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第2章 陸上植物における ent- カウレン合成酵素の基質認識多様性 の解析

2.2.1 各種 KS 酵素の生産

用いたプライマーの配列・詳細は表 2–1に示した。

2.2.1.1 Ppcps/KS酵素の生産

PpCPS/KS野生型酵素は多機能型環化酵素であり, CDPを変換するA型環化活性の他, GGDPを

ent-CDPへ変換するB型環化活性も併せ持っている。A型環化活性における基質立体認識の緩さを

調査するため, B 型環化活性に必要な DxDD モチーフに変異を導入し機能を失わせた変異型酵素 Ppcps/KS酵素を解析に用いた(Hayashi et al., 2006; 原著ではPpcps/KSという表記になっていたが,

ent-CPS 活性を持たないことを強調するためここでは Ppcps/KS という表記をした)(図 2–1)。

Ppcps/KS酵素を大腸菌を宿主とした発現系により生産するため, Hayashi, Kawaideらの報告で使用

された昆虫無細胞発現系用コンストラクト(Ppcps/KS-pTD1)を鋳型にPCRを行い, ORFを大腸菌 用発現ベクターpQE30(図 2–2)へサブクローニングした。

Ppcps/KS-pTD1を鋳型としPpcps/KS ORFを増幅するPCRにおいては, KOD -Plus- Neo酵素

(Toyobo)を用い以下の組成・条件で反応を行った。

10× PCR Buffer for KOD –plus- Neo 1 ×

2 mM dNTPs 0.2 mM

25 mM MgSO4 1.5 mM

PpCPS/KS-Fwdプライマー 0.3 M

PpCPS/KS-Revプライマー 0.3 M

Ppcps/KS-pTD1 53 ng

KOD –Plus- Neo 1 U

H2O up to 50 l

94ºC, 2 min →(98ºC, 30 sec → 42ºC, 30 sec, → 68ºC, 2.5 min)× 35 cycles

反応終了後, 反応液の 40 l 程度をアガロースゲル電気泳動に供し, 目的のバンドを切り出し Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製した。精製後得られたDNA溶液全量を以下の

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組成でリン酸化反応に供した。リン酸化酵素にはT4 Polynucleotide Kinase(Toyobo)を用い, 37ºC で2 h反応を行った。

DNA溶液 11 l

10× Blunt End Kinase Buffer 1 ×

100 mM rATP 2 mM

T4 Polynucleotide Kinase(5–20 U/l) 25–100 U

H2O up to 50 l

リン酸化反応液をWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製し30 lのDNase free waterで 溶出後, ligation反応へ用いた。

大腸菌発現用ベクターpQE30についてORFを挿入するため, 以下の組成で37ºCで2 h制限酵素 処理した後, Ethachinmate を用いて精製した。

pQE30ベクター 3 g

Buffer H(10×) 1 ×

SalI(Roche) 10 U

H2O up to 50 l

精製したSalI処理ベクターについて, 以下の組成で末端の平滑化を行った。72ºC, 3 minの反応の後, Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製・30 lのDNase free waterで溶出した。

SalI処理pQE30ベクター全量

10× PCR Buffer for KOD –plus- Neo 1 ×

2 mM dNTPs 0.2 mM

25 mM MgSO4 1.5 mM

KOD –Plus- Neo 1 U

H2O up to 50 l

Ligation反応に先立ち, ベクターの分子内ligationを防ぐため以下の組成で60ºC, 1 min置き脱リン酸

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化処理を行った。処理後, 上記と同様にWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemにより精製・30 l のDNase free waterで溶出した。

