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可能か、意図成就か

ドキュメント内 博士学位論文(東京外国語大学) (ページ 121-130)

第 4 章 意味の違いと可能形式の使い分け

4.3. 可能か、意図成就か

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法の例より出現率が高い。一方、ラ抜き形においても、可能用法の用例数は 111 例で ラ抜き形総用例数中 57.2%で、意図成就用法の用例数は 83 例でラ抜き形総用例数中

42.8%であるため、可能用法の例のほうが意図成就用法の例より出現率が高い。つまり、

データ A では、ラレル形とラ抜き形はいずれも意図成就用法より可能用法で多く用い られることが分かる。

4-1 ラレル形とラ抜き形の意味用法(データA) 動詞 意味 ラレル形 ラ抜き形

可能 意図成就 可能 意図成就 見る 68 37 39 53 寝る 12 8 10 11 出る 4 2 5 0 食べる 162 79 44 17 起きる 0 0 4 0 降りる 1 0 1 0 来る 4 0 8 2 合計 251(66.6%)51 126(33.4%) 111(57.2%) 83(42.8%)

ラレル形とラ抜き形それぞれの意図成就用法の比率を比較すると、ラ抜き形の意図成 就用法の比率は42.8%で、ラレル形の意図成就用法の比率は33.4%であり、ラ抜き形の 意図成就用法はラレル形の意図成就用法より比率が高い。可能用法と意図成就用法の使 用比率をめぐってラレル形とラ抜き形の間には有意な差があるか否か、それを確認する ために、カイ二乗検定を行った。検定の結果を表4-2と表4-3に示す。

51 括弧の中の数値は当該用例数がラレル形・ラ抜き形それぞれの全用例数に占める比率で ある。ラレル形の全用例数は377例、ラ抜き形の全用例は194例である。なお、それぞれ の形式の可能用法と意図成就用法とを比較する場合、用例数の多い方に網掛を施している。

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4-2 可能/意図成就のカイ二乗検定(データA) Value df

Asymp. Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(1-sided) Pearson Chi-Square 4.838a 1 .028

Continuity Correctionb 4.443 1 .035

Likelihood Ratio 4.794 1 .029

Fisher's Exact Test .035 .018

Linear-by-Linear

Association 4.829 1 .028

N of Valid Casesb 571

a. 0 cells (.0%) have expected count less than 5. The minimum expected count is 71.01.

b. Computed only for a 2x2 table

4-3 可能/意図成就 * ラレル/ラ抜き Crosstabulation(データA) ラレル/ラ抜き

Total 1ラレル 2ラ抜き

可能/意図成就 1 可能

Count 251 111 362

% within 可能,意図成就 69.3% 30.7% 100.0%

Adjusted Residual 2.2 -2.2 2

意図 成就

Count 126 83 209

% within可能,意図成就 60.3% 39.7% 100.0%

Adjusted Residual -2.2 2.2

Total Count 377 194 571

% within 可能,意図成就 66.0% 34.0% 100.0%

表4-2の結果では、有意確率(Asymp. Sig. (2-sided))の値が0.028で、p<0.05なので、

有意な差が見られた[χ2=4.838, df =1, p<.05]。すなわち、可能用法と意図成就用法の 使用比率をめぐってラレル形とラ抜き形の間に有意な差が見られたということになる。

また、表4-3の網掛のところに注目すると、ラレル形の列にある網掛のセルは、ラレ

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ル形がラ抜き形より可能用法でより多く用いられるということを意味する。ラ抜き形の 列にある網掛のセルは、ラ抜き形がラレル形より意図成就用法でより多く用いられやす いということを意味する。

以上、データAに限って言えば、ラ抜き形とラレル形はいずれも意図成就用法より可 能用法で多く用いられる傾向が見られた。また、ラ抜き形のほうがラレル形より意図成 就用法において多く用いられやすい傾向があると言える。

次に、データ B に出現しているラレル形・ラ抜き形のそれぞれの可能用法と意図成 就用法の用例数を集計し、その結果を表4-4に示す。

4-4 ラレル形とラ抜き形の意味用法(データB)

動詞 意味 ラレル形 ラ抜き形

可能 意図成就 可能 意図成就

見る 246 61 571 236

寝る 88 24 179 77

出る 55 1 55 3

食べる 1153 443 703 330

起きる 22 6 19 10

降りる 0 0 1 0

来る 3 0 7 0

合計 1567(74.6%) 535(25.5%) 1535(70.1%) 656(29.9%)

