).暴露前のコネクション マップ(1),(2)は電極間の結合関係に大きな変化は確認されなかった.100 μM BPA に暴露中の 51-60 分に対応するコネクションマップは(1),(2)におけるマップと比較 すると,全体的に電極間の入力-出力の関係が消失している.BPA 暴露後に元の培養液 に再置換したところ,電極間の機能的結合が(1),(2)におけるマップと比較して,全 く異なっていた.

この結果は 20-30 DIV の神経回路網に対して一過性に BPA を暴露することで,神経回 路網内の神経細胞間の結合構造が異なる構造に変化することを示している.また,50-60 DIV の神経回路網に対して,BPA 暴露前,暴露中,暴露後の結合強度のコネクションマ ップを作成した(図 5.12).暴露前のコネクションマップ(1),(2)においては,機能 的結合構造に大きな変更はみられず,局所的に小さな範囲では特に安定していた(図 5.12 赤枠部)100 μM BPA に暴露中の 51-60 分に対応するコネクションマップは(1),

(2)におけるマップと比較すると,全体的に機能的結合が消失している.その後,BPA 暴露後に元の培養液に再置換すると,局所的に(1),(2)と類似した構造が認められる が全体的に機能的結合関係が変化した.スパイク頻度を指標とした解析結果では,50-60 DIV の神経回路網は BPA 暴露前後に大きな違いは確認されなかったが,コネクションマ ップ上で電極間の結合強度を評価した場合,暴露前後に回路構造が大きく異なる傾向を 示した.

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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図 5.11 100 μM BPA のコネクションマップへの効果(20-30 DIV).

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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図 5.12 100 μM BPA のコネクションマップへの効果(50-60 DIV).

5.培養神経回路網に対する薬物アッセイ

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