SalI処理・平滑化pQE30ベクター全量

10× Buffer for BAP 1 ×

E. coli Alkaline Phosphatase(Toyobo) 0.5–5 U

H2O up to 50 l

以上のように調製・精製したインサート溶液 , ベクター溶液を各々3 lずつ混合し, 6 lのLigation High Ver.2を加え14ºCで約16 h, ligation反応を行った。Ligation反応液の全量を大腸菌M15株コン ピテントセルへ形質転換し, ampicillin含有LB培地で選抜を行い形質転換株を得た。目的のORFが 挿入されたプラスミドを持つ株をPpCPS/KS-Fwdプライマー, PpCPS/KS-Revプライマーを用いたコ ロニーダイレクトPCRにより確認し, 得られた目的の大腸菌株からプラスミド抽出を行い, 目的配 列の挿入された精製プラスミド(Ppcps/KS-pQE30)を得た。プラスミド抽出には Wizard SV Minipreps DNA Purification Systemを用いた。精製プラスミドについてpQE30ベクター配列を用いた プライマー及び ORF 配列を用いたプライマーを用いシークエンス解析を行い, 問題なく目的 ORF が挿入されたことを確認した。シークエンス解析には3130 xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems)

を用い, メーカープロトコルに従い操作を行った。

配列の確認を行った Ppcps/KS-pQE30を再度大腸菌 M15 株に形質転換し, 組換え酵素生産を行

った。1.2.4.1に示したSmDTC3と同様の培養条件で培養を行い, 菌体を回収し6× His-tagを利用し

たアフィニティー精製を行った。得られた酵素溶液について同様に濃度を確認後, 液体窒素で凍結 させ–80ºCで保存した。

2.2.1.2 LsKS酵素の生産

LsKS に関しては, 目的 ORF が pGEM-T easy ベクター(Promega)に挿入されたプラスミド

(LsKS-pGEM)を山形大学豊増教授より譲渡いただいた。このプラスミドでは, 目的 ORF の5'末 端にXhoI認識配列, 3'末端にPstI認識配列が付加されていたため, これらを利用し大腸菌発現用ベ クターpCold II(図 2–2)へのサブクローニングを行った。

LsKS-pGEMを以下の組成で37ºC, 1.5 h制限酵素処理し, 制限酵素処理液ほぼ全量をアガロースゲ

ル電気泳動に供試し目的のバンドを切り出し精製した。精製にはWizard SV Gel and PCR Clean-Up

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Systemを用い, 30 lのNuclease free waterで溶出を行った。同時にpCold IIベクター 3 gも同様に 処理・精製した。

LsKS-pGEM 2.4 g

3 Buffer 1 ×

XhoI(New England Biolabs) 20 U

PstI(New England Biolabs) 20 U

H2O up to 50 l

得られたインサート溶液 3.5 lとベクター溶液1.5 lを混合し, 5 lのLigation High Ver.2を加え

14ºC, 1 hのligation反応を行った。反応液の半量を大腸菌M15株コンピテンとセルに形質転換し,

2.2.1.1で示したPpcps/KS-pQE30の場合と同様にプラスミド抽出・シークエンスの確認を経てLsKS

発現コンストラクトLsKS-pColdを得た。

LsKS-pCold を再度大腸菌 M15 株に形質転換し, 組換え酵素の生産を行った。1.2.3.1 に示した

SmKSと同様の培養条件で培養を行い, 菌体を回収し6× His-tagを利用したアフィニティー精製を 行った。得られた酵素溶液について同様に濃度を確認後, 液体窒素で凍結させ–80ºCで保存した。

2.2.1.3 OsKS1酵素の生産

OsKS1全長ORFが挿入された大腸菌発現用コンストラクト, OsKS1_FL-pQE30を山形大学豊増教

授より譲渡いただいた。これをもとにN末端の予想葉緑体移行シグナル配列56 a.a.をコードする領 域を除いた ORF 断片をターゲットとし, その外側に制限酵素認識配列を付加するようプライマー を設計し(5'側KpnI, 3'側SalI認識配列)PCRを行った。得られた断片を制限酵素処理し,発現用ベ クターpQE30(図 2–2)へサブクローニングを行った。

OsKS1_FL-pQE30を鋳型としたPCRではAdvantage 2 PCR Kit(Clontech)を用い, また増幅する ORF断片の外側に制限酵素認識配列を付加するようプライマーを設計し(5'側KpnI, 3’側SalI認識 配列), 反応を行った。反応液組成, 反応条件は以下のようにした。

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10× Advantage 2 PCR Buffer 1 ×

