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各国における電力自由化の現状と原子力発電の動向

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第 4 章 電力自由化と原子力発電の関わりに 関する調査研究関する調査研究

4.3 各国における電力自由化の現状と原子力発電の動向

日本における電力自由化の下での原子力発電の課題を整理するために、日本に比べ 電力自由化が進んでいる各国の電気事業、電力自由化の経緯と現在の状況および電力 自由化における原子力発電の動向についてまとめる。ここでは、アメリカ、イギリス、

フランス、ドイツ、スウェーデンについて取り上げる。それらを取り上げる理由とし ては、すでに電力市場の自由化が行われており、かつ発電電力量に占める原子力発電 の割合が約20%以上(図4.1)となっていることから、電力自由化の下での原子力発 電の影響や課題等が現れやすいと判断したためである。

32.1 19.1 21.1 16.4 8.9

2.4

18.8 52.7 14.7 3.9 7.7

2.2

28.1 34.5 32.5

1.51.8 1.6

29.3 54.2 9.8

1.2 3.12.4

76.5 7.4

1.0 2.3 12.2

0.6 46.5

2.0 0.3 2.1

47.0

2.2

32.1 19.1 21.1 16.4 8.9

2.4

18.8 52.7 14.7 3.9 7.7

2.2

28.1 34.5 32.5

1.51.8 1.6

29.3 54.2 9.8

1.2 3.12.4

76.5 7.4

1.0 2.3 12.2

0.6 46.5

2.0 0.3 2.1

47.0

2.2

図 4.1: 各国の電源構成

4.3.1 アメリカにおける電力自由化の現状と原子力発電の動向

電気事業および電力自由化の経緯と現状 アメリカでは、電気事業は各州によって異 なり、全州に3,000以上の電力会社が存在する。それらの所有は下記のような形態に分 類される[16]

私営電気事業者(約240)・・・州政府および連邦政府の規制を受け、投資家(株主)

に対して配当を支払う。

地方公営電気事業者(約2,000)・・・非営利の州営あるいは地方政府機関が運営し、

そのほとんどは配電のみを行い、一部発電と送電施設を持つ事業者もある。

連邦営電気事業者(約10)・・・非営利で発電を行う。主に発電事業者あるいは卸事 業者であり、電力はテネシー渓谷開発公社(TVA)あるいはエネルギー省が販売 する。

農村電化共同組合電気事業者(約900)・・・需用密度が低い農村地域は私営電気事 業者にとって魅力的な市場ではないため、電化が遅れた。そのため、農家や村落 等の組合員が出資し、自らの電力需要を賄おうとするのが農村電化共同組合の事 業者である。

私営電気事業が、アメリカにおける全電力会社の発電設備、発電量および販売収入 の75%を占めている。また、その供給地域に対して独占権を有すると共に、広範な規 制を受けてきた。一方で、非電気事業者と呼ばれる独立系の発電事業者も現れている。

また、アメリカでは電力に関する規制は、連邦レベルと州レベルの2つに分けられ る[15]

1) 連邦レベル・・・連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission:

FERC)の規制を受ける。FERCは州際卸売取引の価格等について規制を行って

いる。

2) 州レベル・・・50州およびコロンビア特別区(首都)の公益事業委員会等の州の委員 会によって規制される。公益事業委員会は、立地から投資、小売料金に至るまで 広範囲な規制制限を持っている。

以下では、電力自由化について、連邦レベルと州レベルの動きに分けて述べる。

1) 連邦レベル アメリカにおいて電力の自由化が始まったのは、1978年のカーター政 権時代である[8][15]。それは、1978年公益事業規制政策法(Public Utilities Regulatory

Policies Act of 1978:PURPA)がきっかけとなって始まった。その法の本来の目的は、

電力生産に際しての省資源や効率的な発電の促進である。この法の下で、電力会社は コジェネレーションや風力発電等の小規模電源のうち、一定の条件を満たす認定施設

(qualifying facilities:QF)の余剰電力を、州の規制当局の設定する料金で購入するよ うに義務付けられた。その料金は、必要とする電力を電力会社が追加して発電するた めに要するコスト(回避コスト)に基づき設定される。これにより、新エネルギーや コジェネレーションの小規模電源の促進が加速された。このような中で、非QFと呼ば

れる卸売専門の独立系発電事業者(Independent Power Producers:IPP)も出現する ようになった。

1992年に成立した国家エネルギー政策法(National Energy Policy Act of 1992:

EPAct)によって、IPPの参入規制の撤廃が進められ、FERCの卸託送命令権限の強化

が行われた。これにより、発電市場の自由化が一層進展し、新設の電源ばかりでなく 既設の電源においても競争が激化した[17]

さらにFERCは、1996年に卸託送に関する規制を制定した。この規制は送電線を所 有、管理する電気事業者に送電部門の独立性を高め卸電力の送電に関して自社の内外 を同等に扱うことを求めている。これにより、卸売市場は完全に自由化された。

1999年にはFERCの命令(2000)により、卸売市場の競争環境整備が行われ、送電 線を所有、管理する電気事業者に対し、地域的な拡がりを有する系統運用機関RTOの 自主的設立と参加を要請した[18]

