1150K 丸
5.4 変形挙動の予測
5 . 4 . 1
予 測 法本 節 で は 変 形 応 力 の 予 測 式 の 導 出 を 行 う 。
国 溶 硬 化 合 金 の 高 温 に お け る 変 形 応 力σは 、 転 位 の 長 距 離 相 互 作 用 に よ る 内 部 応 力 引 と 転 位 の 溶 質 雰 囲 気 引 き ず り 抵 抗 に 基 づ い た 有 効 応 力σeの 和 で 与 え ら れ る(49)。
転 位 の す べ り 運 動 に 関 す る Orowanの式(50)よ り 微 小 せ ん 断 ひ ず み dγは
dγ=ρ
b d x ( 5 . 2 )
で示される。ここで、 pは転位密度、 bは パ ー ガ ー ス ベ ク ト ル の 大 き さ、
d x
は転位の微小変位である。ここで、 ρe、 ん を そ れ ぞ れ 刃 状 転 位とらせん転位の密度、d X e
、d x "
を そ れ ぞ れ 刃 状 転 位 と ら せ ん 転 位 の 微 小 変 位 と し 、 そ れ ぞ れ の 転 位 か ら 成 る 長 方 形 の 転 位 ル ー プ を 考 えると、Pe
d x "
( 5 . 3 )
p"d X e
可~
が 成 り 立 つ(51)。 ら せ ん 転 位 は 静 水 応 力 場 を 持 た な い の で 、 固 溶 硬 化 合 金 で は ら せ ん 転 位 の 熔 質 原 子 と の 相 互 作 用 は わ ず か で あ る (52)。
し た が っ て 、 雰 囲 気 か ら 大 き な 抵 抗 を 受 け る 刃 状 転 位 に 比 べ て 雰 囲 気 を ほ と ん ど も た な い ら せ ん 転 位 の 速 度 は 大 き く 、 式
( 5 . 3 )
において、 dX$~ dXeと考えられる。すなわち、 ρe~ρs と考えられる。
よ っ て 、 全 転 位 密 度 をP
= =
Pe+
ρsとすると、 ρ=ん と し て よ く 、 変 形 は 専 ら 運 動 速 度 の お そ い 刃 状 転 位 の 運 動 に よ っ て 律 速 さ れ る こ と になる。式
( 5 . 2 )
を 刃 状 転 位 と ら せ ん 転 位 に 分 け て 考 え る と 、 以 上 の 考 察 よ り 、 微 小 せ ん 断 ひ ず み dγはdγ Pebdxe
+
ρ$bdx$ (ρsdzs) PebdxeI I +
ρe~:d
aXe2
ρbdx
( 5 . 4 )
と表せる。ただし、 dXe
= =
dxと し た 。 こ の よ う に 、 式( 5 . 2 )
と比較 して、式( 5 . 4 )
の 右 辺 に 係 数 2が つ く の は 、 高 速 で 運 動 す る 少 数 の ら せ ん 転 位 に よ る 変 形 へ の 寄 与 が 、 低 速 で 多 数 の 刃 状 転 位 の 寄 与 と 同 じ に な る か ら で あ る 。こ れ ら の 転 位 が 粘 性 的 な 運 動 を す る と き 、 転 位 速 度 り は 転 位 の 易 動 度
B
と 有 効 せ ん 断 応 力Teの積υ = ( =
B Te)で表される事。従って、テ ー ラ 一 因 子 Mを用いると、 dγ==
Md
εの 関 係 と 、 式( 5 . 4 )
より、申引張応力をσ、分解せん断応力を7、伸びひずみをε、せん断ひずみをγで・表 す。
可~ー
引 張 ひ ず み 速 度εは
1 ̲ ̲ 2 .