ラレル形においては、可能用法の用例は1567例でラレル形総用例数中74.6%である。

それに対して、意図成就用法は535例で25.5%である。従って、ラレル形は意図成就用 法より可能用法において多く用いられている。一方、ラ抜き形においても、可能用法は

1535 例でラ抜き形総用例数中70.1%で、意図成就用法は656 例でラ抜き形総用例数中

29.9%であり、可能用法が意図成就用法より出現率が高い。つまり、ラレル形・ラ抜き

形のいずれも意図成就用法より可能用法で多く用いられていることが分かる。

ラレル形とラ抜き形それぞれの意図成就用法の比率を比較すると、ラ抜き形の意図成 就用法の比率は29.9%で、ラレル形の意図成就用法の比率は25.5%である。ラ抜き形は ラレル形より意図成就用例の出現率が高い。可能用法と意図成就用法の使用比率をめぐ ってラレル形とラ抜き形の間には有意な差があるかそれを確認するために、カイ二乗検 定を行った。検定の結果を表4-5と表4-6に示す。

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4-5 可能/意図成就のカイ二乗検定(データB) Value df

Asymp. Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(1-sided)

Pearson Chi-Square 10.997a 1 .001

Continuity Correctionb 10.772 1 .001

Likelihood Ratio 11.014 1 .001

Fisher's Exact Test .001 .001

Linear-by-Linear

Association 10.995 1 .001

N of Valid Casesb 4293

a. 0 cells (.0%) have expected count less than 5. The minimum expected count is 583.64.

b. Computed only for a 2x2 table

4-6 可能/意図成就 * ラレル/ラ抜き Crosstabulation(データB) ラレル/ラ抜き

Total 1ラレル 2ラ抜き

可能 意図成就

1 可能

Count 1567 1534 3101

% within 可能,意図成就 50.5% 49.5% 100.0%

Adjusted Residual 3.3 -3.3 2

意図 成就

Count 535 657 1192

% within 可能,意図成就 44.9% 55.1% 100.0%

Adjusted Residual -3.3 3.3

Total Count 2102 2191 4293

% within 可能,意図成就 49.0% 51.0% 100.0%

表4-5では、有意確率(Asymp. Sig. (2-sided))が0.001で、p<0.01なので、有意な差 が見られた[χ2=10.997, df =1, p<.01]。すなわち、可能用法と意図成就用法の使用比 率をめぐってラレル形とラ抜き形の間には有意な差があるということになる。表4-6で

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どのセルが有意な関係をもたらすかを確認する。ラレル形の列の網掛のセルは、ラレル 形が可能用法でより多く用いられやすいということを意味する。ラ抜き形の列の網掛の セルは、ラ抜き形が意図成就用法でより多く用いられやすいということを意味する。

以上、データBでも、データAと同様、ラ抜き形とラレル形はいずれも意図成就用法 より可能用法で多く用いられる傾向が見られ、またラ抜き形のほうがラレル形より意図 成就用法において多く用いられやすい傾向がある。

(ⅱ)「Yahoo!知恵袋」

ラレル形・ラ抜き形がそれぞれ可能用法と意図成就用法のどちらで用いられやすいか について、本節でも調査してみる。本節で用いるデータ「Yahoo!知恵袋」は、内容がす べて質問とそれに対する回答に固定されているため、対象となる可能形式の出現頻度が 低いと予想できる。ラレル形・ラ抜き形のそれぞれの可能用法と意図成就用法の用例数 を集計し、その結果を表4-7に示す。

4-7 ラレル形とラ抜き形の意味用法(「Yahoo!知恵袋」)

意味 形式 ラレル形 ラ抜き形 合 計 可 能 2152 (97.1%) 1050 (94.8%) 3202 (96.3%) 意図成就 65 (2.9%) 58 (5.2%) 123 (3.7%)

合 計 2217 1108 3325

ラレル形においては、可能用法は 2152 例でラレル形総用例数中 97.1%で、意図成就 用法は65例でラレル形総用例数中2.9%であり、可能用法は意図成就用法より出現率が 高い。一方、ラ抜き形においても、可能用法は1050例でラ抜き形総用例数中94.8%で、

意図成就用法は58例でラ抜き形総用例数中5.2%であり、可能用法は意図成就用法より 出現率が高い。つまり、ラレル形とラ抜き形はいずれも意図成就用法より可能用法で多 く用いられやすいことが分かる。

ラレル形とラ抜き形それぞれの意図成就用法の出現率を比較すると、ラ抜き形の意図 成就用法の比率は5.2%でラレル形の意図成就用法の比率は2.9%である。従って、ラ抜 き形はラレル形より意図成就用法の比率が高い。可能用法と意図成就用法の使用比率を めぐってラレル形とラ抜き形の間には有意な差があるか否か、それを確認するために、

カイ二乗検定を行った。検定の結果を表4-8と4-9に示す。

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4-8 可能/意図成就のカイ二乗検定(「Yahoo!知恵袋」)

Value df

Asymp. Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(2-sided)

Exact Sig.

