保護者の働きかけ 家庭の教育力
支援
a.家庭の教育力の主たる領域 b.学校の教育の主たる領域
。地域社会の教育力の主たる領域 d.学校と家庭との連携が望まれる領域 α学校と地:域社会との連携が望まれる領域 f家庭と地域社会との連携が望まれる領域 g.学校・家庭・地域社会の連携が望まれる領域
※
連携D:学校と家庭との連携 連携E:学校と地域社会との連i携
連携F:家庭と地域社会との連携 支 援:行政の働きかけ
(父_♪は、子どもの行動特牲)
子どもの行動特性と学校・家庭・地域社会の役割分担及び教育連携の在り方を仮 説的に示した。すなわち、子どもの成長・発達にとって、a〜gの7領域の働きか けが有効であり、かつ必要であると考えられる。
子どもの成長・発達と
学校・家庭・地域社会の教育力の関係モデル (武田棺ほかによる研究で示された図を参考とした)
図一2
ここでは、この地域における学校教育と家庭教育と社会教育との構造的な 把握と、行政の関わりについて述べてみたいと思う。武田氏ほかの研究では、
(一一2)に示したように、子どもたちの成長・発達にとって、a〜gの7 つの領域での働きかけが有効であり、なおかつ必要であると考えられるとし
ている。1984年に徳島市周辺で実施された「青少年教育に関する調査」を もとにした研究では、「家庭の教育力の低下」や「地域社会の教育力の衰退」
とともに、学校の引き受ける教育機能の肥大化に伴う「学校の教育力の機能 不全」が指摘された。林野*9は、それから10年経過した1994年に、保護者 の意識変革なくして、学校週5日制における3者の教育連携の有効な推進は 期待できないとし、学校教育の推進にとっても、学校のもつ条件として、3 者の教育連携の在り方を、保護者の意識の変化に焦点をおいて検討をする必 要があるとして、保護者の意識変化の様態に視点をおき、家庭・学校・地域 社会の教育連携推進のための、教育経営方策に対する示唆を得ることをめざ
した研究を行っている。
また、調査対象育成グループが存在する地域では、1998年2月に「私た ちのコミュニティに関する意識」と題した、中・高校生、青年、成人対象の 意識調査結果*10が出されている。
これらの研究と意識調査結果を1つの手がかりとして、黒坂地域の教育の 構造的な把握と、それを支援する行政との関わりについて、考察してみたい。
まず、学校教育と家庭教育との関わりについて、考えてみたい。林氏の研 究によると、徳島市の農村地域に位置する学校のおける保護者と学校との関 わりについて、保護者に対するアンケート調査の結果11から、次のように、
「学校に対するイメージで、農村地:域にある学校規模の小さい学校においては、肯定的イメ ージ(全教師が一致協力し、一貫した指導体制をつくるよう努力している。地域には、学 校や教師に対して信頼の気持ちをもっている人が多くいる。)が強くもたれているが、10年 置経った現在では、市街地の大規模な学校ほどではないにしても、それは減少傾向にある。」
結論づけている。この他の調査の結果についても、概ね、市街地の大規模な 学校の保護者に対して、農村地域の小規模な学校の保護者は、学校に対する 肯定的な気持ちをもっていることがはっきりと窺えるとしている。しかしな がら、1984年時と1994年時との比較で、10年という年月の経過から、その 肯定の割合は、減少傾向にあり、「どちらとも言えない」とする中庸な考え 方が増えていることも指摘している。つまり、学校に対する家庭の親和度が、
農村地域の小規模な学校においても、低下している傾向を示しているという ことができよう。こうした傾向は、黒坂地域においても、PTA行事や学校
行事への保護者の参加率が年々、低下している傾向にあることからも、同じ ようなことが言えると考える。また、これは学校・教師に対してではなく、
対象は異なるが、黒坂地区コミュニティの意識調査で、「世代を越えた連帯 感が、この地域にあるのかどうか。」と尋ねた調査の結果では、ちょうど小 学校の保護者の年代に当たる、40歳代の住民の7割以上のものが、「あま