d x
e==今/
M
== ~-rp b
-J~I
M
r ‑d t ( 5 . 5 )
で 表 さ れ る 。 こ こ で 、 転 位 速 度
d x / d t
を uと す る と 、 前 章 で 述 べ た 溶 質 雰 囲 気 引 き ず り 抵 抗 ( こ れ が 有 効 応 力 九 と し て 測 定 さ れ る ) と 転 位 速 度 が 比 例 す る 条 件 の も と で はv == BTe
( 5 . 6 )
が 成 立 す る の で 、 九 =σ
e /
Mの関係を用いると、t= £
ρbBσe( 5 . 7 )
と な る 。 す な わ ち 、 引 張 ひ ず み 速 度tは 、 有 効 引 張 応 力σeと 転 位 密 度ρお よ び 刃 状 転 位 の 易 動 度
B
によって表すことができる。一 方 、 内 部 応 力 引 は 転 位 密 度ρの 関 数 と し て
σi==αMGb
ゾ 戸 ( 5 . 8 )
で与えられる (12)。ここで、 αは定数、 Gは 剛 性 率 で あ る 。 式 (5.1)、
( 5 . 7 )
と( 5 . 8 )
からpとσeを 消 去 す る こ と に よ り 、 変 形 応 力σはσiのみ の 関 数 と し てα2 M4
G
2b (
寸¥σ=σ; + I E~ ‑ ‑ I
2σ;'2 B ¥ ‑~
]{ )
( 5 . 9 )
と表せる。ただし、 e==ら ‑
a / ] (
の関係 (5.2.2参照)を用いた。した が っ て 、 内 部 応 力 が わ か れ ば 、 与 え ら れ た ら に 対 す る 変 形 応 力 と そ の 変 化 速 度 と の 関 係 が 求 め ら れ る 。
可.",.‑
dσi
=
hdε‑rdt ︑ ︑ . ︐ ︐J
nU
噌Ei
Fヘυ
〆'
aE︑ ︑
内部応力の増分は、 Bailey(53)と Orowan(54)が 示 し た よ う に 加 工 硬 化 と 回 復 の 競 合 と し て 次 式 で 表 せ る 。
こ こ で ん =
( θ σ i / θ ε )
は純粋な加工硬化率、ァ=一( θ σ i / θ t )
は純粋な 回復速度である。内部応力の増加(加工硬化)は変形に伴う転位密度の増加による。
転 位 密 度 の 増 分 dρは 、 転 位 密 度pと 転 位 の 移 動 し た 距 離 dxに比例 すると考えられるので、 sを そ の 比 例 定 数 と し て dρ ==sρdxとおけ
る で あ ろ う 。 し た が っ て 、 式 (5.4)と dγ = M dεの関係より、
dp=F22dε
2 6
噌 ︐ 司自i ︑ ︑ ︐ ︐ ︐ ︐ ︐i
FヘU
〆' e︐ ︑ ︑
が得られる。
回 復 の 効 果 が な い と し て も 、 転 位 密 度 が 増 加 す れ ば 逆 方 向 に 運 動 す る 正 負 転 位 の 会 合 の 頻 度 が 増 し 、 対 消 滅 に よ る 転 位 密 度 の 減 少 が お こ る と 考 え ら れ る 。 こ の 減 少 量
‑dp
は 転 位 密 度 と 転 位 の 運 動 距 離 に 比 例 し 、 平 均 転 位 間 隔( 1
ん/戸)に逆比例すると考えられるので、Orowanの 式 を 用 い る と
‑d p
==αρvpdx
==avp 五
Md ε ( 5 . 1 2 )
が得られる。ただし、
α
は 比 例 定 数 で あ る 。 式( 5 . 1 1
)と( 5 . 1 2 )
より 転 位 密 度 の 増 加 はd p ==仇一 αJ)gdε
lf︑ ︑ qJ噌14 F hυ
〆' E 目 ︑ ︑
で表される。ただし、 soは 対 消 滅 が な い と き の 増 殖 係 数 で あ る 。
可 F炉 「
転 位 密 度 が 増 加 し て く る と い ず れ
d ρ = = 0
に な る 飽 和 状 態 に 達 す る と 考 え ら れ る 。 こ の と き の 転 位 密 度 をρsと す る と 、 式( 5 . 1 3 )
からs o = = α
ゾ 瓦 の 関 係 が 求 め ら れ 、 式( 5 . 1 3 )
は (‑1/p¥M
d p = = s o ( 1 ‑¥ / ̲ c ̲ )
~:¥ V ρ
!J}2 b
と書き換えられる。
回 復 の 効 果 を 含 ま な い 純 粋 な 加 工 硬 化 率
h
は、で あ る が 、 式
( 5 . 8 )
よりん=生 =dσiθρ θεdρθε
生一 α MCb̲ α ( MCb)2 d p 2 V P
2σz( 5 . 1 4 )
( 5 . 1 5 )
( 5 . 1 6 )
また、 P!Jに 対 応 す る 飽 和 内 部 応 力 をσi!J(==αGb
ゾ λ )
と す る と 、 式( 5 . 1 4 )
より。
(JM
ι f σょ¥o e ==五角〔 1‑z;;j ( 5 1 7 )
が 得 ら れ る 。 式 (
5 . 1 6 )
を 式 (5 . 1 5 )
に代入することにより、h
はh = A ( 七 の ( 5 . 1 8 )
で与えられる。ここで、
A == (α2 M3C2
b s o ) / (
4σi!J )( 5 . 1 8 ' )
である。
一 方 、 回 復 は 時 間 に 依 存 し た 転 位 密 度 の 減 少 に よ る 。 高 温 で の 転 位 の 上 昇 に よ る 対 消 滅 の 速 度
θ ρ / θ t
は 、 転 位 密 度 の 二 乗 と 拡 散 係 数可~.