2) 州レベル 州レベルでは、小売市場の自由化や料金制度等の面で規制緩和、自由化 を進める動きが活発になっている。2001年現在、24州で電力再編法が成立し、そのうち 17州で自由化を開始している[18]。代表的な州として、カリフォルニア州、マサチュー セッツ州があり、カリフォルニア州については付録Bに詳細を掲載する。

原子力発電の動向 アメリカでは、2000年現在、103基の原子炉が存在する。電力自由 化以降、原子力発電所の売買や会社間の合併等の原子力事業の再編が進んでいる。ま た、電力自由化により、アメリカの原子力産業では原子力プラントに関して次の3つ の動きが見られる[19]

運転認可期間が切れる前に、発電所を閉鎖する。

稼働率が高いあるいは減価償却が済んだ原子力プラントを積極的に活用する。

減価償却が済み、効率が良く、また電力消費地に近い原子力プラントを買収し、卸 電力市場で活用する。

について、電力自由化により、長期の視点にたった設備形成の停滞が予想される。

原子力発電は多額の設備投資を必要とし、将来の料金水準が不透明な中では、それら の投資はストランデッドコスト化する懸念が強くなる。さらに、使用済み燃料の中間 貯蔵や廃炉に係るコスト等から電力自由化の下では原子力は経済性が問題であるとさ れている。

について、原子力規制委員会(NRC)の規則改正により、従来40年とされていた 運転期間の20年延長が可能となり、原子力プラントを所有する会社の中には、60年運 転に動き出している会社が存在する。

について、原子力発電所を購入する事業者は、燃料価格の安定性や将来の炭素税 の導入によるリスク回避を視野に入れ原子力発電所を購入している。PECOエナジー 社、エンタジー社がその代表的な例で既存の原子力プラント買収に積極的に乗り出し ている。原子力プラントの平均買収金額は、交渉中のものも含め、1億数千万ドル程度 といわれている。

原子力プラントを持つ電力会社では、原子力再生に力を入れており、職員を削減し、

少人数でも運営効率が向上する業務プロセスを工夫している。現在、アメリカでは原 子力発電所の稼働率が向上しており、1999年の平均稼働率は88%であり、なかには稼 働率90%以上のプラントもある(図4.2)。それは、18ヶ月以上の運転サイクルや改善 された予防保全プログラム等により、運転が効率的になり、燃料交換やプラント保守 のためのプラント停止期間の短縮が可能になったためである[20]

図 4.2: アメリカにおける原子力発電の設備利用率の変化

さらに、ブッシュ共和党新政権の誕生により、原子力発電に対する支援が大きくなっ てきている。また、電力会社で再び原子力発電に火がともる兆しが現れてきており、新 規の原子力発電プラント建設が検討されている[20]。その理由として、下記の3つが挙 げられる。

原子力発電の経済性は、天然ガスや複合サイクルプラントなどの最小コストのエネ

ルギー源とも十分競合できる。

原子力発電は、温室効果ガスの排出量削減に大きく寄与するという環境上のメリッ トが公衆に認められつつある。

原子力発電プラントの性能や安全性が段階的に向上し、原子力発電所の所有や運転 に関わるリスクが大幅に低減された。

さらに、新規の建設だけでなく、建設が中断された原子力発電所の再開が検討され ている。

4.3.2 イギリスにおける電力自由化の現状と原子力発電の動向

電気事業および電力自由化の経緯と現状 イギリスの電気事業の形態は、イングラン ド・ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの3つの地域で大きく異なる。電力市 場の自由化が行われる以前には、イギリスでは発電事業、送電事業、配電事業、小売供 給事業はいずれも国有・国営で行われていた。イングランド・ウェールズ地方の電気事 業は、長年の間、発電と送電のすべてを中央電力公社(Central Electricity Generating

Board:CEGB)と地域毎に分けられた12の配電局が行ってきた。しかし、生産性の

低さ、割高な国内炭の使用、強力な労働組合等により経営効率が悪化していた。この ような中、1989年の電気法(Electricity Act 1989)の下、1990年4月1日から電気事 業の再編が行われ、イングランド・ウェールズ地方では電気事業を下記のように分割 した[15]

発電会社:ナショナル・パワー(National Power:NP)

     パワー・ジェン(Power Gen:PG)

     ニュークリア・エレクトリック(Nuclear Electric:NE)

送電会社:ナショナル・グリッド(National Grid:NGC)

配電会社:12社(旧12地区配電局)

その再編と同時に、競争が積極的に導入され、発電部門は参入が完全に自由化され るようになり、また小売供給部門も段階的に競争が導入されることになった。

スコットランド地方では、電力市場の自由化以前は、北スコットランド水力電力局

(North of Scotland Hydro-Electric Board:NSHEB)と南スコットランド電力局(South of Scotland Electricity Board:SSEB)が配送配電の一貫経営を行っていた。1991年に 民営化され、スコティッシュ・パワー社(Scottish Power)とスコティッシュ・ハイドロ・

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