50× dNTP Mix 1 ×

OsKS1-KpnI-Fwdプライマー 0.2 M

OsKS1-SalI-Revプライマー 0.2 M

OsKS1_FL-pQE30 約100 ng

50× Advantage 2 Polymerase Mix 1 ×

H2O up to 50 l

95ºC, 1 min →(95ºC, 30 sec → 55ºC, 20 sec, → 68ºC, 3 min)× 30 cycles → 68ºC, 3 min

→70ºC, 10 min

得られた反応溶液をアガロースゲル電気泳動に供し, 目的サイズのバンドを切り出し Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用い精製した。

精製したDNA溶液及びpQE30ベクターについて,以下の手順でSalI処理・KpnI処理を行った。

それぞれの制限酵素処理の間ではEthatinmateを用いた精製を行い, KpnI処理後にはアガロースゲル 電気泳動を行い目的サイズのバンドを切り出し, Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いた 精製を行った。

SalI処理(37ºC, 1 h)

OsKS-pGEM or pQE30ベクター 3–5 g

10× Buffer H 1 ×

SalI(Roche) 10 U

H2O up to 50 l

KpnI処理(37ºC, 約16 h)

SalI処理OsKS-pGEM or pQE30ベクター 全量

10× L Buffer 1 ×

KpnI(Toyobo) 12 U

H2O up to 50 l

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得られたインサート・ベクター溶液2.5 lずつを混合し, Ligation high Ver.2 5 lを加えligation反応 を行った。反応液を大腸菌M15株に形質転換し, ampicillin含有培地による形質転換株の選抜を行っ た。コロニーダイレクトPCRによる目的断片挿入株の選抜, プラスミド抽出及びシークエンス解析

を行い, 目的のOsKS1 ORF断片が適切に挿入されたコンストラクトOsKS1-pQE30を得た。

得られたOsKS1-pQE30を再度大腸菌Rosetta-gami(DE3)株へ形質転換し, 1.2.4.1に示したSmDTC3 と同様の培養条件で培養を行い, 菌体を回収し6× His-tagを利用したアフィニティー精製を行った。

得られた酵素溶液について同様に濃度を確認後, 液体窒素で凍結させ–80ºCで保存した。

2.2.2 各種KS酵素の基質立体認識の解析: 酵素反応生成物の定性的分析

作製した SmKS, Ppcps/KS, LsKS 及び OsKS1 酵素について, これまでの報告通り本来の基質

ent-CDP を用いた場合に ent-kaurene 合成反応が進行するか確認を行った。また本来の基質以外の

normal CDPやsyn-CDPを用いた場合に環化反応生成物が得られるか, 得られる場合にはどんな生成

物プロファイルが得られるかを調べるために, 酵素反応の後生成物をGC-MSで分析した。

酵素反応条件は1.2.5.1に示したSmKS, SmDTC3機能解析の場合と同様に行った。ent-CPS, normal

CPSあるいはsyn-CPSに各種KS酵素を組み合わせて反応を行い(都合3 × 4 = 12通りのCPS酵素

–KS酵素の組み合わせ), 反応生成物をn-hexaneで3回抽出し, 得られたn-hexane層を濃縮しGC-MS 分析に供した。GC–MS分析も前章1.2.5.2と同様に行った。酵素反応生成物の0.5% v/v程度を, 1.2.5.2 に示す【条件1】で分析した。

2.2.3 各種KS酵素の基質立体認識の解析: 酵素反応の定量的評価

2.2.2の定性的解析により複数のCDP立体異性体を基質とし得ることが明らかとなった KS酵素

について, 基質 CDP の立体化学が反応効率に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とし実験 を行った。また, 比較のためにSmDTC3についても同様の試験に供した。まず, 各種CDP基質につ いて同程度の量を酵素合成し, CDP基質溶液を調製した。これを分注し一定条件下でKS酵素を反 応させ, 酵素反応液に残ったCDP量をnegative control反応液中のCDP量と比べることで消費され たCDP量を相対的に算出し, 逆算して反応の収率を示すproduct formation efficiencyを計算した。各 段階におけるCDP量は, CDPをalkaline phosphatase処理によりcopalolへ変換し, GC-MS分析におけ るピーク積分値により見積もった。以上の手順の概略を【図 2–3】 に示した。