D
,
こ比例すると考えられるので、θp っ
友==-rolDp~ ︑ ︑ . ︐ ︐ ︐
︐
nw d
噌Ei vh u /a 11
と 表 さ れ る 。 上 式 と 式
( 5 . 8 )
か ら 、 回 復 速 度 は θσid
σiθP
1¥ 3r = =
一 一 = 一 一 一 = =r lD
(J{)( 5 . 2 0 )
θ
t dp
θt と表せる。ここで、ア1
= = r O l / { 2 (
αM G b ) 2 } ( 5 . 2 0 ' )
である。
焼 き な ま し 時 に ネ ッ ト ワ ー ク を 形 成 し て い る 初 期 転 位 の 減 少 速 度 は 、 ネ ッ ト ワ ー ク の リ ン ク 長 さ を l‑:::=
1 /
、/戸とすると、単位体積中 のリンクの数(==1 / [ 3 = =
(ゾ戸) 3 )
と 拡 散 係 数 に 比 例 す る と 考 え ら れるので、
十 一 向 2 D ( v p ) 3 ( 5 刈
と 表 せ る で あ ろ う 。 上 式 と 式
( 5 . 8 )
よ り 、 ネ ッ ト ワ ー ク の 回 復 速 度 は θσid
σiθρ っァ==‑ dt
= = ‑ d p
友==r2D σi~( 5 . 2 2 )
と表せる。ここで、
r 2 = = r 0 2 / ( 2
αMGb) ( 5 . 2 2 ' )
である。
以 上 の 加 工 硬 化 率 と 回 復 速 度 お よ び 式
( 5 . 1 0 )
よ り 、 内 部 応 力 の 時 間 変 化 はd
(J; σμ 一σ /̲ a ¥ず ==A~ σi いーが ‑ r l D
σi3‑ψσi2仰 ( ‑ 6 ε ) ( 5 幻)
可V炉 一
で与えられる。
e x p (‑ 8 ε )
の 項 は 、 こ の 回 復 の 効 果 が 変 形 初 期 に の み あ る こ と を 考 慮 し た 減 衰 項 で 、6
は減衰係数である。変 形 に 伴 う 内 部 応 力 の 変 化 は 、 式 (5.23)を 変 形 経 路 に 沿 っ て 積 分 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る 。 予 測 に 必 要 な ノ マ ラ メ ー タ は 、 宮 川 ら
(11)(12)と同様、 1つの定ひずみ速度試験で求めた応力ーひずみ曲線と、
同 じ 材 料 を 用 い て 得 た 中 島 ら(36)の 回 復 速 度 の 測 定 結 果 お よ び 本 研 究 の 応 力 緩 和 試 験 に よ っ て 求 め た 内 部 応 力 の 測 定 値 を 参 考 に し て 次 節 で 述 べ る よ う に 決 定 し た 。
前 章 に 示 し た よ う に 、 1050Kで は 実 験 条 件 が 転 位 が 溶 質 雰 囲 気 か ら 離 脱 す る と 考 え ら れ る ひ ず み 速 度 域 を 含 ん で い る こ と か ら 、 変 形 応 力 の 予 測 は 1100Kお よ び 1150Kに つ い て の み 行 っ た 。 刃 状 転 位 の 易 動 度
B
の 値 は 、 前 章 に 示 し た よ う に 、 計 算 機 上 で 仮 想 格 子 中 の 転 位 を 動 か し 、 転 位 と 溶 質 原 子 と の 相 互 作 用 エ ネ ル ギ ー の 勾 配 か ら 、 溶 質 雰 囲 気 引 き ず り 抵 抗 を 算 出 す る 方 法 に よ っ て 求 め た(25)(26)。 予 測 に 用 い た 各 温 度 で の 、 G、Dお よ び Bを表 5.1に示す。なお、テーラ一因子丸グは 2として計算した。
5 . 4 . 2
パ ラ メ ー タ の 決 定前 節 で 導 出 し た 予 測 式 中 の パ ラ メ ー タ は 、 転 位 密 度 と 内 部 応 力 を 関係づける α、 回 復 速 度 式 中 の r01とr02、 加 工 硬 化 率 式 中 のsOとのs、 お よ び
6
の 5個である。αは本研究で行った応力緩和試験の結果を参考にして求めた。 1100I( と 1150Kで の 定 常 変 形 状 態
( i
== 7.2x 10‑5S‑1)に お け る 応 力 緩 和 試 験 よ り 、 菊 池 法 で 求 め た 内 部 応 力 の 平 均 値 は 1100Kでは 24.3MPa、‑ . . . , . 炉 「
