第 2 章 の参考文献
3.3 基本特性の評価
x1 x2 x3
bubble
top boundary: uniform inflow bottom boundary:
continuous out flow side boundaries:
moving boundary domain:
3d x 3d x 5d = 24, 24, 40 mm cell size:
∆x1=∆x2=∆x3=0.5mm bubble diameter:
d = 8 mm (d*=16) g
図3.3.1 ダクト内気泡計算用計算体系
表3.3.1 水‐空気系の物性値
water density ρL [kg/m3] 998 air density ρG [kg/m3] 1.2 water viscosity µL [mPa s] 1.0 air viscosity µG [mPa s] 0.018 surface tension σ [mN/m] 73
Morton number log M -10.6
た計算領域側壁をVinで−x3方向に移動させることで静止水中気泡の条件を模擬した.下 部境界には連続条件を課した.時間刻み幅∆tは1.0×10−5secとした.物性値には常温常 圧の水および空気の値を用いた(表3.3.1).よって,エトベス数は8.6である.
図3.3.2(a), (b)に,気泡形状予測結果およびt =0.8 secにおける気泡周りの流れ場を示
す.気泡は水平方向に揺動しながら上昇し,この運動に伴って気泡後流に渦が放出され ている.また,図3.3.3(a)に示すt = 0.8 sec における気泡周りの圧力分布において,界 面曲率の絶対値が大きい気泡端部で液相圧力が低くなっているが,これはラプラスの式 pG = pL−κσ (κ < 0)と整合している.図3.3.3(b)は気泡端部周辺の体積率分布である.
界面はシャープに維持され,1セル幅に収まっている.体積誤差は1秒経過後で0.6%で
あった (図3.3.4).この程度の体積変化は気泡終端速度にほとんど影響をおよぼさないた
め,体積保存性は十分と言える.気泡上昇速度VT は気泡揺動運動に伴い変動したが,そ の平均値は0.2 m/sであった.よって,気泡レイノルズ数Reは1600である.気泡がダク
0.72 0.76 0.80 0.88 sec 0.84
(a) (b)
図3.3.2 ダクト内静止水中空気泡の形状(a)および気泡周りの瞬時の速度場(b)
1 1 0.97 0.44 0.01 0
1 0.95 0.22 0 0 0
1 0.39 0 0 0 0
1 0.34 0 0 0 0
1 0.85 0.72 0.31 0.01 0
p high
low
(a) (b)
図3.3.3 気泡周りの瞬時の圧力場(a)および気泡端部の体積率分布(b)
トや円管内を上昇する場合,その終端速度は壁効果により無限静止水中の終端速度VT 0よ りも低下することが知られている[3].気泡の場合 f (λ) =VT/VT 0の形に整理されること が多い.本計算条件(Eo= 8.6, λ=0.33,Re=1600)に対しては,Cliftらの相関式[3],
VT
VT 0 =h
1−λ2i3/2
(3.3.3) が適用できる.上式のVT 0 に,Tomiyamaらの提案した無限静止水中空気泡に対する抗力 式(3.4.4)に基づく値VT 0= 0.24 m/sを代入するとVT =0.20 m/sとなり,これは計算結果
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0
0.2 0.4 0.6 0.8 1
t [sec]
bubble volume (θ(t)/θ(0))
図3.3.4 気泡体積θの時間変化
と一致している.このことから,本計算による終端速度の予測値は妥当であると言える.
3.3.1.2 水面への水滴落下
水面に落下,衝突する水滴の計算を行い,水滴衝突による界面の合一および大変形を経 ても,流体体積および界面のシャープさを維持できるか否かを調べた.二相の物性には,
表3.3.1に示した常温常圧における水‐空気系の値を用いた.計算領域は,図3.3.5に示
すように,x1, x2, x3 方向に24, 24, 83 mmとした.初期条件として,平坦な水面を下部
境界から30 mmの高さに設定し,また静止した球形水滴を水面の上方に設置した.水滴
の直径は 10 mmとし,直径当り20セル配置した.本計算では,速度変化が小さくまた
界面セルが生じない下部および上部境界付近には粗い計算セルを配置し,計算負荷を軽減 した.