りない」「全くない」と答えていることも、何等かの関係があるように疑っ てしまう。もちろん、徳島市周辺の農村地域の学校と同じように、都市部や 大規模な学校と比較すると、この地域においては、まだまだ学校に対する保 護者の期待や信頼といった肯定的な意識は高いのであるが、年々そうした肯 定的な意識が薄れつつあることも、否定することはできないというのが現状
であると考える。
次に、学校教育と地域社会(社会教育)との関係について考えてみること にする。社会教育に関して言うと、町の中央公民館が、この地域にあり、小 学校としてもより身近に感じてもよいはずである。しかし、そこで行われる 事業のほとんどが、成人、ことに高齢者を対象としたものが多く、子どもた ちを対象としたものは比較的少ない。そればかりでなく、実際には、社会教 育・社会教育事業というと、その対象が、小学校区といったような特定地:域
ということではなく、町全体を対象として行われるというイメージが強い。
したがって、学校教育、特に小学校教育と社会教育とのつながりは、思った ほど強くないと感じている。ましてや教育連携ということに関して考えてみ ると、運動会用品・キャンプ用品を借りるといったように、各行事での物の 貸し借りぐらいのことしか、思い浮かばないのが現実である。これとは別に、
地域住民の小学校に対する期待は大きく、様々な面で協力を惜しまないとい う印象が強い。例えば、学校周りの雑草がいつの間にか地域の人々によって きれいにされていたり、学校の玄関前の雪かきがしてあったりといったよう に、地域住民の多くが「おらが学校。」というイメージをもっており、大切 にしていこうとする姿がいろいろな場面で見受けられる。学校・教師も、数 年前に、地域の要請があったことから、地域の夏祭りに、児童が演技での参 加をすることになり、その指導者として参加をするようになっている。それ が、学校・教師が行っている、地域との唯一の直接的な結びつきである。
最後に、家庭教育と地域社会(社会教育)との関係を考えることにする。
中山間地域の過疎地であるといったことから、保護者も、単に保護者だけの 役割を果たせばよいというわけではなく、地域住民としての重要な役割を担 わなければならないのが現状である。例えば、先に例を挙げたコミュニティ 推進会議の役員や実施委員としても、多くの保護者が関わっている。その他 にも、地区運動会や球技大会であるといったような社会教育の事業にも、夏 祭りなどの地域独自の行事にも、保護者のほとんどがその中心的役割を担っ て参加をしており、保護者でありながら、地域住民でもあり、地域住民でも ありながら、保護者でもあるといった関係が、何の違和感もなく存在してい るのが特徴的である。したがって、そうした面についてだけ考えれば、地域 と保護者とのつながりは密接であると言えるであろう。しかしながら、地域 住民と子どもの親としての保護者の関係を見ると、必ずしも密接な関係にあ
るとは言えない。地域住民としての保護者と関わりのある地域住民は、数多 くいるのであるが、子どもの親としての保護者と地域住民との関わりは、あ まりないというのが実態であるように感じる。つまり、地域に住む大人同士 の関係は、比較的密接なものであるが、地域に住む大人と子どもとの関係は、
あまり密接とは言えず、むしろ希薄であると考えられる。保護者ではない地 域の大人(住民)にとっては、子どもたちの「顔」が、あまり見えていない のが現状であると捉える。したがって、地域住民は、子どもたちの保護者の 名前や祖父母の名前を知ることによって、初めて「○○の家の子どもか。」
というように把握することが多い。そうした意味で言うならば、中山間地域 の過疎地といえども、一般住民と子どもたちとの関係は希薄であり、地域社 会の教育力が、子どもたちに対して、向きにくいという状況にあると言って
も過言ではない。
こうした3者の教育領域の構造的なつながり(教育連携)をうまく支援す る役割にあるのが、いわゆる教育行政であると考える。しかしながら、先に 社会教育に対するイメージで述べたように、教育行政は、特定地域(ある小 学校区)だけをその対象として捉え、対応すればよいのではなく、町全体を その対象領域としなければならないという大前提がある。本町では、3つの 小学校区を抱えており、その1つにだけに力を注ぐわけにはいかないのであ