1150Kでは 12.0MPaで あ っ た 。 中 島 ら (36)が 応 力 急 変 試 験 か ら 求 め
たム
i /
ムσ(=( 2 / M 2 ) p b B )
の 値 に 、 表 5.1に 示 し たB
の 値 を 用 い て ρを 求 め 、 こ れ と 本 研 究 で 測 定 し たσzと の 関 係 か ら 、 式 (5.8)によっ てαの 値 を 求 め た 。 得 ら れ たαは 1100Kで 0.53、1150Kで 0.64で あ っ た 。 し か し 、 本 来αは 内 部 応 力 の 発 現 機 構 に 関 係 す る パ ラ メ ー タ で あ る の で 、 温 度 に 依 存 す る と は 考 え ら れ な い 。 し た が っ て 、 温 度 に よ る αの 相 違 は 実 験 誤 差 に よ る も の と 考 え 、 こ れ ら の 平 均 値 をとり、 α=0.58と し 、 両 温 度 で 同 ー の 値 を 用 い た 。
r 0 1
は 次 に 示 す 内 部 応 力σiと 回 復 速 度 Tの 関 係 か ら 求 め た 。 ア に は 中島ら(36)が 本 研 究 と 同 じ Fe‑3.5at%Mo合 金 に つ い て 応 力 急 変 法 に よ っ て 求 め た 値 を 用 い た 。 彼 ら に よ れ ば 、 Tは会 = R o ( 2 ) 3 引金)
( 5.24)で与えられる。ここで、
E
はヤング率、Ro =
1.3
X 1021S‑1、Qr=290k J . m o l ‑
1、RT
は 通 常 の 意 味 で あ る 車 。 上 式 に 内 部 応 力 の 測 定 値 を 代 入すると、 1100Kと 1150Kで の 回 復 速 度r
=r 1
Dσi3は そ れ ぞ れ 16.9MPa's‑1お よ び 6.31MPa's‑1と な る 。 こ れ ら の 値 か ら ア01を 式(5.20)とη =
r 0 1 / 2 (
αMGb)2
の 関 係 に よ っ て 求 め る か01= 2(αMGb)2r/
Dσi3 )と、 1100Kで1.57X 103、1150Kで1.51X 103となる。
宮川ら(12)は 、 転 位 の 上 昇 運 動 に 関 す る Hirthと Lotheの 理 論(55) に 基 づ き 、 吉 永 ら(56)が 導 い た 式 を 用 い て 、 回 復 速 度 係 数 を
2.2DG
r 0 1
=( 1
̲ν) k T l n ( l / b )
( 5.25)‑式(5.20)に用いられている Tlと
R o
の聞には、 Tl= R o / ( D o E 2 )
の関係がある。ただし、
D o
は拡散係数の頻度因子表
5 . 1
計 算 に 用 い た 物 理 定 数I T ( K )
ijG ( 9 P a 5 1 D(m
2s ‑
1)-_nT-B(m(~~~_~-ln
1050 4 3 . 0 8 . 2 2
X10‑
173 . 8 7
X10‑
151100 3 9 . 6 3 . 4 0
X10‑
161 . 8 4
X10‑
141150 3 7 . 3 1 . 2 5
X10‑
157 . 5 9
X10‑
14可~
で 与 え て い る 。 こ こ でQは原子容、
l
は 平 均 転 位 間 隔 で あ る 。 こ れ に よると、 rOlは剛性率に比例し、絶対温度に逆比例することがわかる。こ の 温 度 依 存 性 を 用 い る と 、 1150Kと 1100Kでの rOlの 比 は 0.900 と な る が 、 上 述 の よ う に し て 求 め た rOlの 比 は 0.961で あ る 。 両 者 に は 約
7%
の 差 が あ る が 、 ほ ぼ 一 致 し て い る と 見 る こ と が で き る 。式 (5.23)に お い て 、 定 常 変 形 状 態 で は&==0、。i==Oであり、 r2
を 含 む 項 は 変 形 が 進 行 す る に つ れ 消 滅 す る の で 、 次 式 が 得 ら れ る 。
A
== rlDσi3σi 1 σtj一σiεαAと rlに そ れ ぞ れ 式 (5.18')と (5.20')を代入すると、