図3.3.6に水滴が落下して水面に衝突する様子を示す.界面が大きく変形した後,反動
で液柱が形成され,液柱先端から液滴が生成した.この液滴周囲の体積率分布を図3.3.7 に示す.界面の大変形の後でも,界面はシャープに維持されている.液相体積の誤差は
0.007%で,十分小さく抑えられた.
3.3.2 複数の界面が存在する系への適用性
数十の気泡が存在する気泡プルームの計算例を示す.計算領域は x1,x2,x3 方向に 96,30,150 mmの直方体である(図3.3.8).この領域を,各軸方向に192, 60, 208個の非一 様な直方体計算セルを用いて離散化した.上部境界には連続条件を,それ以外の境界には すべり無し条件を課した.ただし,下部境界には直径1 mmの気相流入孔を7つ設け,各
x1 x2 x3
water drop
domain:
24, 24, 83 mm cell size (finest cell):
∆x1=∆x2=∆x3=0.5mm bubble diameter:
d = 10 mm (d*=20) position of free surface:
x3= 30 mm g
図3.3.5 水滴計算用計算体系
x3 x2 x1
t = 0.8 sec 0.14 sec 0.17 sec 0.20 sec
図3.3.6 水面への水滴落下
流入孔から流量1.5×103 mm3/sで空気を流入させた.また,下部境界の上方130 mmの 位置に自由表面を設定した.
図3.3.8に計算結果を示す.下部境界から流入した気相が気泡となって上昇する様子が
確認できる.0.7秒付近で,最初に発生した気泡が水面に到達し,連続気相側へと抜けて いる.その際に生じた細かい気泡や飛沫が消滅せずに追跡され続けていることから,体積 保存性がよいことがわかる.本計算による液相体積誤差は0.01%未満であった.本計算 例では水中に50個程度の気泡が存在しているが,体積誤差や界面のぼやけが大きく生じ る手法では,個々の気泡を追跡できず非物理的な予測となる.一方,NSSは体積保存性,
1 1 0.97 0.51 0.01 0 0 0 0
0.61 0.46 0.11 0 0 0 0 0 0
1 1 1 1 0.56 0 0 0 0
1 1 1 1 1 0.33 0 0 0
1 1 1 1 1 0.76 0 0 0
1 1 1 1 1 0.97 0.04 0 0
0 0 0 0 0 0 0 0 0
図3.3.7 液滴周囲の体積率分布
シャープな界面の維持性能が優れているため,本計算のように多数の気泡を含む流れでも 個々の気泡を追跡できる.
また,流れ場中に大小様々な大きさの気泡が混在しているが,この場合大気泡を直径当 り十数セルの分解能で追跡できる一方で,小気泡は数セルの分解能で追跡せざるをえな い.このように大小の気泡が混在する状況は,工業機器内気泡流ではよく見られる.この ような流れでは,大気泡運動は流れ構造に大きく影響するため高分解能で計算し,気泡運 動を決定する抗力・揚力などの流体力を精度良く評価する必要がある.一方,小気泡に関 しては,低分解能になるため予測精度が低下する可能性があるが,その場合でもボイド率 などの予測精度を著しく低下させないためには,少なくとも定性的に妥当に計算すること が重要である.十数セルの分解能で行う気泡運動計算の妥当性を3.4節,数セルの分解能 で計算せざるをえない小気泡計算の定性的妥当性を3.5節で検討する.
x1
0.06 sec 0.12 sec 0.18 sec 0.24 sec
0.30 sec 0.36 sec 0.42 sec 0.48 sec
0.54 sec 0.60 sec 0.66 sec 0.72 sec
0.78 sec 0.84 sec 0.90 sec 0.96 sec
x2 x3
図3.3.8 気泡プルームの計算