第4章 参照対象
第 3 節 同等の用役能力を有する資産の参照
決定に即した機会費用(原価節約)を知ることが可能となる点が挙げられよう。また、取 得資産の相場価格が、他の環境要因によって大きく変動している場合等には、取得資産の 過去入口価格よりも、この測定値のほうが利用者にとって意味のある情報となるかもしれ ない。
2. 過去出口価格
同等資産の過去出口価格は、「過去に同等資産を購入したならば支払わなければならな かったであろう価格」である。この測定値のもちうる意味は 2 節の 2. 取得資産の過去出 口価格と同様であり、前項と同様に、取得資産の相場価格が、他の環境要因によって大き く変動している場合等には、取得資産の過去出口価格よりも、この測定値のほうが利用者 にとって意味のある情報となるかもしれない。ただし、この測定値に固有の特徴は見出し 難く、あくまで、取得資産の過去出口価格の代替値として意味をもつ測定値だろう。
3. 現在入口価格
同等資産の現在入口価格は、「現在、同等資産を購入するならば支払わなければならな いであろう価格(擬制価格)」である。この測定値のもちうる意味は2節の3. 取得資産の 現在入口価格と同様であるが、固有の特徴として、同一の資産と同等資産の現在入口価格 を比較することをつうじて、廉価な価格を探索する努力を怠っていた等の事実が存在すれ ば、それを利用者が知ることができるという点が挙げられよう。また、取得資産の相場価 格が安定しない場合の代替値となるのは 1. 過去入口価格または修正過去価格と同様であ る。
4. 現在出口価格または現在出口価格類似額
同等資産の現在出口価格は、「現在、同等資産を売却するならば受取るであろう価格」
であり、同等資産の現在出口価格類似額とは、「信用リスクの変動を加味しない等、市場 参加者が考慮するであろう1またはそれ以上の要因を無視して算定された同等資産の現在 出口価格」である。これらの測定値が利用される局面は、2. 過去出口価格と同様、取得資
産の相場価格が安定しない場合に限られるだろう。
5. 使用価値、その他の一定の現在価値の算定数値または割引前将来キ ャッシュフロー
同等資産の使用価値とは、「確率で加重平均され、現在へ割引かれた、取得資産の使用 によって生成されるであろう将来キャッシュフロー」である。ここで、用役能力とは、す なわち、将来キャッシュフローの生成能力であるから、同等資産の使用価値は、取得資産 の使用価値と「同等」の金額となる。したがって、これらの測定値が利用される局面は、
2. 過去出口価格と同様に、取得資産の使用価値を算定するのに用いられるインプット情報 が入手困難である等の場合に限られるだろう。
取得資産のその他の一定の現在価値の算定数値とは、「確率で加重平均された、または 最も生起しやすい、特定の利子率で割引かれた、取得資産から生じるであろう将来キャッ シュフロー」であり、取得資産の割引前将来キャッシュフローとは、「確率で加重平均さ れた、または最も生起しやすい、現在へ割引かれていない、取得資産から生じるであろう 将来キャッシュフロー」である。これらの測定値の意味および利用される局面は、使用価 値と同様に、取得資産のそれらの測定基礎を算定するのに用いられるインプット情報が入 手困難である等の場合に限られるだろう。
6. 将来入口価格
同等資産の将来入口価格とは、「将来、同等資産を購入するならば支払わなければなら ないであろう価格」である。この測定値のもちうる意味は 2 節の 6. 取得資産の将来入口 価格と同様であるが、固有の特徴として、将来入口価格と現在入口価格の、同等の用役能 力に関する比較を行うことができるため、より現実の経営意思決定に即した機会費用(原 価節約)を知ることが可能となる点が挙げられよう。また、取得資産の相場価格が安定し ない場合の代替値となるのは1. 過去入口価格または修正過去価格と同様である。
7. 将来出口価格または修正将来価格
同等資産の将来出口価格とは、「現在、同等資産を売却するならば受取るであろう価格」
であり、同等資産の修正将来価格とは、「取得資産の将来価格から見積追加製造費用およ び見積追加販売費用を控除した額」である。これらの測定値が利用される局面は、2. 過去 出口価格と同様、取得資産の相場価格が安定しない場合に限られるだろう。