σi 4 sO == r012D‑ A
行
sα4
M5G4b3
σtj一
σパ
α(5.26)
(5.27)
が 得 ら れ る o sOの 値 は 前 述 のαと rOlよ り 上 式 に よ っ て 求 め た 。 なお、 σtjの値は AI‑Mg合 金 に お け る 値 (σij==300MPa)を参考に、
弾 性 定 数 の 相 違 を 考 慮 し てσij==500MPaとした。ア02と6の 値 は 各 温 度 で の 定 ひ ず み 速 度 引 張 試 験 に お い て 、 変 形 初 期 の 変 形 応 力 の 変 化 を 最 も よ く 再 現 す る 値 を 重 回 帰 法 で 決 定 し た 。 表 5.2に 1100Kと 1150Kにおける各ノマラメータの値をまとめて示す。
5 . 4 . 3
実 験 結 果 と 計 算 結 果 の 比 較図 5.5に 1100Kと 1150Kに お け る 応 力 ー ひ ず み 曲 線 の 予 測 結 果 を 実験結果と比較して示す。 1100Kに お い て は 、 経 路 2の 変 形 初 期 を 除 く と 、 大 幅 な 変 形 応 力 の 不 一 致 は な く 、 計 算 結 果 は よ く 実 験 結 果 を再現している。 1150Kに お い て は 、 経 路 2の 変 形 中 期 以 降 に お い
可~
て は 計 算 結 果 は 実 験 結 果 を よ く 再 現 し て い る が 、 経 路 2の 初 期 、 経 路 3の 変 形 後 期 に お い て は 実 験 結 果 と の 不 一 致 が 大 き い 。 計 算 で 求 め た 変 形 応 力 が 実 験 で 得 た 変 形 応 力 を 上 回 る 領 域 は 、 下 に 述 べ る 理 由 で 生 じ た と 考 え ら れ る 。
図 5.6と図 5.7に そ れ ぞ れ 1100Kお よ び 1150Kに お け る ひ ず み の 変 化 に 伴 う 転 位 密 度 の 変 化 (
a )
と 転 位 速 度 の 変 化( b )
、 お よ び 転 位 速 度 と 溶 質 雰 囲 気 引 き ず り 抵 抗 の 関 係( c )
の 予 測 結 果 を 示 す 。 (a )
の 転 位 密 度 変 化 の 曲 線 は そ の 形 状 が 計 算 で 得 ら れ た 変 形 応 力 の 変 化 とほぼ対応している。
( c )
は 転 位 の 易 動 度B
の 評 価 に 用 い た 計 算 結 果 で 、B
の 値 は 図 中 の 直 線 部 の 勾 配 の 逆 数 で あ る 。 溶 質 雰 囲 気 引 き ず り 抵 抗 と 転 位 速 度 の 比 例 関 係 が 成 立 し な く な る 転 位 速 度 VCTは 転 位 が 雰 囲 気 か ら 離 脱 しはじめる速度とAI‑Mg
合 金 で は よ く 対 応 し て い る (11)(12)。 本 合 金 の場合、 VCTは 1100Kで 約 2x10‑7ms‑1、1150Kで 約 5x 10‑7ms‑1 で あ る が 、 図( b )
に見られるように、 1100Kで の 経 路 2の 変 形 初 期 に お け る 転 位 速 度 お よ び 1150Kで の 経 路 2の 変 形 初 期 と 経 路 3の 変 形 後 期 の 転 位 速 度 が こ れ を 大 き く 上 回 っ て い る 。 以 上 の 検 討 に より 、 変 形 応 力 の 計 算 値 と 実 験 値 の 不 一 致 は 、 い ず れ の 場 合 も ひ ず み 速 度 が 大 き い た め に 転 位 の 一 部 が 溶 質 雰 囲 気 か ら 離 脱 し て 運 動 し 始
め る こ と に 起 因 し て い る も の と 思 わ れ る 。
1150Kの 経 路 3の 変 形 後 期 に お け る 計 算 値 と 実 験 値 の 不 一 致 は 、 図 5.5に 示 し た 実 験 結 果 と も 対 応 し て お り 、 こ の こ と は 本 予 測 法 の 妥 当 性 を 示 す も の と 考 え ら れ る 。 こ の よ う に 、 経 路 3の 終 点 で の 転 位 速 度 が 1100Kでは VCTに 達 せ ず 、 よ り 高 温 の 11501<で VCTを 越 え