(1-sided) Pearson Chi-Square 10.997a 1 .001

Continuity Correctionb 10.360 1 .001

Likelihood Ratio 10.457 1 .001

Fisher's Exact Test .001 .001

Linear-by-Linear

Association 10.994 1 .001

N of Valid Casesb 3325

a. 0 cells (.0%) have expected count less than 5. The minimum expected count is 40.99.

b. Computed only for a 2x2 table

4-9 可能/意図成就 * ラレル/ラ抜きCrosstabulation(「Yahoo!知恵袋」)

ラレル/ラ抜き

Total 1ラレル 2ラ抜き

可能 意図成就

1 可能

Count 2152 1050 3202

% within 可能,意図成就 67.2% 32.8% 100.0%

Adjusted Residual 3.3 -3.3 2

意図 成就

Count 65 58 123

% within 可能,意図成就 52.8% 47.2% 100.0%

Adjusted Residual -3.3 3.3

Total Count 2217 1108 3325

% within 可能,意図成就 66.7% 33.3% 100.0%

表4-8の結果では、有意確率(Asymp. Sig. (2-sided))の値が0.001で、p<0.01なので、

有意な差が見られた[χ2=10.997, df =1, p<.01]。すなわち、可能用法と意図成就用法 の使用比率をめぐってラレル形とラ抜き形の間に有意な差が見られたということにな る。また、表4-9の網掛のところに注目すると、ラレル形の列にある網掛のセルは、ラ レル形がラ抜き形より可能用法でより多く用いられるということを意味する。ラ抜き形

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の列にある網掛のセルは、ラ抜き形がラレル形より意図成就用法でより多く用いられる ということを意味する。この結果はクチコミデータA・Bの結論と一致している。

以上、「Yahoo!知恵袋」においてもクチコミデータと同様、ラ抜き形とラレル形はい ずれも意図成就用法より可能用法で多く用いられる傾向が見られた。また、ラ抜き形の ほうがラレル形より意図成就用法において多く用いらやすい傾向がある。

(ⅲ)漫画の実例データ

本節で用いる漫画の実例データは、すべて手作業で収集したため、対象となるラレル 形とラ抜き形の意図成就用法の出現頻度が低いと予想できる。ラレル形・ラ抜き形のそ れぞれの可能用法と意図成就用法の用例数を集計した結果を表4-10に示す。

4-10 ラレル形とラ抜き形の意味用法(漫画の実例データ)

形式

意味 ラレル形 ラ抜き形 合 計 可 能 373 (97.9%) 184 (81.1%) 557 意図成就 8 (2.1%) 43 (18.9%) 51 合 計 381 227 608

表 4-10では、ラレル形の可能用法は 373例でラレル形総用例数中 97.9%である。ラ レル形の意図成就用法は8 例でラレル形総用例数中 2.1%である。従って、ラレル形の 可能用法は意図成就用法より出現率が高い。一方、ラ抜き形においても、可能用法は 184例でラ抜き形総用例数中81.1%であり、意図成就用法は43例でラ抜き形総用例数中

18.9%である。ラ抜き形も意図成就用法より可能用法の出現率が高い。従って、ラレル

形とラ抜き形はいずれも意図成就用法より可能用法で多く用いられる傾向がある。

ラレル形とラ抜き形それぞれの意図成就用法の出現率を比較すると、ラ抜き形の意図 成就用法の比率は 18.9%で、ラレル形の意図成就用法の比率は 2.1%である。従って、

ラ抜き形はラレル形より意図成就用法の比率が高い。可能用法と意図成就用法の使用比 率をめぐってラレル形とラ抜き形の間には有意な差があるか否かを確認するために、カ イ二乗検定を行った。検定の結果を表4-11と4-12に示す。

ドキュメント内 博士学位論文(東京外国語大学) (ページ 121-130)